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第326話 ウィリアムとアズパール王の打ち合わせ?

ウィリアムとマイヤーと伝令がとある部屋の前の警備兵に来訪したことを伝え、中の主人に入室の許可を確認してもらう。

警備兵が部屋の中から戻り入室の許可が下りたと伝えられる。

ウィリアムが扉をノックし、中から「どうぞ。」と許可が下りるのを確認すると、扉を開け入室する。

中にはアズパール王とクラーク議長とオルコットが机の周りに座りお茶をしていた。

ここはアズパール王の書斎である。

「陛下、失礼します。」

「構わん。

 はぁ・・・まさかパットがあんな軽い気持ちでタケオ達に婚約を破棄するよう豪語するとはな。

 クリフと昨日の夜、タケオに対しての説明内容や示談金まで考えたのに・・・

 ・・・さすがに疲れたな・・・

 ウィリアム、クリフ達はどうしている?」

「はい。

 クリフ兄上から姉上達を広間に集めるように言われたので、王家一同は集まっているはずです。

 私はレイラから伝言が来ていたので広間には戻っておらず、詳しくはわかりませんが・・・

 広間がある方からは怒号が聞こえましたね。」

「あのクリフが怒るか・・・まぁ当然だな。

 お前ら息子達は基本的に怒らないからな・・・相当パットの所業に堪えたのだろう。」

「陛下・・・流石にパット殿下のあの考えは浅はか過ぎるかと。」

オルコットがため息交じりに言う。

「私もそう思います。何かしらの罰は与えるべきかと思われますが。」

クラーク議長も賛成のようだ。

「そうだなぁ・・・我は王だがパットからすれば祖父だ。

 父親のクリフに怒られた方が効き目がありそうだな。

 それにクリフが罰の内容をどう考えるのかも気になるな。

 ・・・パットの処遇はクリフに任せる。」

「陛下がそう言われるのでしたら。」

オルコットの言葉にクラーク議長も頷く。

「で?ウィリアム、何用だ?」

「レイラから緊急に伝令がきましたので、相談に来ました。」

「・・・タケオ達にまた何かあったのか!?」

アズパール王が身を乗り出す。

「いえ、レイラがタケオさんとアリスに城門での婚約破棄の件について『なんで怒っていないのか?』と質問したとの事です。」

「確かにあの2人は城門での戦闘や演習については第2騎士団と示談をしていたが、婚約の話を一切持ち出さないな。

 普通なら激昂しても良い物だが・・・不思議だな。」

アズパール王の言葉にオルコットもクラーク議長も頷く。

「はい。

 レイラもそこが不思議だったみたいですが、昨日は騒動で疲れているだろうからと聞くのを我慢していたようです。」

「ふむ。

 では、レイラがタケオ達から聞き出した事を我らにも教えてくれるか?」

「はい。

 第一近衛分隊長。」

「は!

 では、伝令よりレイラ殿下からの伝言をお伝えします。」

マイヤーの言葉で伝令がレイラの伝言を伝えるのだった。

・・

「ですので、どう説明すれば良いのか?とレイラ殿下は困っています。

 以上です。」

「うむ、ご苦労。

 そこら辺の余っている椅子にウィリアムもマイヤーも伝令も座れ。

 座って話そう。」

「わかりました。」

「「は!」」

・・・ウィリアムは部屋の一番片隅にある椅子を取りに行って気づいてしまう。

部屋の目立たない所にもともと絵画だったものが・・・

ウィリアムは思う。「父上は皆の前ではのほほんとした王様を気取っているからなぁ・・・一生懸命感情の起伏を抑えているし・・・あとでストレス発散用に僕作の絵画を持ってくるか・・・」と。

3人もアズパール王の近くに椅子を持って来て座る。

「つまりはタケオとアリスはパットの年齢を知らないのだな?」

「はい。私達の国では15歳で成人の扱い・・・大人と認識されます。

 2人からはパットは成人に満たないと見られているようですね。

 それにエルヴィス伯爵家の次期当主スミスは12歳の年齢ですが、かなりしっかりしています。

 あれを基準に考えれば・・・パットは精神的に幼いでしょうね。」

ウィリアムがため息交じりに説明する。

「ほぉ。そうなのですか?

 ウィリアム殿下。」

「ええ。私や父上は、しっかり者の真面目な少年という印象を持っています。」

「うむ、エルヴィス家の次期当主として相応しい人材だな。

 だからこそエイミーやグレースをスミスと恋仲に出来たらという話が出るのだ。」

「「え!?」」

オルコットとクラーク議長が驚く。

「ちょっと・・・待ってください陛下。

 いきなり何の発言をされるのですか?」

オルコットが慌てる。

「いや、王家の皆で食事をした時にそんな話になってな。」

「・・・誰がそんな企画を言い出したのですか?」

オルコットが訝しげに聞いてくる。

「我とニール。」

「・・・本気ですか?

 その・・・エルヴィス伯爵には何か言いましたか?」

「いや、息子達に本人達が気に入れば嫁いで良いとしか言ってないな。

 本人達が気に入らない結婚を勧めるのも何だかなぁと言った感じだな。」

「はぁ・・・とりあえず、今の話は聞かなかった事にしましょう。

 他の貴族に知られたらエルヴィス家のスミスが寄宿舎でイジメられそうです。」

クラーク議長がため息交じりに言う。

「ふむ・・・そういう物か?」

「そういう物です。

 なので、陛下も王家の方々以外にその話はしてはいけません。

 わかりましたか?」

「あぁ、わかった・・・話が逸れたな。

 で、タケオ達はパットの年齢が成人に達していないと思っているから何も騒がないのか・・・

 ふむ・・・どうすれば好転すると思う?」

アズパール王は他の面々に聞き皆が悩む。

・・

「陛下。

 ・・・まだパット殿下は寄宿舎なのでそこを利用しては?」

クラーク議長が考えながら言う。

「クラーク、どういう事だ?」

「まだ学生なので成人扱いは卒業後という王家の特例を無理やり作ってしまうというのはどうでしょうか。」

「うむ、それは我も考えはしたのだが・・・かなり強引だ。

 しかし、もう強引か強引ではないかを考える時間はないのも事実か・・・

 それでタケオとアリスには何とか納得してもらおう。

 ただし、今回の事の謝罪も示談も検討する必要があるな。」

アズパール王の言葉に皆が頷く。

「あとはエルヴィス伯爵か・・・

 客観的に見て伯爵が認めた婚約を王家の者が破棄するよう迫るという前代未聞の珍事だが・・・

 ふむ・・・イヤらしい話だが・・・やっぱり金で解決させるしかないか?」

「そうですね。

 陛下とクリフ殿下の詫び状と相当の金貨でエルヴィス伯爵に謝罪して終わらせる手もあるかと。

 それに、端から見れば王家の無謀な要請に地方伯爵が拒否するという双方に取って悪い噂にしかならない事柄ですので、早急に終わらせる必要があります。」

オルコットが頷く。

「ふむ・・・クリフと相談して詫び状の内容や示談金額を決めるか・・・

 よし!制度として王家の特例で学生身分なので成人扱いは保留とする。

 ただし、婚約を破棄するように強要したパットにはクリフから何かしら罰を考えさせる。

 王家としては武雄達個人とエルヴィス伯爵家に対しては迷惑をかけた迷惑料を支払う事にする。

 もちろん我とクリフの謝罪文ありでだ。」

「畏まりました。」

「それでよろしいかと。」

オルコットとクラーク議長が賛同を示す。

「ウィリアムは良いか?」

「陛下の考えている通りで良いかと思います。

 レイラには何と伝えますか?」

「うむ・・・正式にあとで謝罪に行くからはぐらかしておくように伝えてくれ。」

「わかりました。

 第一近衛分隊長。」

「は!畏まりました。」

マイヤーと伝令は部屋を退出するのだった。

「陛下、では我々も先に広間に戻ります。」

オルコットとクラーク議長も退出していく・

・・

書斎にはアズパール王とウィリアムが残る。

「・・・さて、先ほど第三情報分隊から報告があってな。

 今回の慣例の実行者と共犯者がわかった。」

報告書を懐から出し、机に置く。

「はい。」

ウィリアムは報告書を拾い上げ中を軽く見る。

「タケオへの実行者の一家には後で軽い刑をワザと言い渡すが・・・

 今夜予定通り、王都守備隊と騎士団を動かす。

 ただし対象は3家追加になるがな。」

「予定通りですね・・・4年ぶりですか。」

「朝課の鐘から賛課の鐘の間に終わらせる。

 王都守備隊総長と第1騎士団長、オルコットには伝達済みだ。

 第2騎士団長には直前に教え対応させる。

 あとレイラもすぐに帰還して貰おう。

 武官、文官との面接が終わり次第、第3皇子一家は仮眠しておけ。

 終課の鐘の時にここに集合だ。」

「わかりました。」

ウィリアムは頷くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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