第298話 カフェで小太刀の事を考えよう。
問屋さんを出た武雄達一行はミアが「お腹空きました。」と言い出したので、エイミーお勧めの個室タイプのカフェに来ていた。
皆がエイミーお勧めのマドレーヌを食べてマッタリしている。
「~♪」
武雄は嬉しそうにお茶を飲んでいる。
「タケオ様、嬉しそうですね?」
アリスが聞いてくる。エイミーもマイヤーも頷く。
クゥとミアは大人しくモグモグしている。
「ええ、まさか小太刀があるとは思いませんでした。」
「小太刀・・・どういった物なのですか?」
マイヤーが聞いてくる。
「ん?マイヤーさん、気になります?」
「ええ、使っている者が居ない武器ですので、興味はあります。」
「どうぞ。」
武雄は吊ベルトを外し、マイヤーに小太刀を渡す。
マイヤーは剣を鞘から抜く。
「え?・・・軽いですね。
一般的な片手剣より短く、ナイフより長い・・・
鍔や柄は片手剣より若干小さめですかね。
んー・・・説明にあった通り、刀身が薄いですね。
これは実戦に耐えられるのでしょうか?」
「さて・・・どうでしょう。
どちらにしても剣は消耗品なのではないのですか?」
「ええ。大体1、2年使うと刃こぼれしますし、戦などがあった際には買い替えをしています。」
「なるほど。
これもそうなのでは?
それに私が知っている小太刀と素材や性能も一緒なのかどうかもわかりませんしね。」
武雄は苦笑する。
「タケオさん、これは普通の片手剣とは違うのですか?
片刃なんて珍しいのですけど。」
「そうですね・・・にわか知識ですけど良いですか?」
「はい。」
エイミーが頷く。
「マイヤーさんは片手剣ですか?両手剣ですか?」
「戦闘時は両手剣でしていますね。
アリス殿がこの間使っていたヤツですよ。
今は片手剣を持って来ていますが。」
と、マイヤーは腰から剣を抜き小太刀と一緒に机に置く。
「これはわかりやすいですね。」
机に置かれた2つの剣を見ながら頷く。
「まず見た目が違いますね。」
アリスが言う。
「そうですね。
片手剣は真っ直ぐで両刃、小太刀は少し曲がっていて片刃ですね。」
「マイヤーさん、片手剣の戦い方はどうやるのですか?」
「んー・・・1体1でならフルプレートのつなぎ目を狙いますね。
突いたり、斬ったりですかね?」
「そうですか。
そういう戦い方なのですね。」
「相手を切り飛ばすなら両手剣でないと威力が出ませんね。」
「なるほど。
では、こちらの小太刀ですけど。
基本的には片手剣と同じで相手がフルプレートならつなぎ目狙いでしょう。
これと片手剣の違い、それは斬る方法にあると考えています。」
「斬る方法?斬るは一個しかないと思いますが?」
エイミーが聞いてくる。
「片手剣は『叩き斬る』事が目的で、この小太刀は『斬り裂く』事が目的です。」
「タケオ様、違いがわからないのですが?」
アリスが聞いてくる。
「えーっと・・・では、マドレーヌで。
まずは『叩き斬る』」
マドレーヌにフォークの横を当て上から下に入れ、切り取る。
「で、『斬り裂く』」
先ほどの様にフォークを当ててから横に引きながらフォークを入れ、切り取る。
「の違いです。」
「へぇ・・・でも、何が違うのですか?」
エイミーが「わかりません」という顔をしながら聞いてくる。
「んー・・・これは致命傷に違いがでますね。」
マイヤーが言ってくる。
「どういうことです?」
「片手剣で斬りつけられても切り傷よりもむしろ打撲が致命傷になるのですけど。
小太刀だと深くまで切っていくので切り傷が致命傷になるのでしょう。」
「まぁ、そんな感じです。
小太刀はよく切れる剣という訳です。
そもそも剣同士の打ち合いもそんなには想定していないのではないですかね?」
武雄はクスクス笑いながら言うだった。
「まぁ、タケオ様は、剣で打ち合うとかしないでしょうし。」
アリスがのんびりと言う。
「ですね。基本は相手の剣を受け止めて、がら空きの体に斬り込むしかないですから。
これは私の戦い方に合っているのかと思いますね。
実際、この剣がどんな性能なのかは、実践で確認するしかないでしょうね。」
「そうですね。」
アリスが頷く。
「そう言えばアリスお嬢様は両手剣を使っていましたよね?」
「はい、タケオ様。受勲する時に深紅のフルプレートと剣を貰いましたので、それを使っています。
私も自分の剣を探した方が良いのでしょうか?」
アリスは首を傾げる。
「どうでしょうか?
まぁ、今のよりもしっくりくる物があるかもしれませんね。
私がカトランダ帝国に行っている間に試してみては?」
「そうですね・・・試してみても良いかもしれませんね。
レイラお姉様達に相談してみます。」
「ええ、マイヤーさんの小隊にでもご協力をお願いして、演習をさせてもらえば良いかもしれませんね。」
武雄は爆弾発言をする。
「は!?うちの小隊ですか!?
ダメです!絶対ダメです!」
マイヤーは猛烈に拒否する。
「良いわね、第一近衛分隊とアリス様の演習!
見てみたいわ!」
エイミーが目をキラキラさせて言ってくる。
「エイミー殿、ダメです。
アリス殿に対するには王都守備隊全隊が当たらないと演習にもなりません。」
「じゃあ、全隊ですればいいのです。」
「それは無理です。
なので、ダメです。」
「うぅ・・・あとでお爺さまに聞いてみます。」
エイミーは口を尖らせながら拗ねる。
アリスとマイヤーは「陛下なら許可しそうだなぁ」と苦笑しながら思うのだった。
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