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第306話 鮮紅の暴走。

「タケオ様!!起きてください!!」

武雄は猛烈に揺すられて目を覚ます。

首が取れるかと思うぐらい揺すられる。

「・・・ふぁあ?・・・アリスお嬢様?

 おはようございます。」

武雄は昼寝を邪魔され頭が完全に回っていない。

「起きた・・・ふぇぇぇぇぇ・・・」

アリスが武雄に抱き着きながら泣き出す。

「起きないかと思ったぁぁぁぁぁ!!!!」

アリスは号泣、武雄は困惑。

「いや・・・別に昼寝をしていただけですよ?」

「だって、だって、ふぇぇぇぇぇ・・・」

「はいはい、泣かない泣かない。」

武雄は「困りましたね~」と頭が回転していない状態だが、苦笑しながらアリスの背をポンポン叩く。

「タケオさん、誰にやられたの?」

レイラが真顔で聞いてくる。

「あ、レイラさん、お久しぶりです。

 ちゃんとエイミーさんがアリスお嬢様を連れて行ったのですね。」

「ええ、それはあとで話しましょう。

 今はこの状況が誰によってなされたのかです。」

「いや・・・それはし」

「レイラお姉様、あれです。

 王城の門で立ちふさがった奴らが確か・・・第一近衛分隊長が第2騎士団とか言っていました。」

「あの・・・そこはち」

「立ちふさがった?

 エイミーちゃんの道を塞いだの?

 ふーん・・・第2騎士団ね。

 アリス!殴り込みに行くわよ!」

「ちょ・・・ま」

「はい!レイラお姉様!」

2人は立って颯爽と部屋を出ていく。

「・・・あの・・・話を聞いて・・・」

武雄は右手を伸ばして見送るしかなかった。

室内には武雄とミアとクゥが残された。

「主、何があったのです?」

ミアが武雄の肩に乗り聞いてくる。

「ミア、心配させたみたいですね。

 王城の慣例というのを受けていました。

 まぁ痛かったですが・・・命に別状はないですし、今は回復しています。

 それよりどうしてここがわかったのですか?」

「いえ、主を迎えに行こうとアリス様とその姉君が言われた時にクゥの鳴き声が聞こえたので感覚を頼りにここまできました。」

「きゅ。」

「ん?クゥも起きましたか。

 昼寝は終わりのようですよ。」

「きゅ・・・きゅ?」

「あぁ・・・クゥもわかりましたか。」

「どうしました?」

「いえ・・・アリス様の魔眼でしたか?たった今、発動されました。」

「・・・はぁ・・・どうしましょうかね。

 止めに行かないといけないのでしょうが、王城は初めてで右も左もわからないのですよね。」

と、部屋の入口から男性が1名入って来る。

「失礼します。

 レイラで・・・様付けの執事をしております。」

「ご丁寧にどうも。

 タケオ・キタミザトです。」

2人は軽く礼をし合う。

「すみませんが・・・レイラさんの旦那さんでウィリアムさんと言えば通じますか?」

「はい、存じ上げております。」

「申し訳ありませんが、レイラさんがあの状態なのでウィリアムさんをこちらに呼んで頂けますか?

 右も左もわからなくて・・・動きようがありません。

 かと言って知り合いは他にエイミーさんくらいですが・・・レイラさんを止めるにはウィリアムさんしかいないでしょう。」

「畏まりました。

 呼んで来れるかは少し自信がございませんが、指示を仰いで参ります。」

「面倒を頼んですみません。

 あとあの2人を止めるには私の武器が必要です。

 倉庫から出せるのか・・・確認をしてもらえますか?

 これが預けた際の木札になります。」

「はい、確かにお預かりいたします。

 では、少々お待ちください。

 すぐに確認をして参ります。」

と、執事が足早に退出して行った。

「さてと・・・やる事はないし、キセルでも嗜みますか。」

武雄は椅子に座り直し、キセルをプカプカ楽しむのだった。

「主・・・お気楽ですね。」

「きゅ。」

チビっ子2人は呆れながら自分達ものんびりするのだった。


------------------------

「・・・ウィリアム。」

「はい、陛下。」

「なんだろうな・・・王城がいきなり緊迫した感じがするのだが・・・」

「ええ、私もそう思いますよ?

 クリフ兄上、ニール兄上は?」

「んー・・・なんだか戦場っぽいよなぁ?

 兄上は?」

「私も・・・いや・・・なんでこんな唐突に雰囲気が変わるんだ?」

「・・・これは緊急事態なのでしょうね。」

オルコットが呟く。

「賊でも入りましたかな?」

クラーク議長が呟く。

貴族会議議員達や文官幹部達がソワソワしだす。

マイヤー以下第一近衛分隊はアズパール王の周辺に集まる。

「はぁ・・・つい最近、この感じと似た場に居たのだがな・・・」

「ええ、そうですね。」

アズパール王とウィリアムがため息をつく。

「陛下、この雰囲気になっている原因を知っているのですか?」

「アリスだろうな。」

「アリス?鮮紅ですか?」

オルコットが尋ねる。

「この感じ・・・鮮紅のアリスが魔眼を発動しているのでしょう。

 普段は貴族令嬢然としてニコニコしているアリスの逆鱗に触れるなんて・・・ただ事ではないですよ?

 誰です?鮮紅に喧嘩を売ったのは?」

ウィリアムがため息交じりに不機嫌になる。

「まぁ良い・・・今は第一報が来るのを待とう。」

アズパール王もため息交じりにそう命じるのだった。


------------------------

「・・・何でしょうね・・・この緊迫感。」

セリーナが呟く。

「まぁ、タイミング的に見てアリスとレイラでしょう。」

ローナがお茶を飲みながら言う。

「全く・・・あの2人は何を・・・と言うよりこれがアリスの?」

アルマが呟く。

「ええ、鮮紅の代名詞たるオッドアイの魔眼でしょうね。」

ローナがため息をつく。

「これがアリス様の本気・・・」

エイミーが驚く。

「執事。」

「はい、これに。」

部屋の隅にいた執事が恭しく礼をする。

「陛下および各皇子と王都守備隊に伝えて頂戴。

 妃一同この部屋から出ませんと。」

「はい、すぐにお伝えして参ります。」

ローナが執事に対して命令し、執事が退出していく。

「はぁ・・・これは一大事ね。」

「まぁ、見方を変えれば王城内の不埒者の一掃が出来そうですね。」

「さて、レイラとアリスをどう擁護しましょうかね・・・」

ローナとセリーナとアルマは苦笑するのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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