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第290話 旅の3日目 なぜブラックなのか。寝る前に足湯でマッタリ。

「ちなみにクゥちゃん。

 なんでお姉さんがレッドドラゴンでクゥちゃんがブラックドラゴンなの?」

アリスがクゥに聞く。

「きゅ。きゅ。きゅ~?。きゅ!」

「ドラゴンはアナタ達がレッドとかブルーとか言っている色は別に受け継がないそうです。

 そもそもなぜ一緒と思うのか不思議だと。

 人間は雌だけが子供を産みますが、雄も雌も生まれますよね?

 その理屈なら雌からは雌が、雄からは雄が生まれないといけないはずだと。」

「え?性別と特性を同じに語られても。」

アリスは困惑する。

「あぁ、なるほど。クゥ達にとってドラゴンは1種類のみで4種類に大別されること自体『何のこと?』と思っている程度の違いでしかないってことですね。」

「きゅ!」

クゥが頷く。

「んー・・・つまり?」

「つまりはブレスの違いはタダの個性でしかないってことです。

 例えば人間がレッドと言っている物も実際は能力に差があったり、レッドとブルーの両方のブレスが出来る者も居るだろうし、ホワイトとブルーのブレスが出来る者もいるんだよ。

 ってことでしょうか?」

「きゅ。」

クゥが頷く。

「じゃあ、何で私達は3種類に分けたのですかね?」

「きゅ?」

アリスとクゥが武雄に顔を向ける。

「ん?単純化していった結果なのでは?

 往々にして脅威を多数に語る際には大げさにそして単純に話すべきなのです。」

「そうなのですか?」

アリスが「はて?」と言う顔をする。

「そうですね・・・・例えばですよ?

 『アズパール王国内の東にある一つの山の麓の村から山の方に3日歩いて行った所に洞窟がある。

  洞窟に入り20m進み分岐を左に進み。さらに30m進むと右に曲がりながら下り坂になっている。

  15m行き、さらに8m行った先に10m程度のくぼ地があり、このくぼ地を降りると20m程度の横穴があり、奥に炎を吐くドラゴンが居る。

  そのドラゴンは20年に一度村に飛んできて田畑を根こそぎ焼き尽くした。』

 としましょう。」

「はい。」

「説明が面倒で頭に入っていないでしょう?

 では、次はどうでしょう。

 『アズパール王国の東の山にレッドドラゴンがいて数年に一度、村の田畑を焼き尽くす。』」

「・・・割とわかりやすいですね。」

「話を伝えるためにどんどん単純化しながら人から人に話されていくと大体、ドラゴンは3種類になったのでは?

 『お前の所もレッドドラゴンだったのかうちの方もそうだったんだよ。』とか

 それに一々細かい所まで覚えていられないでしょうから。」

武雄は苦笑し、他の皆が頷くのだった。

・・・

・・

「あぁ・・・足湯は気持ち良いですね。」

「ですね。」

武雄とアリスは寝る前に足湯でマッタリしている。

ミアとクゥに周囲に何か生き物がいるか聞いたら「いない」と回答を得たので「もう寝よう」と話を切り上げた。

で、足湯に入ってから寝ようとなり、お湯を再度張り直した。

「・・・」

クゥは二人がのんびりと浸かっているのを見て、縁まで来たのだが、入るのを躊躇していた。

お湯面に顔を近づけ、匂いを嗅いだりしている。

「・・・早く入れ。」

横でクゥが入るのを待っていたミアがクゥの背中を押す。

「きゅ!!?」

ドボンッ!

クゥはバランスを崩し、足湯に落下。

「きゅ!?きゅー!?」ジタバタしながらクゥは見事に溺れ始める。

「はいはい。」

ミアも足湯に入り、クゥの所まで泳いでいき、肩を貸し救助する。

「きゅ!きゅ!」

クゥがミアに怒っている感が伝わるが・・・

「きゅ!?」

ミアが何も言わず、クゥを・・・見捨てる。

「きゅー!?きゅ!きゅー。」

「初めからそう言えば良いのです。」

ミアは再び、クゥに肩を貸して一緒に縁に泳いでいく。


そんな光景を見ていた武雄達だが。

「なんと言うか・・・ミアちゃん、クゥちゃんにさっきから当たりが強いですね。」

「・・・ドラゴンを手玉に取るとは・・・

 さっき、私達に通訳しなかった内容が相当、頭にきたのですかね?」

「さぁ。でも足湯から出たら立場が逆転するのでは?」

「それはそれで見物ですね。」

武雄とアリスは「どうなるのかなぁ」と眺めるのだった。


「きゅ~~♪」

「はぁ~~♪」

クゥは顎を縁に乗せ、ミアは縁に腕を重ね顎を乗せながらお風呂を満喫している。

クゥは溺れはしたが、お風呂は気に入ったようだ。

「それにしても、主、どうやって姉ドラゴンの攻撃を防いだのですか?」

「きゅ?」

ミアが何気なく聞いてきてクゥも頷く。

「ん?シールドを展開して防いだのですよ。」

「いやいや、ただのシールドでドラゴンの攻撃が防げるわけないです。

 いくら姉ドラゴンが本気ではなかったとしても普通の人間なら即死です。

 何をしたのですか?」

「いや。普通にシールドを35枚重ねただけですよ。」

「35枚!?」

「きゅ!?」

「ん?どうしたのですか?」

「主は大魔法師なのですか?」

「きゅ?」

二人が同時に聞いてくる。

「違いますよ。私は1回で使える魔力量が少ないので初期の魔法しか使用できません。」

「ですけど、タケオ様は『魔力量が減らない』という特性を持っていてね。最大35回連続で使えるのよ。」

「ほぉぇ~・・・それならアリス様も守れますね。」

「ん?ミア、それは違いますよ?」

「何でです?主。」

「まぁ、体感してもらうのが一番ですかね。

 アリスお嬢様、魔眼をお願いします。」

「はいはい。」

アリスは二人に向け魔眼を発動し威嚇する。

「ひ!?」

「きゅ!?」

・・・若干、二人とも震えていませんか?

武雄は二人を観察しながら苦笑する。

「と、こんな感じです。

 私は『身体強化』と『武器と衣服の強化』しかできませんけどね。」

アリスは、そう言いながら魔眼での威嚇を止める。

「アリスお嬢様は、ここら辺の人間の中では最強の武力を持っています。

 シールドを10枚程度重ねてもアリスお嬢様は貫通させて剣を当ててきますよ。」

「「・・・」」

二人は何も言わずコクコク頷く。

「最強・・・嫌な響きです。」

アリスが眉間に皺を寄せる。

「まったくですね。

 最強、最高、至高・・・周りの期待が高くなるだけです。」

武雄もため息をつく。

「まぁ、良いです。

 そんなわけで、二人とも改めて言いますけど。

 私達二人の傍から離れてはいけませんよ?」

「何かを見つけたり、美味しそうな匂いがしても勝手に行ってはいけませんよ?

 必ず私かタケオ様に言ってからですからね?」

「はい!」

「きゅ!」

ミアもクゥもすぐに返事をする。

「さてと、そろそろ寝ますか。」

「そうですね。」

武雄とアリスが足湯から出てタオルで足を拭きテントに行ってしまう。


「きゅ。きゅ?」

「ええ、クゥ、その通りかもしれませんね。

 私達は運が良いのかもしれません。

 主には命を救って頂いて、さらに住み家と食べ物も頂いている恩もありますし、アリス様やそのご一家も優しくしてくれていますが。

 お二人ともそこら辺の人間とは次元が違いました・・・アリス様については、ただの貴族令嬢かと思って侮っていましたが。

 まさか、ドラゴンの次くらいの攻撃力を持っている人間だったとは・・・

 あの二人には逆らわない方が良いですね。

 妖精だろうがドラゴンだろうが叱りそうです。」

「きゅ。」

小さい二人は武雄達の前では大人しくしていようと誓い合うのだった。

・・

「さて、毛布も敷きましたし。

 薪もゆっくり延焼するように回りに置きました。

 寝ますか。」

「「は~い」」

「きゅ~。」

4人は身を寄せながら夜を過ごすのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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