第29話 エルヴィス邸に帰宅。
武雄とアリスは、もうすぐエルヴィス邸に着くところまで来ていた。
「アリスお嬢様。もうすぐ家ですね。」
「そうですね。
そういえばメガネの調子は良さそうですね。」
「はい。いろんな文字をちゃんと認識できています。
それにしても疲れました。」
「あら、まだ2日ですよ?」
「そうなんですけどね。
メガネと服を作っただけでこれだけ疲れるとは・・・先が思いやられます。」
と武雄はアリスに苦笑いをした。
「・・・タケオ様は馬は乗れますか?」
「いえ・・・馬に乗った・・・触れたことすらありません。」
と正直に言う。
「では、乗れるようにしないといけませんね。」
「やはりそうなりますよね。」
正直な話、武雄は上手く乗れる自信がなかった。
「3、4日後からしてみますか?」
アリスは聞いてくる。
「そうですね。明日はアリスお嬢様とお茶をしにいきますし。
明後日と明々後日はスーツとコートをもらい受けないといけませんから。」
「そうです。明日は美味しい物を食べましょう。」
とアリスは明日のお茶を楽しみにしている様だった。
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エルヴィス邸に到着。
玄関を入るとフレデリックが丁度いた。
「おかえりなさいませ、アリスお嬢様、タケオ様。」
「ただいま、フレデリック。」
「フレデリックさん、お疲れ様です。戻りました。」
「もうすぐ晩課の鐘ですので、今は夕飯の支度をしています。
もうしばらくお待ちください。」
とフレデリックが言う。
「タケオ様はどうされます?」
アリスが尋ねてくる。
「そうですね。ちょっと一服してきます。
その後は、客間に行って貰った本を見ようかと思いますが。」
「そうですか。わかりました。私はお爺さまに帰宅の挨拶をしてきます。」
「わかりました。」
と武雄は答え、フレデリックに会釈する。
そして早くも2日目で一服の場所になった裏庭に向う。
そんな武雄をアリスとフレデリックは見送るのだった。
「アリスお嬢様、どうでしたか?」
「ええ、楽しかったです。
価値観が違うというか、見方が違うとあそこまで面白い物なのですね。」
「ほぉ。では、夕飯後のティータイムで発表してもらいましょう。」
「はい。ちなみにお爺さまはどこにいますか?」
「客間にて、お二人の帰りをお待ちです。」
「では挨拶をしてきましょう。私も夕飯までいます。」
「畏まりました。」
とアリスは客室に向かう。
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武雄は一服を終え、目的の客間のドアをノックする。
中から「どうぞ。」と許可が下りるのを確認し扉を開け入室する。
「エルヴィスさん、戻りました。」
「タケオ、おかえり。」
「アリスお嬢様もこちらでしたか。」
「はい。お爺さまに軽く報告をしていました。」
「どんな報告をしていたのか気になりますね。」
「?いたって普通にメガネを作って服屋に行ったと言いましたけど?」
とアリスは言ってくる。
「いや、私の着替えをマジマジと見ていましたから」
武雄は笑いながらアリスに言う。
「タケオ様!!!」
アリスは顔を赤らめて抗議してくる。
「すみませんすみません。冗談ですよ。」
「なんじゃ?おもしろそうじゃの。
わしも行きたかったの。」
と談笑しているとフレデリックがやってくる。
「皆さま、夕飯の用意ができました。」
皆は席を立って食堂に向かったのだった。
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