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第296話 遊びの試合・・・エイミーの身分。

武雄は舞台に上がる。

「待っていたぞ?旅人。」

「待たせてすみませんね。

 はぁ・・・とりあえず、上がってはきましたが・・・

 結果のわかっている勝負はやる気をなくしてしまいますね。」

「ふふん、そうだな。

 だが、ここに上がったのだ仕方あるまい?」

「・・・まぁ、そうですけどね・・・

 あなたを倒せば金貨10枚でしたか?」

「ふむ。お前の体格だと少しキツイ勝負になってしまうな。

 では、100数える間持てば金貨2枚にしてやろう!」

「100・・・微妙ですね。」

「さっきよりかは、やる気は出るだろう?」

「まぁ・・・確かに。」

武雄は頷く。

「では、始めよう。

 100秒後に音を鳴らそうか。

 皆、良いか?」

王者は興行を仕切っている仲間に顔を向け確認する。

「ルールは簡単。倒すか倒されるか、もしくは舞台から先に降りてしまったら負けだ。」

「わかりました、始めましょうか。」

「うむ、かかってこい!」

武雄と王者は戦いを開始するのだった。

・・

「んー・・・?」

アリスは首を捻りながら試合を見ている。

「どうしました?アリス様。

 あ!タケオさん、危ない!」

エイミーはアリスを一旦、見たがすぐに武雄の試合に目を戻す。

武雄は王者の横殴りの剣を順手で持っているナイフを両手を使って防御するが、軽く飛ばされていた。

「いえ・・・タケオ様は明らかに遊んでいるのですけど・・・」

「え?今も剣で飛ばされましたが?

 あれで遊んでいるのですか?」

「あの程度の剣撃でタケオ様が横に飛ばされる?あり得ませんね。

 タケオ様が本気なら不動で剣を受けてからカウンターで何処かしら斬りつけますし・・・

 それにナイフを逆手に持っていません。

 それよりなぜ相手の右腕ばかりを叩いているのかとそちらが気になりますね。」

武雄は、相手の剣を2、3回に1回はナイフで受け止め左に力を流すようにしているのだが、離れ際に相手の剣を持っている右腕をナイフの裏で軽く叩いていた。

「あぁ、キタミザト殿が相手に対して脅しているようなものですよ。」

マイヤーは周囲に気を配りながら言ってくる。

「脅し?」

「隙だらけだと相手に教えているんです。

 その気になれば腕を切りつけられるんだよ?と。

 ほら、見てください。相手の必死な形相を。

 キタミザト殿は、涼し気に・・・てか軽く笑っていますけど・・・

 あれを見るだけでも力量が違うのがわかりますね。」

「そうなのですね。」

マイヤーの言葉にアリスは頷く。

「それよりエイミーさんは・・・レイラお姉様の事を『お姉様』と呼ぶのですね・・・

 あの何処の・・・王都の幹部の方のご才女なのでしょうか?」

アリス不安げに聞く。

「あら?

 ふふ、残念でした。文官でも武官の娘ではないですね。

 私は第2皇子ニールの長女です。」

「大変!失礼しました!」

アリスは物凄い勢いで頭を下げる。

アリスは城門での挨拶の際にマイヤーに目線を送り、頷いたので王都の文官もしくは武官幹部の息女かと思っていたのだが、まさか王家の者が来るとは思っていなかったのだ。

「お爺さまから今日もタケオさんには内緒でいろと言わ

 あ!また!危ない!

 ・・・タケオさんは遊んでいるのかもしれませんが、見ている方は気が気じゃありませんね。」

アリスと会話をしながらもエイミーは試合を見ていて、武雄が横に飛ばされていた。

「まだ・・・継続中なのですか?」

「ええ、今ならレイラお姉様やお爺さまの考えはわかります。

 『さん』付けで呼ばれるのも良いものですね。

 なので、アリス様もそれで構いません。」

「いや・・・王家の方に『様』付けで呼ばれる訳には・・・」

「良いんです!アリス様は私達の英雄なんですから!」

「はぃ?英雄?」

エイミーは目をキラキラさせながらアリスを見るが、アリスは「何のこと?」とマイヤーを見る。

「何でもレイラ殿下の本の影響らしいですよ。」

「あぁ、アレですか。

 売れ行きが良かったのは知っていますけど、そんなになんでしょうかね?」

「私達10代の憧れの的なんです!」

「・・・私も10代なのですけど・・・」

アリスが苦笑する。

と、100秒が経ったようで銅鑼が鳴らされる。

その後も少し戦っていたが、武雄は軽く飛ばされて舞台外に落されてしまった。

周囲からは「「うぉぉぉ!!!」」と歓声が上がる。

「旅人さん、良く凌いだ!」「王者相手に良くやった」等々賛美が投げかけられる。

武雄は舞台にもう一度上がる。

「ふむ・・・今回は、かなり厳しかったな!

 まぁ約束だ。金貨2枚は持って行け!」

「ええ、どうも。」

と、武雄は王者の仲間たちが居る机に行き、金貨を受け取って、アリス達の所に戻って行く。


「ただいま戻りました。」

「タケオ様、お疲れ様です。」

「タケオさん、平気ですか?」

「キタミザト殿、お疲れ様です。」

「主、おかえりなさい。」

「きゅ。」

皆が出迎える。

「上手く立ち回りましたね。」

マイヤーが聞いてくる。

「ですね。

 観衆が喜んでいるみたいなのでバレてはいないみたいですし。」

「タケオさん、アリス様が言う様に本当に遊んでいたのですか?」

「ええ。コレ、余興でしょ?

 なら、王者の面子を守ってあげないといけないでしょうからね。

 『ふらっと来た旅人に負けました』なんてカッコ悪いでしょう?

 彼らも興行で生活しているのでしょうから・・・負かす訳にはいきませんし。

 それにお小遣いも貰ってきましたよ。」

と、武雄は掌を開けて金貨2枚を皆に見せる。

「さてと。エイミーさん、マイヤーさん。

 先を行きましょうか。」

「わかりました。」

武雄達一行はイベント会場を後にするのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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