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第327話 王都の干物屋に突撃。

武雄達一行は干物屋に着いた。

「さぁ、タケオさん。

 ここが私達が良く注文する干物屋です。好きなだけ買って良いですよ!」

レイラが大きな胸を張って店先で仁王立ちで宣言する。

「いや、レイラさん?

 凄く意気込んでいるのはわかるのですが・・・

 大量に買っても調理するのは私ですよ?

 まぁ調理場の隅を借りれるならウィリアムさん達くらいまでは作りますけど・・・」

「タケオさんが料理してくれるなら店ごと買っても良いくらいだわ!?」

レイラは顔をキラキラさせながら武雄を見る。

「どれだけ期待しているのですか・・・

 私はそれほど料理の数を知りませんし、前にも言いましたけど家庭料理くらいしか出来ませんよ?」

「十分です!

 私にとってはあの料理がまた食べられるなら、いくら出しても惜しくないです!」

「はぁ・・・レイラお姉様が壊れました。」

アリスがレイラを見ながらため息をつく。

「アリスはタケオさんと一緒だから気にしないのでしょうが、私は機会を逃すと数か月先、一年先までお預けです!

 アリスが羨ましいわ!あのクラスの料理を下手したら毎日食べれるのですから!」

「えへへ、良いでしょう♪」

「むぅ・・・絶対に腕の良い料理人を雇ってみせます。」

レイラのぼやきを聞きながら武雄達は店の中に入る。

・・

「はぁ。」

「へぇ。」

アリスは感嘆の声を武雄は感心の声を出す。

店の中は所狭しと商品が並んでいた。

国中の干物があるのだろう。

「さ、さ、タケオさん何を作るんです?」

レイラからワクワク感が溢れている。

「とりあえず、いろいろ見てみますか。

 あ、ミア、クゥ、前にも言いましたが、勝手に食べちゃダメですからね?

 欲しかったら私達に教えるんですよ?」

「主、わかっています。」

「きゅ。」

2人は頷く。

「では、食べたい食材を探してみましょう。」

武雄達は端から順番に見ていくのだった。


最初は皆で一緒に見ていたのだが、気がついたらアリス・レイラ組、ミア・クゥ組、武雄にわかれて見ている。

「んー・・・」

武雄は貝の売り場で悩んでいる。

「あ、いた!」

アリスとレイラが近寄ってくる。

「タケオ様、何か閃きましたか?」

アリスが聞いてくる。

「閃きはしませんが・・・コレ、どう思います?」

武雄は商品を1個取り、2人に見せる。

「何ですか?見たことないのですけど。

 ・・・本当に貝なのでしょうか?」

「アリス、これは『アワビ』と言う貝よ。

 確か・・・冒険者組合を創った初代組合長が好きだったとかで、王都の冒険者組合員達は年末年始とか何かしらの節目には出すらしいわ。」

「あ、やはりこれはアワビですか。」

「タケオ様は知っているのですか?」

「ええ、知ってはいますが・・・調理方法がねぇ・・・」

武雄は苦笑する。

「なんで苦笑なの?」

レイラが聞いてくる。

「いえ、私では調理法が1個しか思い浮かばないのですが・・・

 足らない物があるので今回は購入できませんね。」

「タケオさんでも調理出来ない物があるのね。

 ちなみに何が足りないの?」

「調味料ですね。

 煮た大豆とほぼ同量の塩と麹で作るのですけどね。

 エルヴィスさんの調理場にも王城の調理場にもありませんでした。

 なのでこの国では手に入らないのだろうと思っています。」

「んー・・・わからないわ。

 料理長には聞いたの?」

「ええ。

 簡単に説明したら『豆の塩漬けですか?』と聞き返されたので説明を諦めました。」

「んー・・・料理長も知らないなら私もわからないわね。

 タケオさんが考えている物の代替物はないの?」

「代替品・・・パッとは思いつかないですね。」

「そっかぁ・・・残念だわ。

 じゃあ、私とアリスが見つけた物を見て欲しいの。」

「はいはい。」

武雄達は移動する。

・・

「タケオさん、これは何でしょうか?

 知っています?」

レイラ達に連れて来られて武雄に聞いてくる。

「・・・スルメ?」

「スルメというのですか?」

アリスが聞いてくる。

「いえ、イカです。

 干してあるのでスルメという商品になるのだと思いますが・・・

 イカは食べないのですか?」

「私はありません。レイラお姉様はどうですか?」

「さぁ・・・地方に行ったら食べるのかもしれないですが・・・

 私がこっちに嫁いでから食卓に上がったことはないわね。」

アリスとレイラが悩む。

「食べたいですか?」

「「はい!」」

「・・・火に炙って食べるくらいしか思いつかないのですけど・・・

 これ固いですからね?

 水に浸けて柔らかくするのにも限度がありますし。

 それにこれは酒のツマミが合うのですけど。」

「お酒かぁ・・・ワインでも良いかしら?」

「ワインよりもブランデーとかウィスキーと合うと思いますが。」

「・・・ウィスキーって何?」

レイラが「なにそれ?」という顔をする。

「あ、レイラお姉様。今度うちの領内で市販される新しいお酒があるのですけど。

 ウィスキーと言うのです。」

「へぇ、新しいお酒かぁ・・・美味しいの?」

「私はリンゴジュースで割ったのが飲みやすいので良いですね。」

「お酒をジュースで割る?・・・想像がつかないわね。」

「そう言えばタケオ様、お土産で2本瓶詰めにして持ってきましたよね?」

「・・・すっかり忘れていました。

 ウィリアムさんとレイラさんのお土産で持って来ていますね。

 昨日ので割れていなければ良いのですけど・・・」

「・・・無事かしら・・・」

レイラがため息をつく。

「まぁ・・・リュックは染みていないのでたぶん平気だと思います。」

武雄が苦笑する。

「その新しいお酒にこの・・・スルメが合うのなら買ってみたいわ。」

「はい、わかりました。

 3枚くらい買いますか。」

武雄はスルメを3枚取る。

「さてと、ミアとクゥはどこでしょうかね?」

「あ、2つ隣の棚の所にいましたよ。」

「じゃあ、行ってみましょう。」

武雄達は移動する。

・・

「「・・・」」

チビッ子達が棚の一部を凝視しながら動かないでいる。

「・・・ミア、クゥ、なんで動かないのですか?」

武雄が2人を発見して声をかける。

「主、アレは何ですか?」

ミアが指を指す。

「・・・魚の塩漬け・・・ですかね。」

武雄は心の中で呆れる「木彫りの熊さんがくわえているヤツ?」

「そうなのですか・・・人間はこれを切り分けるのですか?

 このままで食べるのですか?

 クゥは魚を食べても美味しいと思わないとかで食べないそうです。」

「きゅ?」

「どうやって食べるの?と聞いています。」

「そうですね・・・

 レイラさん、これは食べたことあります?」

「紅魚でしょ、ありますよ。

 オリーブオイルでムニエルですかね。」

「・・・紅魚?」

「ええ。不思議な魚で、海でも川でも獲れるのよ。

 身が赤いから紅魚と呼ばれているわ。

 アリスはある?」

「年に1、2回ですかね・・・

 あまり記憶にないですね。」

「ふむ・・・焼く、煮る、ほぐす・・・

 どれも出来るでしょうね。

 ミア、クゥ、食べてみたいですか?」

「主、美味しいなら食べてみたいです。」

「きゅ。」

チビッ子達が返事をする。

「ふむ・・・

 ムニエルはいつも食べている。揚げても良いですが昨日タルタルソースは出した。

 ほかは・・・クリームパスタ?・・・いや生クリームはすぐに手に入らないかぁ・・・

 ほぐしてマヨネーズと和えてサラダのソースに・・・」

武雄が悩みだす。

「あ、タケオ様が悩み始めた。」

「ふふ、これは期待大だわ。」

アリスとレイラがワクワクしながら見守るのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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