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第32話 昨日の報告と職務質問?。

昨日の仕立て屋に武雄とアリスは入っていった。

「アリスお嬢様、キタミザト様、いらっしゃいませ。」

店長は挨拶をしてくる。

「ええ。」

「お邪魔します。」

とアリスと武雄は返事をする。

「昨日のことは報告できました。

 私との契約も含めエルヴィス伯爵の許可は取れました。」

と武雄は店長に伝える。

「それは良かったです。」

と店長はほっとした顔をする。

「総発注数は最大で900ですね。」

「・・・え?・・・いきなり全部ですか?」

「ええ。ただしエルヴィス家の発注ではありますが、全額エルヴィス家というのは予算上みれないので、売値の2割程度の補助金を出すことになりました。

残りの金額は兵士負担で。」

「なるほど。」

「それと予算上の問題で3年に分けて払いたいとの意向です。」

「はい、私どもは問題ありません。」

「ちなみに階級章と所属章は、魔法具商店で頼もうと思うのですが?」

「え?どうしてでしょう?」

店長は「なぜ?」という顔をする。

「出来るかどうかはわからないのですが、本人認証も兼ねようかと思いまして。

 魔法でその辺が出来ればと。

 嫌な話、遺品にもなりますし・・・」

「そうですね。」

店長は頷く。

「キタミザト様のスーツもお二人のトレンチコートも明後日の昼過ぎには出来上がります。」

「わかりました。それで構いません。

 受け取りの際にコートの暫定価格と納期の打合せをさせていただきます。

 では、また、明後日に参ります。」

と武雄とアリスは店を出て行った。


店長は二人を見送り後ろに控えていた店員に言う。

「・・・それにしても、いきなり凄い商談になってしまったな。」

「ええ。新しい考えの服だけでも凄いのに、

 一気に900着のオーダーを持ってくる。

 今後の展開もしっかりと考えている。

 キタミザト様は、商人として有能な方ですね。

 それに自身への利益を少ししか考えていない。

 人間味があると言うのか、欲がないというのか・・・」

「たぶん、うちの店のおおまかな月の仕立て可能な数も頭に入っているのだろうな。」

「・・・あの方に逆らったら店が潰されますかね?」

店員が苦笑いをする。

「いや、あの方は潰す潰さないではなく・・・諦めるのだろうな。

 この店は使えないと・・・」

店長は渋い顔をする。

「それは・・・怖いですね。」

店員も渋い顔をするのだった。


------------------------

魔法具商店に向かう最中、アリスは疑問を口にする。

「あの、タケオ様?なぜ襟章を別の店に頼むのでしょう?」

「ん?先ほどの説明では納得がいきませんか?」

「ええ。」

「本人認証も事実ですが・・・すべてを同じ店でって言うのが・・・」

「?」

アリスはわからないという顔をする。

「いえ、私の考え過ぎなのですが、犯罪に使われたら嫌だなぁ・・・と思っただけです。」

「犯罪に??どうしてですか?」

「全てが一つの店だと横流ししても分かりませんしね。

 エルヴィス家を疎ましく思う人に渡って何か犯罪が起きた場合、

 今の所、あのコートはエルヴィス伯爵領の兵士のみに支給されますから、エルヴィス伯爵の関与が疑われてしまうのです。

 なので、あくまで2つの店を回らないと一式が揃わないという体制を取りたいのです。

 上手く行くかはわからないですが、可能な限りは対策を取らないといけませんからね。」

「はぁ。そういうものなのですかね?」

とアリスはあいまいな相づちを打つのだった。


------------------------

魔法具商店にあと少しという所で。

「あの、タケオ様?」

「はい、なんでしょう?」

「カフェの事なのですが。」

「ええ。」

「昨日のこともあるので予約を取ってきたいのですが、よろしいでしょうか。」

と、とある店の前で止まる。

「構いませんよ。

 私は店先でお待ちしておりますので、席とアリスお嬢様が食べたい物を予約してきてください。」

「わかりました。ちなみにタケオ様はどんなのが良いですか?」

「ふふふ。アリスお嬢様・・・私は何も知らないのですよ?

 お任せします。」

「あ、わかりました。美味しい物を予約してきます。」

とアリスは店の中に入って行った。

武雄は待っている間にタバコを吸うかとポケットをゴソゴソし始める。

「すみません。」

といきなり兵士が話しかけてきた。

「はい、なんでしょう?

 あ、タバコはダメですか?」

「いえ、そちらは汚さなければ問題ありません。」

「わかりました。では?」

「はい。私はこの街の兵士で小隊長をしているトマス・ノースと言います。

 実はあなた様とアリスお嬢様の関係をお聞きしたいのですが。」

確かに街の重要人物と訳も分からない男が一緒にいるのだ。

事情を聴きたくなるだろうとは思った。

「構いませんが、もうすぐアリスお嬢様が戻ってこられます。

 アリスお嬢様が一緒でも構いませんか?」

「いえ、そこまで急にとは思っておりません。

 後日、時間をいただけますか?」

「明日でよろしければ時間を作れますが?」

「はい、それでお願いします。」

「どちらに向かえば良いですか?」

「昼過ぎくらいに城門横の兵士詰め所にお出でいただけますか?」

「わかりました。

 ちなみにアリスお嬢様は居られない方が良いのですよね?」

「はい、できましたらお一人でお願いします。」

「わかりました。

 あと私の雇用先であるエルヴィス家の方には私の行き先を告げないといけませんので、ご了承ください。」

「はい、構いません。

 では、明日の昼過ぎに兵士詰め所でお待ちしております。」

と兵士は礼をして去っていった。


さて、一服吸うかと気を取り直してタバコを取り出した時。

「お待たせしました。」

とアリスが戻ってきた。

アリスを前に吸う訳にもいかず、アリスと一緒に魔法具商店に向かうのだった。


ここまで読んで下さりありがとうございます。

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