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第337話 武雄達朝食前の軽食。王家とタケオ達との関係を確認しよう。

アズパール王の書斎にて。

「はぁ・・・1年越しの計画もとりあえず終わったな。

 これでタケオに謝罪ができそうだな。」

アズパール王が若干スッキリした顔で言う。

「いや・・・父上、まだ補償内容が決まっていませんよ?」

「・・・そうだった。

 はぁ、タケオの貴族としての報酬に加増もダメ、研究費加増もダメ・・・他に何があるのだ?」

スッキリしていた顔がすぐに疲れた顔をしてウィリアムとマイヤーに聞いてくる。

「んー・・・他に何があるのでしょうか・・・

 違う事ならタケオさんに聞きたいところですが、タケオさん本人の問題ですから聞けないですよね。」

「だな・・・今日の会議の議題にもなるだろう。

 で、マイヤーどうしたのだ?」

「は!

 レルフ家の粛清時に宝物庫で発見をしたのですが。」

マイヤーは3冊アズパール王に渡す。

アズパール王は中を軽く見るが・・・

「何が書いてあるのかわからんな。

 これがどうした?」

アズパール王が本を閉じ、ウィリアムに渡す。

ウィリアムも中を見るが「わからないですねぇ」と頭を傾げる。

「は!

 これを見た瞬間、『キタミザト殿ならわかるのでは?』と思ったのです。」

「ふむ、なるほどな。

 わからない文字・・・もしかしたらタケオならわかるかもしれないか。」

「は!」

「・・・確か今回の粛清に参加した王都守備隊の半分は今日は昼までの仕事だったな?」

「は!

 我々も昼までの組です。」

「第一近衛分隊は押収した物や王城の宝物庫内に同様な本があるか調べろ。

 あった場合はウィリアムの書斎に持って行ってくれ。

 今日の会議の後にウィリアムにタケオを呼んで貰い見て貰おう。」

「は!」

「ウィリアム、アルマとレイラも会議後にタケオ達とこの本について確認をしてくれ。」

「はい、わかりました。」

「はぁ・・・補償内容が決まらないと会う事もできんな。

 早く決めないと・・・長引けば長引くほど支払い価格が上がりそうで怖いな。」

アズパール王がガックリとする。

「金額だけで済めば良いですね?」

ウィリアムが苦笑する。

「あぁ・・・タケオが何も要求してこないことが最大の問題だな。

 要求してくればそれを与えるのに・・・何も言わないのは怖いな。」

「タケオさんの事ですからわかっていながら言わないのでしょうね。」

「・・・あり得るな。

 要求してしまえばそれを貰って示談成立となるからな。

 だが・・・何かしらの金銭報酬で払う事は決定済みだ。

 あとは金額と支払い方法を決めるだけなのにな。」

「それとなくタケオさんに聞いてみますか?」

「うむ。

 金額等々はこっちで支払える分を捻出するから・・・

 どうやったらうまく皆を納得できる方法があるのかそれとなくで良い聞いてくれるか?」

「わかりました。

 あ、そう言えば今日はタケオさん達は寄宿舎と魔法師専門学院に行くそうです。

 予定通りで構いませんか?」

「うむ、予定通りで良いだろう。

 王家がいつもと変わらない日常を取ることで住民に何も心配はいらないと思わせたいからな。

 第三魔法分隊から数名、タケオ達を警護するよう通達しておく。」

「朝食後に誰か迎えに行くよう通達をお願いします。」

「わかった。

 ・・・さて、息子達と話すかな?」

アズパール王達が席を立ち、皆が待つ広間に向かうのだった。


------------------------

「タケオ様、王都の戦時食って少し塩が多いのですね。」

「そうですね。

 まぁ動き回っている人向けなので濃い目なのでしょうね。

 それにしても・・・ミア、クゥ、なんで起きてくるのですか?」

武雄達は先ほどメイドが持ってきた軽食を食べているのだが、寝ていたチビッ子達が机に軽食が置かれたらすぐに起きてきたのだ。

「主達だけ食べるのはズルいです!私達も食べます!

 ねぇ、クゥ?」

「きゅ!」

チビッ子2人が抗議してくる。

「いや・・・ズルいと言われてしまうと言い返せませんが。

 まぁ元気に食べているから良いのでしょうか・・・

 それにしても軽食も干し肉が挟んであるパンなのですね。」

「ん?タケオ様は違う物を考えていたのですか?

 確かうちも2年前はこんな感じのパンが出ていましたよ?」

「いえ、パンが悪いとは全く思いませんが、『戦争時の兵士の携帯食料はどうしているのかな?』と思ったので少し期待していました。」

「干し肉とパンか干し肉のスープでしょう?簡単な物だと思いますけど。」

「・・・食事が楽しくないなぁと。」

「戦闘前の食事を楽しくすることに意味がありますか?」

「いや、少しでも美味しい物を出して士気高揚を狙うのもありです。

 なので携帯食料を開発してみますか。」

「何か考えが?」

「缶詰を作ってみたいですが・・・作り方がわからないのですよね。

 正確に言えばなんとなくわかりはしますが・・・加工技術が・・・」

「缶詰?容器は何で作るのですか?瓶詰ではないのですか?」

「瓶はガラス製なので衝撃に弱く、輸送の際に壊れてしまう可能性があるのです。

 ですが、缶詰は鉄製で輸送時の衝撃で形がある程度変化しても問題ないと思うのです。

 食材と調味料を入れて中の空気を抜けばある程度の期間保存も可能ですし、缶詰はそのまま温めることもできるので調理が兵士だけで出来るのも利点なのですよね。」

「なるほど。

 兵士だけでなく旅にも使えそうなのですね。

 作れそうですか?」

「んー・・・今のエルヴィス領の鍛冶屋さんの技術では難しいと思いますね。

 それこそカトランダ帝国に行ってきますが・・・あの弾丸を作った装置を改良させてもらい、蓋を密封出来るような機械を作ることができるなら製造は可能だと思います。」

「カトランダ帝国ですか・・・小銃だけでなく缶詰の機械も探すのですね。」

「基本は1つです。

 あの小銃を作ったことがある者を探すことが今後の産業に繋がりますよ。」

「むぅ・・・上手く行けば良いのですが・・・」

アリスは腕を組み悩み始める。武雄はそんなアリスを朗らかに見るのだった。


------------------------

「と報告を受けた。

 なので現状では爆発、炎上の捜査中だ。

 だが明日・・・今日も一日王家はいつも通りに行動をする。

 そう行動することによって人々に安心感を与えられるだろう。」

アズパール王が広間で王家一同に説明をし終わる。

「昨日、お義父さまの命令で2家が王都を追放されましたよね。

 で今日は3家・・・いったい何が起きているのですか?」

ローナが質問をしてくる。

「わからんな。

 だが、最初の2家は自業自得だ。

 それに爆発の原因もすぐにはわからないだろう。

 今は3家の者が無事であることを祈るだけだ。」

「それはそうですが・・・

 もし助かっていなかったらどうしますか?」

「・・・昼までに見つからない場合は、3家の爵位を剥奪し、新たに貴族の選定をするしかないだろう。

 一応、王都勤めは25家としているのだが・・・タケオの件があってな。

 1年間だけ24家が王都勤めとしたいのだ。」

「タケオさんの件で?」

レイラが聞き返してくる。

「まぁ簡単に言うとタケオへの補償は1家分の年間報酬を支払う事で皆が合意をしている。」

アズパール王の言葉に皆が静まり返る。

「破格過ぎます。

 他の者への補償は金貨100枚でした、タケオさんに300枚なのですか?」

セリーナが聞いてくる。

「タケオへのふざけた慣例での王家からの謝罪と王都側から敵対的にならないよう努力するという示談金を合わせた物だ。

 それにセリーナ、間違えるなよ?

 あの2人は特別だ。

 アリスとタケオ、万が一、2人して我が国を見限り他国に移住した時が大問題になる。

 その国であの知識をいかんなく発揮されてみろ・・・王都壊滅ではなく王国崩壊ぐらい覚悟しないといけないのだ。」

「あ・・・」

セリーナが言葉を失う。

「唯一の救いがあの2人はエルヴィス領の発展をどうするかで考えを巡らせている事だ。

 アリスもタケオも領地が欲しいとかの考えはない。

 伯爵に代わって領地持ちの貴族になる気もない。

 王国の運営をする気もない。

 ただただ自分が所属している伯爵家の・・・弟のスミスの将来を案じているのだ。

 そして領民が笑顔になってくれるのならといろんな考えを巡らせている。

 それも正攻法でだ。

 その考えの一部を我ら王都にも教えてもらうというのが研究所設立の根底にある。

 王国の為のではなく、タケオがエルヴィス領で行う研究の一端を国の技術力向上に使うのが目的なのだ。

 なので国の介入はタケオとアリスに関しては薄い。他の者からすれば甘いと取られるだろう。

 だが、2人を敵に回した際にかかる人的、経済的な損失は今支出する金額の数十倍にも上る。

 あの2人を甘やかせという訳ではない。

 あくまで王家とタケオ達とは対等な関係を結ばないといけないのだ。

 王家からは研究資金を、タケオからは領内の軍備および経済の知識をもたらす対等な関係だ。

 そしてエルヴィス領が発展し、その恩恵が魔王国に面した伯爵領やウィリアム、そして王都に波及することを望んでの今回の処置なのだ。」

アズパール王の言葉に全員が鎮まる。

「クリフ。」

「は!」

「そうは言ったがタケオからの知識を上手く使って国内を発展させられるかはお主の時代の話だ。

 まずは王国全土では出来ないだろうが、ゆっくりとでも構わない。強固な国家を作れ。」

「は!」

「ウィリアム。」

「は!」

「タケオや周辺の伯爵たちと良好な関係を構築し、上手くタケオの知識を使ってクリフに対して提案して見せろ。

 お主の所で作る物が国でも出来るのかの判断基準になるだろう。」

「は!」

「ニール。」

「は!」

「タケオの知識はすぐには入ってこないだろう。

 ウィリアムが率先して新しい事を始めるだろうが、その下支えをしてくれ。

 ウィリアム達が新しい技術を用いたなら、ニール達は既存の技術を応用することを目指せ。

 折角の2地域なのだ。まったく別々のやり方で良し悪しの判断をするべきだろう。」

「は!」

3皇子が礼をする。

「とまぁこんな感じだが、後はエルヴィス伯爵に対しての示談か。

 クリフ文面は出来そうか?」

「今日の昼にでも素案が出来上がるかと思います。」

「うむ、会議前に見ようか。」

「は!」

「さてと、では皆報告は以上だ。

 一旦自室に戻って仮眠をしてくれ。」

「はい。」

クリフの返事を聞き皆が広間を後にするのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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