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第304話 緊張の時。なんで王家の妃方と・・・

軽く挨拶を済ませたアリスは席に座り緊張しまくっていた。

「アリス、そんなに緊張しなくても良いのよ?」

隣のレイラが苦笑しながら声をかける。

「レイラお姉様、この状況は普通ではないです。

 私は地方貴族の孫ですよ?

 それが王家の方々と一緒にお茶なんて・・・」

アリスは周りを見るとローナ、セリーナ、アン、エイミー、クリナ、アルマがニコニコしている。

「うぅ・・・」

アリスは「絶対場違いだよね・・・タケオ様はこれがわかっていたの!?」とここにいない武雄を少し恨むのだった。

「ふふ、アリス、何を緊張しているの?

 私達には3年前に会ったじゃない。」

セリーナが苦笑しながら言ってくる。

「あの第1皇子妃セリーナ様・・・」

「ここにいる時は名前で良いですよ。

 公の場ではダメですけどね?」

ローナがそう朗らかに言う。

「うぅ・・・本当に平気なのでしょうか・・・

 そのセリーナ殿下・・・私は地方貴族のタダの孫娘なのですけど。」

「平気よ。レイラの妹にして『騎士』鮮紅のアリスですから。」

「・・・騎士?」

「あら?・・・レイラ、アリスには言ってないの?」

「いえ、お義父さまが言っていましたよ?

 『2年前に受勲する際に騎士にするのを忘れたから今回タケオと一緒に認可してしまおう』と。」

「・・・本当に通したのですか?」

「凄いでしょう。発案されてから認可されるまでの最速記録じゃない?

 今日中には了承される手はずになっているわよ。」

レイラがクスクス笑う。

「・・・文官や武官の方々は?」

「異論は出なかったそうよ。タケオさんの男爵への取り立てについてもね。

 まぁ、お義父さまの発案を無下にする文官はいないわよ。」

「うぅ・・・」

アリスはガックリとするしかなかった。

「ところでアリス、手紙の中で『皆で行きます』とあったけど、なに?」

レイラが気になっていたことを聞いてくる。

「あぁ・・・そうですね、紹介がまだでした。

 ミアちゃん。」

「はい、アリス様。」

と、アリスの内ポケットから出てアリスの前の机に降りる。

「主タケオの部下で妖精のミアです。

 皆様、よろしくお願いします。」

と、お辞儀をする。

「「「「妖精!?」」」」

エイミー以外が驚く。

「ちょ・・・ちょっと待って・・・

 妖精なんてどうやって・・・それに部下!?どういう事!?」

アルマが混乱しているが他の面々も頷く。

「私の反応は正しかったのですね。

 ちなみに妖精のほかにドラゴンの子供もお連れしています。」

エイミーがホッとしながら言う。

「「「「ドラゴン!?」」」」

王家の面々がエイミーの方を向く。

「・・・アリス、アナタ達はどんな旅をしてきたの?

 妖精にドラゴンの子供・・・普通じゃ出会えない魔物ばっかじゃない。」

ローナが聞いてくる。

「ミアちゃんはエルヴィス領でタケオ様が拾って部下にしました。

 ドラゴンの子供はクゥと言いますが、旅の途中で野宿をしている時に出会って、王都が見たいと言ったので勝手に行って暴れるくらいなら一緒に同行しようとなりました。」

アリスは武雄と打ち合わせした通りに説明する。

「はぁ・・・大丈夫なの?」

セリーナが聞く。

「はい。2人とも自分に危害が加えられないなら大人しいです。

 それにミアちゃんのおかげでクゥちゃんとも意思疎通もできますから。」

「え?話せるの!?ドラゴンと?」

「タケオ様がミアちゃんを部下にする際に魔物と話せるので通訳として雇いましたから。

 通訳のおかげでクゥちゃんが王都に行きたいと言っているのもわかりましたし。」

「そう・・・意思疎通ができるなら・・・たぶん大丈夫ね。

 あとは王城の者が危害を加えなければ問題ないわね。」

アルマが呟くと皆が頷く。

「あ、自己紹介がまだでした。

 妖精のミア殿、私はレイラと言います。アリスの姉です。

 よろしく。」

「はい、よろしくお願いします。

 ミアとお呼びください。」

「私は第1皇子の正室で」

次々と自己紹介をするのだった。

・・

「はぁ、初日から驚く事ばかりだわ。」

レイラがため息をつく。

「驚かすつもりはなかったのですけど。」

アリスが苦笑する。

アリスは少しこの場に慣れてきたようだった。

と、エイミーがクリナとアンを連れてアリスの所にやって来る。

「あのアリス様。」

「エイミー殿下・・・様付けはしなくても良いのですけど・・・」

アリスは再び断るが。

「良いんです!アリス様は私達の英雄なんですから!」

再びエイミーは様付けをすることを宣言し、目をキラキラさせながらアリスを見る。

「レイラお姉様・・・どうすれば・・・」

アリスは困ってレイラを見るが、レイラも苦笑しながらセリーナを見る。

「ふふ、構いませんよ。

 その子たちの好きにさせて頂戴。」

セリーナは朗らかに頷く。

「うぅ・・・

 何でしょうか?エイミー殿下。」

「あの!?本にサインしてください!?」

と、アリスの童話本を前に出す。

「はぃ?なぜでしょう?」

アリスは全く予想だにしていない事柄が発生し驚く。

「折角会えたのです!名前を書いてください!」

「はぁ・・・まぁ別に構いませんけど・・・」

と、エイミーが用意したペンを取って背表紙裏に名前を書こうとして。

「あの最初に『エイミーさんへ』としてください。」

「ええ・・・」

アリスは言われた通りに名前を書く。

「「私達のもお願いします!」」

と、クリナとアンも目をキラキラさせながら本を出す。

「あぁ・・・わかりました。」

アリスはエイミーの時と同じようにクリナとアン宛と書いてから自分の名前を書く。

「「「ありがとうございます!」」」

と3人は礼をして席に戻ると。

「「「やったね!」」」

と、ホクホクしながらワイワイ話し始める。

そんな様子を妃達は朗らかに見るのだった。

・・

「アリス、そういえばタケオさんはどうしたの?

 一緒じゃないの?」

「何でも王城の慣例で従者は別室待機なのだそうです。」

アリスは不機嫌そうに言う。

「別室待機?・・・そんな慣例はないわよ?」

レイラが若干驚きながら返答をしてくる。

「え?でも・・・そう言われました。」

「そもそも何でタケオさんが従者・・・あぁ、平民と貴族の違いかな?

 という事は帯剣が許されなかったはずだけど?」

「はい。剣を受付で預けてエイミー殿下を待っている間に他の者が『初めて来た方の従者は別室待機』と言ってタケオ様を連れていきましたが・・・」

「レイラ、どうなの?」

ローナが聞いてくる。若干、真面目な顔をしている。

「・・・アルマお姉様、私は基本的に従者は主に寄りそう者という認識です。」

レイラが考えながら聞く。

「レイラ、それは合っています。

 従者の帯剣はダメですが、帯同は許されています。

 従者が主の横を離れてしまうと従者の仕事が出来ませんからね。

 まぁ大人数の従者を引き連れてきた場合は、数人を同行させ残りは別室で待ってもらう事はあるでしょうが・・・アリスとタケオさんの2人組では別室待機はあり得ませんね。」

「という事は?」

セリーナが真面目な顔で聞く。

「王城内で不埒な事を考えている輩がいるという事でしょう。」

アルマが言う。

「・・・確か連れて行った者が『招待された方と面会して同意があれば別室から呼ぶことも可能』と言っていました。」

「アリス、タケオさんを迎えに行きましょう。」

「はい。」

と、レイラとアリスが席を立つとミアがアリスの肩に乗る。

肩の上でミアが誰も居ない方を向いてジーと何かを見ている。

「アリス様、急いだ方が良いかもしれません。」

「どうしたの?ミアちゃん。」

「クゥが鳴いています。」

「・・・私達には聞こえませんが・・・なんて言っているの?」

「主が斬られたと。」

「「「「え!?」」」」

その場の面々が驚くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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