第324話 貴族会議実施中。第2騎士団長と武雄の示談。パットの言い訳・・・それはちょっと・・・
「ウィリアムの方も順調なようだし・・・
さてと・・・第2騎士団長、昨日の件について何か言いたいことはあるか?」
アズパール王は先ほどまでの雰囲気を一変させ少しイラついたように第2騎士団長に聞く。
「陛下、そのけ・・・いえ、特にはありません。」
第2騎士団長が弁明を拒否する。
「ん?何も言わないのか?
そうか・・・」
「陛下、私からよろしいでしょうか。」
王都守備隊総長が声を上げる。
「・・・構わぬ。なんだ?」
「は!
朝方、我ら王都守備隊及び第2騎士団宛にキタミザト殿、アリス殿より贈り物が届きました。」
「・・・で?」
アズパール王は目を細めながら王都守備隊の報告を聞いている。
「我々が受領した方には隊員全員分のキャラメルと手紙が入っておりました。
第2騎士団長はどうでしたか?」
「我々も同じです。」
「で?何が書いてあった?」
「は!読みます。
『この度は、私達への歓迎式典を開いて頂いたり、第2騎士団全隊員参加の演習を急遽実施くださり感謝を申し上げます。
田舎者ゆえ突然の事に驚き、全力で対処してしまい貴隊に多大なご迷惑をおかけしたこと誠に申し訳ありませんでした。
私達の無作法に対しご対応くださいましたこと心より御礼申し上げます。
つきましては、ご挨拶のしるしにキャラメルをお送りいたしますので、ご笑納ください。』
以上です。」
「・・・ちょっと待て・・・なんでタケオが謝っているんだ?」
アズパール王が驚く。
「・・・キタミザト殿的には、あれはもう終わったことなのかもしれません。
第2騎士団長、アナタの所にはどんな手紙がきましたか?」
「我々も同じ内容の手紙でした。
・・・陛下。
我々第2騎士団は今回の演習兼キタミザト殿達の歓迎会は無事に終了したと認識しております。
また、我々の総力演習の手伝いと攻城兵器の性能試験を実施いただきましたので、諸経費として金貨20枚ずつを冒険者登録がされている事を確認した上で、冒険者組合を通して支払いをしました。」
「あくまで歓迎式典と付属の演習だったと?」
「はい。我々、第2騎士団とキタミザト殿、アリス殿はそう認識を共有しております。」
「タケオに聞いてもそう言いそうだな
・・・当事者同士でそう言われてしまうと・・・」
アズパール王は腕を組んで悩んでしまう。
「演習がいささか大規模になってしまい、各所におかれましては多大なご心配をおかけして申し訳ありませんでした。
今後は同様の演習を実施する際は、事前に各所に連絡を入れるよう努めさせていただきます。」
第2騎士団長は席を立ち深々と頭を下げる。
その場の者は苦笑しか出来ないが、異論は挟まなかった。
「・・・まぁ・・・良いだろう・・・
では、パット・・・お主の主張を聞こうか?」
「はい・・・」
パットは起立する・・・が、何も言えないでいる。
「・・・パット、お主はどうしてタケオに決闘を申し込んだのだ?」
アズパール王が聞いてくる。
「はい・・・鮮紅のアリスは私達10代の若者にとっては英雄です。
その英雄を訳もわからん輩が騙して婚約したことに腹をたて、婚約破棄をさせようと思いました。」
「それだけか?」
「はい。」
「ん?パットはアリスを好いていたのではないのか?
その・・・妃にしたい・・・とか・・・」
「お爺さま、僕は鮮紅を尊敬はしていますが、妃にする気はありませんよ?
鮮紅は僕よりも4つも上です。恋愛対象ではないです。
何を勘違いされているのでしょうか?」
パットの言葉を聞いて、アズパール王、クリフ、第2騎士団長は固まっている・・・
他の者は・・・やっぱり固まっている。
「・・・皆・・・すまないが一旦、休憩をしよう・・・
ウィリアム・・・タケオとアリスは今、何をしている?」
「タケオさん達は街のお店巡りをしていろいろ見ると言っていました。
レイラを同行させていますし、何か欲しい物があれば、うちの経費で買って良いと伝えてありますが・・・」
「ウィリアム・・・良くやった。
オルコット・・・」
「・・・はい。
好きなだけ・・・何を買っても良いです。
経費で落としてみせます。」
「はぁ・・・想定が狂った・・・」
アズパール王は席を立つ。
「クリフ。」
「・・・はい。」
「パットと今回の事を・・・家族で話し合え。」
「父上・・・本当に申し訳ありません。」
クリフは席を立ち深々と頭を下げる。
「次の鐘に会議を再開するぞ。」
アズパール王と皆が退出し、広間には王家の者が残った。
クリフは全員が出ていくまで頭を下げていた。
「ウィリアム・・・ローナや妃達を呼んで来てくれ・・・」
「わかりました。」
ウィリアムが広間を退出する。
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ウィリアムが妃達が居る部屋に向かっている。
「・・・それにしても、パットも思い付きで良くやるなぁ。」
ウィリアムはさっきのパットの説明を思い出し苦笑をする。
「ウィリアム殿下、こちらでしたか。」
向かい側からきたマイヤーにウィリアムが呼び止められる。
「?・・・どうしました?」
「いえ、レイラ殿下一行の護衛に付いていた者が緊急で1人戻りました。」
「何があった?」
ウィリアムの目つきが一瞬鋭くなる。
「レイラ殿下よりウィリアム殿下宛に伝言を承ったそうです。
そこまでの緊急ではないそうですが。」
「・・・妃達を広間に呼ぶように言われているからその後に聞こうか。
一緒に来てくれ。」
「は!」
2人は妃達が待つ部屋に向かうのだった。
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