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第323話 貴族会議実施中。公領の異動についてと武雄の試験小隊について

王城内の広間にて王家(3皇子とパット)と貴族会議議員、文官幹部、王都守備隊総長と第2騎士団長による会議を開催中。

「ふむ・・・なるほどな。」

アズパール王はウィリアムの発言に頷く。

出席者全員が少し騒めいている・・・

「オルコット、どう思う?」

「は!

 ご自身が住む街の検討をしながらも魔王国に面した3伯爵領との地域活性化を目論む・・・実に素晴らしい案かと。

 今まで実施していなかったことが悔やまれるぐらい見事な提案です。

 ただ、ウィリアム殿下のご指摘の通り、現在の異動予算では河川の治水工事に多く振られてしまう事が懸念材料ではあります。

 財政局と打ち合わせを行い異動費用とは別に河川工事専用の融資という形で資金援助はできそうではあります・・・王家での工事ですので、10年後か15年後に川周辺の新たな農地からの収入を返済に充てていただけるなら・・・

 財政局長、出来そうですか?」

「は!

 可能かと思います。」

オルコットと財政局長の発言に他の出席している文官幹部も頷く。

「そうだな。

 うむ、ウィリアムの提案の通り、川に面した町に住居を作り街への拡大を図ろう。

 そして専売局の工場群を農地の中の町に集中して建てることによる警備のしやすさを狙うことも良いだろう。

 今までは専売局の工場は別々の町に立てていたから集中することで警備以外のメリットもありそうだし・・・

 第2騎士団長はどう思う?」

「は!

 警備の観点からも集中することによる兵士の分散を予防するのは理にかなっているとは思いますが・・・

 逆に大規模な盗賊等々に狙われる危険もある為、現在の予定している兵士数よりも2~4小隊分の人員増加を見込んで欲しいとは思います。」

「なるほどな。

 集中することによって反王派の狙い目になるか・・・

 クリフの所の兵士はどのくらいがウィリアムの所に移動が可能だ?」

「そうですね・・・ニールの所とウィリアムの所に半々と思っていましたが・・・

 ウィリアムの方に多めに出しましょう。

 たぶん450名は移動可能と思います。

 ニール、平気か?」

「うちは大丈夫ですね。

 まぁ新人を少し多めに採用して対応します。」

「そうか。2人ともウィリアムの為にすまないな。」

「何を言っているんです?父上。

 弟の領地の為ならこんな物は大した苦労ではないですよ。

 それよりもしっかりとした人選をしないと・・・ウィリアムが異動して人事で困っては大変です。」

「ニールの言う通りです。

 領地異動で一番苦労するのは人事です。

 ウィリアムにあんな苦労はさせられません。」

クリフもニールもウンウン頷く。

「クリフ兄上、ニール兄上、ありがとうございます。」

ウィリアムは兄2人に礼をする。

クラーク議長や議員達は朗らかにその光景を見ていた。

「うんうん、兄弟仲が良いのは良いなぁ。

 話が楽だ。

 で、ウィリアム、人選はどうなった?」

「はい。一応、騎士団長と兵士長、あとは総監局と総務局と専売局の局長の目星を付けました。

 今日の夕方にでも5名を呼んで面接を行い、決定すれば打ち合わせをしながら他の幹部を決めていきたいと考えています。

 あ・・・父上、タケオさんが悩んでいるそうですよ?」

「ん?タケオが何を悩むことが・・・まさか・・・城門での事か?ふざけた慣例の事か?

 もう少し調査の時間をくれ・・・」

アズパール王が若干うな垂れながら言う。

文官達や第2騎士団も気持ちうな垂れている。

「あぁ・・・そっちについては・・・

 研究所の件です。」

「ん?タケオは研究所の所長に決定しているが?」

「ええ、そこはレイラからタケオさんに内定した旨は伝えたのですが・・・

 どうも試験小隊の人選で悩んでいるそうです。」

「ほぉ・・・なんでだ?

 好きに選んで構わないが・・・」

「いえ・・・研究所の研究員についてはタケオさんが自ら才能豊かな方を探すと言っているそうなのですが、王立となっているので王都の人員を入れて武器や戦術の評価をしたいとも言っているようなのです。

 なんでも試験小隊の半数以上は王都の武官・・・出来れば新人ではなくベテランを採用したいと考えているようなのです。

 で、コネがないなぁ・・・と愚痴っていたと。」

「・・・我はコネではないのか?」

アズパール王は苦笑する。

「はぁ・・・キタミザト卿の考えはなんとなくわかりますが・・・

 陛下、そもそもキタミザト卿は陛下をコネとは思っていないのでしょう。

 ウィリアム殿下。」

「はい。」

「ウィリアム殿下にお渡しした随行可能な武官のリストと履歴書ですが、ウィリアム殿下の方で人選が終わり次第、キタミザト卿にお渡しして必要な人員を選んで頂いてください。」

オルコットが言う。

「オルコット宰相・・・よろしいのですか?」

「構いません。むしろ陛下が『誰でも好きに選んで良い』とキタミザト卿に言う前にリストから選んで貰う方が我々としては事後処理が楽です。」

「・・・我としてはタケオなら好きに選んでも」

「ダメに決まっているでしょう。

 随行可能な武官から選んで頂いた方が王都の調整が楽です。」

「・・・納得しかねるが・・・まぁオルコットがそう言うなら・・・

 ・・・ん?試験小隊?・・・」

アズパール王が「んー・・・?」と首を傾げて悩みだす。

「?・・・陛下、いかがなさいましたか?」

オルコットが聞く。

「いや・・・オルコット、研究所の設立要件があったな。

 今、資料はあるか?」

「はい、昨日のままの物はあります。

 よろしいですか?」

「ああ、少し見せてくれ。」

アズパール王がオルコットから研究所の設立要件の冊子を受け取り中身を見る。

・・

「オルコット、クラーク。」

「「は!」」

「昨日の再検討事項はあくまでニールの横に貴族領を作りその中に研究所を作る・・・だったよな?」

「はい、そのように文官内で至急に検討中です。」

「貴族会議もそう考えて昨日の会議の後に貴族会議を別途開催し検討しました。」

オルコットとクラークが返事をする。

「ふむ、という事はタケオの方には変更がないんだな?」

「はい、キタミザト卿の研究所所長の任命は確定しています。

 予算もその要件に書かれている通りですし、試験小隊も1小隊を運営するようになっています。

 少なくとも今は・・・」

「ふむ・・・1小隊・・・か。」

「陛下?いかがなさいましたか?」

「・・・軍務局長は居るか?」

「は!」

文官幹部の1人が席を立つ。

「うむ、すまないが今からいくつか質問をする。

 気兼ねなく答えよ。」

「は!」

「1つ目。

 エルヴィス領にある魔王国との関が破られ大挙して魔王国軍が侵攻してきた。

 その際に試験小隊は参戦が出来るか?」

「は!

 所在している貴族領の事変には研究所所長に参戦の判断権があると考えられます。」

「うむ。

 では、2つ目。

 隣の・・・ゴドウィン領にある魔王国との関が破られ大挙して魔王国軍が侵攻してきた。

 その際に試験小隊は参戦が出来るか?」

「・・・陛下の判断が必要かと考えます。」

軍務局長が難しい顔をしながら答える。

「?・・・軍務局長、陛下の判断なのですか?

 魔王国に面した3伯爵は軍事上はウィリアム殿下の配下になるはずです。

 ゴドウィン伯爵領が攻められた場合、一旦ウィリアム殿下に報告が行き、ウィリアム殿下がテンプル伯爵とエルヴィス伯爵に参戦の号令をかける手はずになるのでは?」

オルコットが不思議そうに軍務局長に聞く。

「オルコット宰相・・・現在の設立要件では、キタミザト卿が所長を務める王立第3研究所は、王都守備隊の同格組織に位置付けられており、陛下の直属組織なのです。

 ウィリアム殿下の参戦要請を判断する権限がありません。」

「と言うことは・・・我の判断次第ではエルヴィス伯爵や近隣の貴族、ウィリアムが奮戦していても参戦許可を出さずに見ているだけ。

 もっと悪いのは戦友を見捨てて王都に集結をさせることも可能なのだな?」

「・・・はい、規定上そうなります。」

「うむ・・・わかった、座ってくれ。」

「は!」

軍務局長が座る。

「・・・オルコット、これはマズくないか?」

「ええ。

 私は、てっきり所長はウィリアム殿下やニール殿下からの参戦要請の判断権も持っていると思っておりました。」

「あぁ・・・我も今ふと思ったから見たが・・・危うく見落とすところだったな。

 我は所在している貴族領の事変には参戦の判断権と所在している貴族領以外の事変には地域総大将指揮下への参入、参戦の判断権を設立要件の研究所所長の権限に入れるべきだと思うが・・・どうだ?」

「はい。

 それではそちらも早急に見直しを図ります。

 また、試験小隊は最初の数年は1小隊ですが、結果や実績を見て王都の予算を見ながら将来的には2~3小隊まで拡大させてはいかがでしょう。」

「そうだな、3小隊ぐらいが実際に戦術が立てやすいのかもしれないな。

 ・・・うむ、それも協議をしておくように。」

「畏まりました。」

オルコットが恭しく礼をするのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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