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第315話 22日目 寝ましょうか。武雄とアリスの今後の方針。アズパール王の鬱憤。

アリスと武雄は湯浴みが終わり部屋でマッタリとしていた。

ミアとクゥはお風呂が気に入った感じで楽しそうに湯あみから戻って来た。

ちなみにアリスとミアとクゥが湯あみに行っている間に執事が赤ちゃん用の小さいベッドを持って来て据え付けて行った。

「主、これは私とクゥのベッドですか?」

「そう言って置いて行きましたよ。

 何か魔法がかかっていそうですか?」

武雄の言葉にミアとクゥがじーっと眺めるが・・・

「クゥ、何も感じませんよね?」

「きゅ。きゅ?」

「確かに。ですが、それは最終手段です。」

「きゅ。」

ミアとクゥが何か相談している。

「クゥ、成獣に成るのはダメですよ?」

武雄が釘を刺す。

「きゅ!?」

「主!なんでわかったのですか!?」

ミアとクゥが驚きながら聞いてくる。

「最終手段と言う言葉でそれしか考えられなかったのでね。

 先に釘を刺しました。

 それにもし出られないなんてことがあれば」

「私が壊します。」

アリスがにこやかに言う。

「・・・わかりました。」

「・・・きゅ。」

2人は「そっちの方が怖い」と考えながら答えるのだった。

・・

武雄とアリスは今までの旅の感想を言い合っている。

ミアとクゥは自分たちのベッドに入るとすぐに寝息をたて始めていた。

「あら?2人とも寝てしまいましたね。」

アリスが2人を見ながら言う。

「初めての王都でしたし、戦闘もしましたからね。

 あ、2人とも今日は昼寝をしていませんでしたね。」

「そう言えば、移動中良く寝ていましたね。

 王都で緊張していたのでしょうか。

 まぁ私もですけど。」

「そうですね、今日は疲れましたね。」

武雄が頷く。

そんな武雄をにこやかにアリスは見ていたが、突如タケオに聞いてくる。

「・・・タケオ様、確認したい事があるのですけど。」

「はい、なんでしょうか。」

「・・・パット殿下から私たちの婚約に異議が唱えられました。

 ・・・その・・・タケオ様はどうお考えで?」

「パット殿下は私的にはスミス坊ちゃんと同じくらいの年齢だと思うのですが、子供の戯言に一々怒ったりしませんよ。

 まぁそれなりに嫌な気分にはなっていますが・・・嫌味を飲み込んでお腹を壊したという事も聞いたことないですしね。

 何も言わない事で王都やパット殿下のご家族に貸しが出来れば良いかなぁとは思いますね。」

「・・・そういう物ですか?」

「問題にされてしまうのならば、私はアリスお嬢様と駆け落ちをさせてもらいます。

 ついて来てくれますか?

 その・・・逃避行になってしまいますけど・・・」

「ええ!喜んで付いて行きます!」

「なので、今日の出来事は王都に貸しが出来た程度に思っていますから、私からは大事にする気もありません。」

「わかりました。

 じゃぁタケオ様、レイラお姉様やウィリアム殿下の公領への引っ越しはどう思います?」

「今後どうするかは、エルヴィスさんと話さないといけませんが・・・

 優先順位が変わるはずですよ?」

「やはりそう思いますか?」

「エルヴィス家としては王都に反抗する気も蔑ろにする気もないのは変わらないでしょうが・・・

 少なくともまずはエルヴィス領の安定と発展があった上で次に来るのが、ウィリアム殿下達となるでしょうね。

 そしてゆくゆくは王国内が繁栄すれば良いかと。」

「そうですね。

 タケオ様の個人的な所はどうですか?」

「私の優先順位ですか?」

「はい。」

「貴族になってしまいましたが、私的には基本変わらなくて良いと思っています。

 まずはアリスお嬢様を守るし家庭を築かないといけない。

 そしてエルヴィスさんを始めとしたエルヴィス家に恩を返す。

 エルヴィス家を擁する街に恩を返す。

 エルヴィス家が治める領地に恩を返すの順番ですよ。」

「タケオ様の説明だったらその後に確か王国に恩を返すでしたね?」

「でしたね。

 ですが、周辺の状況もわかって来たのでここに修正が入ります。

 エルヴィス領の繁栄の次にゴドウィン領と第3皇子領との良好な関係を作らないといけません。

 まぁこれは隣接している領だからでもありますし、アリスお嬢様の姉2人という事だからでもあります。」

「はい。

 その次に王都なのですね?」

「まぁそうですね。

 ・・・ですが、今はエルヴィス領が繁栄することに注力したいですね。

 スミス坊ちゃんの時代に繁栄を謳歌できるように下地作りをしないといけないですからね。」

「わかりました。」

アリスは頷くのだった。

「では、アリスお嬢様、私達も寝ましょうか。」

「はい。

 ・・・タケオ様。」

アリスが「抱っこしてください」と手を上げる。

「はいはい。」

「えへへ♪」

武雄はアリスを抱っこして横のベッドに移動するのだった。


------------------------

「・・・」

アズパール王は書斎の椅子に一人腰をかけながらジーと壁を見つめている。

部屋の片隅には・・・さっきまで絵画だった物がある。

「全く・・・なんで今日なんだ!!!

 こっちは明日の事で頭がいっぱいなのに!!」

アズパール王は思いっきり机を叩く。

1人になりいろいろ考えたが誰も居ないので感情を抑えないでいた。

「あぁ!!もう!!!

 パットも第2騎士団も慣例と偽り切り付けた実施者もなんで大人しくしていないんだ!

 第1騎士団は第1、第2小隊以外は出払っているんだぞ!

 それにこっちは凡人だ!同時に3件も処理できんわ!

 タケオにはウィリアムに朝の時点で謝罪はさせるが・・・

 はぁ、我も謝罪に行かないといけないが、何も真相がわかっていないのに謝罪してもなぁ・・・」

他に誰もいない部屋で愚痴る。 

「・・・このままではアリスもタケオも王都を見限るぞ。

 特例に次ぐ特例しかないのか?そうすればタケオ達は国内に居て、大人しくしてくれるのだろうか?

 ・・・ん~・・・・いや違うか。周りが勝手にタケオに仕掛けているのか。

 今日できることは、とりあえず対応はした・・・はず。

 明日の予定には響かないか?1年越しの計画なのに。

 とりあえず明日の会議もどうせタケオ関連は決まらないだろうからウィリアム達の人選の話から始めるか。

 タケオはこんなことにかまけていないでエルヴィス領の事に注力したいのだろうなぁ。

 それにしても第2騎士団・・・か。

 騎士団長も散々だな。明日、直前に教えるか。」

アズパール王が頭に次々と浮かぶ考えをブツブツ言いながら腕を組んで考えを巡らすのだった。


と、書斎がノックされる。

この部屋は任意で外からの音は拾うが中の音は出ないようになっている。

アズパール王は残骸を見つからないように部屋の目立たない所にさらに押し込める。

「・・・構わぬ」

「失礼します。」

書斎の前に居る警備兵が入って来る。

「第1皇子クリフ殿下が参られました。」

「そうか、通せ。」

「は!」

警備兵は退出してクリフを通すのだった。


------------------------

レイラとウィリアムがベッドでゴロゴロしている。

「はぁ・・・今日はいろいろありましたね。」

「そうだね。

 タケオさんはやっぱり謝ってきたかい?」

「そうなの。

 もう想定通りに謝ってきてね。

 で、ウィリアムと考えた通りに返答したら『格別の配慮をありがとうございます』と言われたわ。」

「ちゃんと考えてから行って正解だったね。

 タケオさんに謝らなければいけないのは僕達王家なのだけど、とりあえず想定通りになって良かったよ。

 例の慣例については調査中でもう少しかかるかもしれないしね。」

「あとタケオさんとアリスは明日は資料整理を手伝ってくれると言ってくれたわ。」

「それは良いね。

 タケオさんはすぐにカトランダ帝国に行くと言っていたかい?」

「いや、なんでもフレデリックの依頼で魔法師専門学院に行ってみたいので予約をしてほしいって。

 来年エルヴィス領に入りそうな子を見てきてほしいのだそうです。

 アリスはスミスの寄宿舎をみたいなぁと言っていました。」

「ふむ・・・まぁ地方にいると求人を学院に出してもどんな子が来るのかは学院任せになってしまうのがほとんどだからね。

 事前に見てみたいと思うのは当たり前なのかもしれないね。

 他には何か言っていたかい?」

「ん~・・・例の戦闘後の捕虜はやっぱりミアちゃんだったわ。

 で、その経緯も聞いたのですけど・・・明日の朝食前にお義父さまとウィリアムの3人で相談したいですね。

 ちょっと複雑なので。」

「わかった、父上にはそう言っておくよ。」

「あと、ウィリアム。エルヴィス邸がある街の仕立て屋の店長はこっちに着いた?」

「いや、王都に向け出発しますとは手紙が来たけど、着いたとは連絡がこないね。」

「タケオさんが『シャツを作るなら店長さん達に作って貰おうかなぁ』と言っていたの。

 なので、到着したら教えないといけないと思って。」

「そうだった、すっかり忘れていた。

 予備に1着あるとは言っていたけど・・・今頃、室内に干しているのかな?

 向こうの店長さんが着いたらうちのお抱えの仕立て屋を借りて至急で作って貰おう。」

「・・・ねぇ、ウィリアム。」

レイラがウィリアムに抱き着いてくる。

「おや?今日はいきなり変わったね。」

ウィリアムがクスクス笑う。

「むぅ・・・この間はタケオさんの教えで『徐々に甘えてみよう』に沿っただけです。

 で、ウィリアム。」

「はいはい、何だい?」

ウィリアムがレイラの頭を撫でながら聞いてくる。

「タケオさんが来たという事は・・・例の手紙の賛否討論をするの?」

「え!?」

ウィリアムの腕がピタッと止まる。

アルマにもレイラにも武雄からウィリアムへの手紙は第3皇子夫婦間では隠し事でも何でもなくなっていた。

レイラは事前に全部を見ていたが見ていない体になっている。

「え・・・いや・・・ほら?そんなに日も経っていないし、全部が出来なくても・・・」

「タケオさんに言うの?『全部は試せなかった?』と。」

「う・・・折角もらった知識を試さなかったとは言えないかな?」

「さぁ・・・タケオさんは何て言うのか・・・

 あと何個?」

「・・・5つです。」

「しますよ。」

「はぃ。」

ウィリアムは帰ってきた際のアルマにも似た感じをレイラにも感じ怖気づくのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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