第322話 武雄達が退出してからのレイラ達の執務室と武雄達のティータイム。
武雄達が退出して。
「あぁ!もう・・・何なの?タケオさんは・・・」
レイラが机に突っ伏す。
「え?え?」
アルマが驚く。
「はぁ・・・疲れるなぁ・・・
レイラもよく演技ができたね。」
「それはウィリアムもでしょう?」
ウィリアムも椅子に浅く腰をかけてダラリとする。
「え?え?え?」
アルマが状況の把握が出来なく困惑している。
「アルマ、ご苦労様。
それにしても相変わらずタケオさんの発想は凄いね。」
「まさかあの資料だけであそこまで考えるとは思わないわよ・・・」
ウィリアムとレイラが苦笑する。
「・・・ちょっと・・・2人とも・・・
タケオさんの考えがわかっていたのではないの?」
「アルマお姉様、わかる訳ないでしょう?
私達は凡人ですよ?
私もウィリアムも表面を取り繕うのに精一杯でした。」
「だね~。」
「はぁ・・・私1人がわかっていない話だったのに・・・」
アルマが呆れる。
「アルマは良い仕事をしたよ?
僕たちの『わからないんですけど?』というのを代弁したからね。
ほら、タケオさん相手に知ったかぶりもしないと・・・タケオさんの中で僕の評価が下がりそうだし・・・」
「私もアリスの手前『わかっていますよ~』としないと姉としての面子が・・・」
「貧乏くじだわ!?」
「まぁまぁ。アルマお姉様、朝のタケオさん作のキャラメルでも食べて。」
レイラが食堂から持って帰ってきたキャラメルをアルマに出す。
「う・・・そうね。
・・・はぁ~美味しいぃ。」
アルマはキャラメルを食べほんわかする。
「僕も貰おうかな。」
「はい。」
ウィリアムとレイラも食べ今までの疲れを癒し始める。
「さてと・・・タケオさんの意見は両方のメリットとデメリットがあったね。」
「そうね。ウィリアム、私はやはり農地の中の町が良いと思うわ。」
アルマが言ってくる。
「うん、それは労力が少なくて良いという所だね。
レイラはどう思う?」
「そうですね・・・私は川に面した町が良いと思いますね。
3伯爵領からの物流拠点と兵士の集結の時間短縮は魅力的ですね。」
「そうだね。
そちらは地域経済の活性化と軍事がメインになるね。」
「ウィリアムはどう思う?」
アルマが聞いてくる。
「そうだなぁ・・・
タケオさんには2択で説明して貰ったけど、両方する方法もあるんだよね。
僕たちが住むのは川に面している町で専売の工場群を農地の中の町に設置してしまえば、両方が出来るね。」
「確かにそうね。その考えはなかったわね。」
「まぁまずはどちらに注力するのかという問題なんだけどね。
僕は川に面した町に住んで経済の活性化を狙うと共に、農地の中の町に工場を集中して建設することによって町の警護を厚くする方が良いと思うね。
まぁ工場群を攻撃されたら全部がダメになるという危険もあるけど・・・
その辺はさっきも言ったけど、文官と武官のトップを呼んで決めようか。
会議前に父上にも相談してみるよ。」
「「はい。」」
ウィリアムの考えにアルマもレイラも頷くのだった。
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武雄達は自室に戻ってマッタリとキャラメルとバターサンドとお茶を楽しんでいた。
「きゅ~♪」
「そうですね、クゥ。美味しいですね~♪」
チビッ子達はキャラメルもバターサンドも美味しそうに食べている。
「タケオ様、相変わらず発想が奇抜ですね?」
「奇抜とは・・・アリスお嬢様に褒めていただいて光栄ですね。
というよりいつかは誰かが考えたであろう案ですよ。」
「まぁ・・・これがいつものタケオ様ですけど。
それにしてもあの説明を聞いていて不思議に思ったのですけど。」
「はい、なんでしょうか?」
「農地の中の町も川に面した町も各々に特徴がありましたが、両方する手もあったのではないですか?」
「ええ。住む場所は川に面した町で工業を農地の中の町に持って行くことで両方をすることが可能ですね。」
「なんで言わなかったのですか?」
「そこまで踏み込むのもねぇ・・・
それに議題は『住む街をどちらにするか?』です。
具体的な異動に伴う予算がどのくらいで工業地を分けても良いのかとか・・・
もう少し詳しい条件がなかったので、あくまでレイラさん達が住む街に専売局の工場も建てることを考えて2つを考えました。」
「そうですか・・・レイラお姉様とウィリアム殿下はわかっていたようですけど・・・」
「そうですね。
まったく・・・
わかっているなら別に私の意見を聞かなくても良いと思うんですけどね。」
「折角、タケオ様が来たから説明させたかったのでしょうね。」
「そうですね。必要と思ってくれることはありがたいですね。」
アリスと武雄は苦笑し合う。
武雄は「レイラさん達、頑張ってたよなぁ」という意味合いの苦笑なのだが・・・
まぁアリスの機嫌が良いので言わないでおこうと思うのだった。
と。ノックをして執事とメイドが昼食を持って入って来る。
「お食事をお持ちしました。」
「「ありがとうございます。」」
武雄とアリスは机の上のお茶を片付け始めるのだった。
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