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第294話 22日目 城門で挨拶。

9時課の鐘が鳴ったので、武雄達はお茶を片付け、馬を引きながら城門に着いたのだが・・・

「・・・」

そこにはジト目で抗議している可愛らしくスレンダーな女の子と苦笑している兵士が待っていた。

「えーっと・・・近衛の隊長さん?」

「はい。キタミザト殿、お久しぶりです。

 アリス殿も相変わらずお綺麗で。」

「隊長さん、相変わらず仕事以外は陽気なのですね。」

「いえいえ、今も仕事中なので真面目ですよ。

 で、こちらが。」

「はぁ・・・」

女の子はため息をつくと。

軽くスカートの両端を持ち、片足を斜め後ろの内側に引き、もう片方の足の膝を軽く曲げ、背筋は伸ばしたまま挨拶をする。

「アリス様、キタミザト様、ようこそ王都へ。

 レイラお姉様よりお二人をお迎えに伺う様、申し付けられました。

 私の事はエイミーとお呼びください。」

「ご丁寧にありがとうございます。

 タケオ・キタミザトと申します。お好きに呼んで頂いて結構です。

 アリス・ヘンリー・エルヴィス様の部下になります。」

武雄が挨拶をしている横でアリスは無言でエイミーを指さしながら目線を第一近衛分隊長に向けると苦笑しながら頷いているのを確認し、内心ガックリとする。

「アリス・ヘンリー・エルヴィスです。

 タケオ様の上司で婚約者になります。

 アリスとお呼びください。

 この度は、お出迎えありがとうございます。」

アリスもエイミーのように挨拶をする。

「挨拶は終わりましたね。

 では、堅苦しく話す必要はありませんので、普段と変わらない話し方で構いません。

 ・・・さて、アリス様にタケオさん、この後はどうするのですか?」

エイミーは武雄達に言う。

「エイミー殿、ちょっと待っていただけますか。

 さっきから気になっていたのですけど。

 ・・・キタミザト殿、そのリュックの上に居るのはなんでしょうか?」

第一近衛分隊長が聞いてくる。

「ん?ドラゴンですけど?」

武雄はしれっと答える。

「「え!?」」

二人は驚く。

「あぁ、妖精もいますよ?」

アリスもしれっと答える。

「「は!?」」

さらに驚く。

「ミア、クゥ、ご挨拶を。」

「はい、主。」

「きゅ!」

「「主!?」」

驚き継続中。

ミアは武雄の肩に乗り挨拶をする。

「主タケオの部下で妖精のミアです。

 お二人とも、よろしくお願いします。

 そして。」

「きゅ。」

クゥはリュックの上から挨拶をする。

「ドラゴンのクゥです。」

「さ、挨拶も済みましたね。

 この後の事ですけ」

「ちょ・・・ちょっと待ってください!

 何で、妖精とドラゴンが一緒なのですか?

 それに部下ってどういう事なんですか?」

エイミーが驚きながら聞いてくる。

「ん?クゥの事は聞かずに今後の予定を聞いたのですから

 王都では大したことではないのでしょう?」

「大したことです。

 ドラゴンは、ヌイグルミかと思っていました。」

「はぁ、ミアはエルヴィス領で拾って部下にしました。

 クゥは旅の途中で王都が見たいと言ってきたので社会見学の為に同行しています。

 で、今後のよて」

「そうじゃなくてですね!?

 何で人間に付き従う妖精やドラゴンがいるのですか?」

「さて・・・前例がわからないのですが、この2人は特別なのかもしれません。

 ミアは部下なので一緒に旅行ですし、クゥは王都に行くと言うので、単独で王都に行って何かあって暴れられるくらいなら私達と一緒に行こうとなっただけなのですが?

 それとも仲間と共に勝手に飛んできて王都を闊歩しても良いのでしょうか?」

「・・・それは止めてください。」

エイミーがドラゴン達が王都を蹂躙している姿を想像したのか、ガックリとしながら答える。

「他に質問はありますか?」

「・・・安全なのですか?」

「逆に質問しますけど。

 ミアもクゥも自身に脅威が及ばなければ暴れないので、その辺は王都では平気なのですか?

 誘拐だとか・・・不埒者がいたら容赦なくこの2人は暴れますよ?

 特にクゥは今はこの姿ですけど、成獣にも変身できますからね?

 街の中では私達が抱えたり、背負ったりしていますから平気でしょうが。」

「う・・・それはちゃんと他の者にも言っておきます。」

「よろしくお願いします。

 私達はエイミーさんだけが頼りなんです。」

「うぅ・・・わかりました。」

エイミーはガックリとしながら答えるのだった。

「近衛の隊長さんは?」

「キタミザト殿、マイヤーで結構です。

 私としてもドラゴンと戦いたくはないので、後で兵士達には通達します。」

「マイヤーさん、ありがとうございます。

 で、今後の予定なんですけど・・・

 私達は今日の宿はどうすれば良いのでしょうか?」

「え?王城に部屋が用意されていますよ。

 レイラお姉様が準備しているはずですが・・・聞いていませんか?」

「なにも聞いていませんね。」

アリスは考えながら頷く。

「そうですか。その辺は、レイラお姉様にお尋ねください。」

「わかりました。

 今から王城を目指すのですね?」

「はい。途中どこかに寄りたい所はありますか?」

「そうですね。

 レイラさんの所に最初に挨拶に行かないといけないのはわかっていますが・・・

 本来の目的が違いますので、まずは、この住所の所に行きたいのですけど。

 わかりますか?」

武雄が懐からテイラー店長から渡されたメモをマイヤーに渡す。

「・・・表通りから1本裏手の道沿いですね。

 ここならわかりますよ。」

「そうですか。

 では、そこに向かいましょう。

 あとはありますか?」

「あとは干物屋に行ってみたいのですが、後日で構いません。」

「干物屋ですか?」

「ええ。王都なら珍しい物が売られているかもしれないので、行ってみたいですね。」

「料理が好きなのですね?」

「いえ、特に好きではないですが、美味しいものは食べたいですし、アリスお嬢様や知り合いが笑顔になってくれるならと思って作っているだけです。

 私の知っている料理はあまり普及していないようで、珍しいのでしょうね。」

「バターサンドやタマゴサンドは美味しかったです。」

「レイラさんが出したのですね。

 上手く出来ていましたか?」

「はい。私は満足でしたが・・・

 レイラお姉様は『何か違う』と言っていました。

 なんででしょう?」

「ん~・・・まぁ一度食べてから考えてみます。」

「わかりました。

 伝えます。」

「では、まずはそのタケオさんが行きたい場所に行ってみましょう。」

エイミーの言葉に一行が移動を開始するのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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