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第31話 今日の失敗。と今日の予定。

朝日が昇ってくる。

武雄は与えられた自室の席から立ち軽く伸びをする。

「あぁぁ・・・結局、徹夜してしまった。」

武雄は魔法の本を読んでいたらこの時間になってしまった。

・・・誰かが起こしに来てくれるまで軽く寝るかとベッドに潜り込む。


------------------------

3時課の鐘が鳴っている。

武雄が寝ている部屋の扉がノックされる。

「おはようございます・・・起きていますか?」

と小声で控えめに入ってくる。

今日もアリスであった。


武雄はベッドでスヤスヤ熟睡中。

ここまで気持ち良さそうに寝られていると起こすのは気が引ける。

アリスは、ふと机の上を見ると魔法の手引書が開かれている。

「これは・・・夜遅くまで読んでいたのかしら?」と思う。


「今日は失敗しないぞ」と意気込んで来たものの・・・

さて、どうやって起こすか・・・いつでも飛び退ける様に準備をして・・・

「タケオ様、起きてください。」

ゆさゆさ・・・と声をかけながら揺する。もちろん警戒は怠りなく。

昨日は、ここで抱き締められた。

今日は腕はこない・・・ほっと安堵する。

改めて武雄を見るとゴロンと反対側を向いていた。

「あ、いつの間に」と思い、

再度、揺する為ベッドに膝を置き前屈みになった時。

ガバッと武雄に抱きつかれる。

今日は首です。

「ひゃぁ!」

と声を出すも男の体重を前屈みの体勢であるアリスが細腕で耐えられるわけもなく。

あっけなくアリスは武雄とキスをする。

「んっ・・・ふぁ・・・」

武雄の締め付けが緩くなった瞬間、アリスは渾身の力で飛び退く。


「初めてが・・・」とか

「意外と・・・」とか

「もっとちゃんと・・・」とか

色々思うが、とりあえず目の前のコレに報復しなくては!

顔を真っ赤にしながら何かないかと目線を動かす。

丁度、机の上に本が・・・ある!

これだ!


その時、ドアをノックする音が。

フレデリックが部屋に入ってくる。

「失礼します。

 アリスお嬢様、タケオ様は起きられま・・・」部屋の光景を見て絶句する。

アリスが本を持ち振り上げているではないですか!それも背表紙が下で!

相手は明らかに寝ている武雄。

「ちょ・・・お待ち下さい!いくらなんでもそれは危ないです!」

フレデリックはアリスに駆け寄り羽交い締めにする。

「フレデリック!止めないで!」


武雄は何だか部屋が騒がしいのに気がつき、目を覚ます。

起きて初めて見た光景。

顔を赤くして本を振り上げている仁王さ・・・アリスお嬢様。

と、それを抑え様としているフレデリック。

・・・ふむ・・・寝るか。

と思ったが、アリスと目が合う。

「タケオ様、言い残す言葉はありますか?」

・・・寝るか・・・

と武雄は反対側を向いて二度寝に突・・・

「寝るなーーー!」

とアリスの持っている本が振り下ろされる。


------------------------

「アリスお嬢様、おはようございます。」

武雄はベッドの上で正座をしながら挨拶をする。

「ええ、おはようございます。」

ちなみにフレデリックは食堂に一足先に向かっていた。

「・・・あの、アリスお嬢様・・・何故、私は怒られているので?」

「・・・」

「すみません。」

困った・・・

アリスお嬢様は怒っている原因を話さない・・・

これでは謝りようがない・・・

武雄は成すすべがなく、正座して下を向くだけしかできない。


・・・しばらくして・・・

「はぁ・・・タケオ様、ご飯にいきましょうか。」

アリスは気持ちの整理が付いたのか話しかけてきた。

「はい。」

と武雄は答えたのだが、正座の後遺症で足が痺れています。

ここは、少し時間をずらして行かせてもらおう。

「あの、アリスお嬢様、私は足が痺れている・・・の・・・で・・・」

アリスが微笑みながら近づいてくる。

「止めてください。」

「イヤです。」

・・・考えていることは同じらしい。


直後、武雄の部屋から悲鳴が上がるのだった。


------------------------

朝食を終え、客間で皆でティータイム。

「今日、皆は何をするのじゃ?」

エルヴィス爺さんは聞いてくる。

「勉強ですね。」

スミスは答える。

「タケオはどうじゃ?」

「私は昨日の補助金の件を仕立て屋に伝えるのと魔法具商店に指輪の事を聞いてから雑貨屋巡りです。

 昼は外で取ってみたいので帰りは夕方かと。」

「アリスはどうするのじゃ?」

「ああ、アリスお嬢様は私とデートです。」

武雄はしれっと言う。

「はぃ?」

とアリスは返事を返す。

「うむ。楽しんでくるのじゃぞ。」

エルヴィス爺さんは了承する。

「いやいや、私はデートとは一言も言っていません!」

「そうでしたっけ?」

「そうです。」

「まぁ、私はアリスお嬢様しか頼る人がいないので、今日もよろしくお願いします。」

「ええ、まぁ、しょうがないですね。」

となんだかんだ言いながらアリスは了承する。

それを見ながらエルヴィス爺さんは「若いのぉ」と微笑むのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 上司に起こしてもらうの気になります
[気になる点] 30過ぎのおっさんが寝起きに伯爵令嬢を襲うとか誰得なん? ここの描写だけホントに気持ち悪くて不快です 普通に死罪
[一言] 英語文化に洗脳されている小生としては、姓と名が英語圏風なのでどうしても普段使い慣れている方に引っ張られてしまう。つまり「スミス」君は「スミス家」の方と勘違いしてしまう、「マルコ」という名はキ…
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