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第284話 旅の2日目 明日の夕飯の準備と小隊長との会話。

色んな食材や瓶を買い込んで武雄は只今絶賛料理中。

フライパンや鍋等々調理器具は宿から借りている。

アリスは町中で買った雑誌を読みながら時間を潰し、ミアはお昼寝中。

「んー・・・タケオ様、何を作っているのですか?」

「ん?今は明日の夜用の肉を作っていますよ。」

「干し肉ではないのですか?」

「違いますね。ローストビーフという料理を作っていますよ。」

「ローストビーフ・・・んー・・・何ですそれ?」

「ん?牛肉の塊りの表面を焼いてから後は蒸し焼きにする料理ですね。

 もう少ししたら試食ですよ。」

「はい!待ってます!」

アリスの元気の良い声を聞きながら武雄は料理をする。

ローストビーフは鍋で絶賛蒸し中。

武雄は今、肉の焼き汁で玉ねぎを炒め、トマトとリンゴのすり身、赤ワイン少々とすりおろしニンニクを煮詰めながらソースを作っている。

武雄はとりあえず煮詰めているが・・・上手くいくかなぁとちょっと不安になっていた。

「まぁ最悪はリンゴジャムでも付けるか。」と代替案を模索したりもする。

良い感じで水分が飛んできたので、買ってきたジャム用の瓶に移す。

ローストビーフを鍋から取り出し、端を数枚切ってから焼き加減を見る。

肉の血が出て来ないので完成として切りだした数枚に今のソースを付けて机に持って行く。

「はい、試食ですよ~。」

「「試食!!」」

アリスとミアがこれでもかと言った感じの最速で駆け寄る。

「あれ?ミア、寝ていたのでは?」

「試食という単語で起きました!」

その言葉に武雄は苦笑する。

「さて、適当にソースは作りましたが、合うのかどうか食べましょうか。」

「「はーい」」

3人はローストビーフを食べ始める。

「んー・・・ちょっと塩気が足らないですか?」

「肉は美味しいですねー。」

「ふむ、確かにちょっと薄いですかね?でもソースの味の方向性は大丈夫そうですね。

 後で一つまみ塩を入れておきましょうかね。」

「お願いします。で、タケオ様、これが明日の夕飯なのですか?」

「そうですよ?

 アリスお嬢様は干し肉の塩気が強いのがあまり好きではないのでしょう?

 なので、それ以外の肉料理というと私の中でこれしかなかったので。

 最悪はこの肉をスープに入れようかと思っていましたから。」

「あ、覚えていたのですか?」

「ん?違いましたか?」

「いえ・・・ありがとうございます。」

「ふふ。どうせなら1食くらいは野宿でも美味しい夕飯が食べたいでしょう?

 さてと、ローストビーフは水気を取ってバスケットにしまいますかね。

 そして今日の夕飯の準備も始めますか。」

武雄が席を立ち厨房に戻ろうとする。

「はい!お願いします!」

アリスは満面の笑みで答えるのだった。


------------------------

「はぁ・・・満足です。」

「お腹いっぱいです。」

夕食を終えたアリスとミアは満足そうに食後のお茶を飲んでいる。

武雄はそんな二人をニコニコ見ている。

「タケオ様、明日の朝食、昼食、夕食、明後日の朝食と昼食・・・計5食分の準備は出来ているのですか?」

「出来ていますよ。

 明日の朝食以外は持って行くので、パンは薄く潰しましたが。」

「あぁ・・・やっぱり入らなかったのですね。」

「ローストビーフにそのソース、マヨネーズ、リンゴジャム、塩、ハム、干し肉、干しシイタケ、ニンジン、ジャガイモ、リンゴ、オレンジ、パンを入れました。」

「大荷物ですね。」

「ですね。さらに私のポケットにはミア用のビスケットが入っています。」

「主~!」

武雄の言葉にミアが武雄に抱き着いてくる。

「まぁ、食事をすればするほど私の荷物は減っていく予定です。」

「なるほど。」

「本当は他の野菜も入れたかったのですけどね。

 流石に入りきらなかったですね。」

武雄はクスクス笑う。

「まぁ二人ですのでしょうがないですよね。」

「こういう時は馬車の方がいろいろ乗せられるから良いかもしれないですね。

 さて、湯あみの準備をしますかね。」

武雄は湯浴み場に向かうのだった。


------------------------

武雄は宿屋の前で一服を楽しんでいる。

決してアリスが湯あみをするからと部屋を追い出されたのではない。

「あぁ・・・今日は疲れましたね~。」

武雄は道の左右を見回し、歩いている人を観察する。

陰鬱な表情をする者はおらず、皆がのんびりと過ごしていた。

酒場の方からは楽しそうな笑い声も聞こえるし、通りもガヤガヤしている。

「エルヴィスさん達は良い治政をしているのですね。」と感心する。

町も村ものんびりだ。

領地の末端がこんな感じなら不満も少ないのかなぁと思っていると見知った顔が通りを歩いている。

「ん?ノース小隊長?」

武雄はつい声に出してしまう。

名前を呼ばれたノースは武雄を見て驚き、近づいてくる。

「キタミザト様、どうしてこちらに?」

「いえ、王都に向け旅行中です。」

「あ、そうでしたか。

 そう言えば兵士長がそんなことを言っていたような・・・」

「はは、ノース小隊長は?」

「第17小隊の巡回訓練でこの町に来ました。」

「新人さんはどうですか?」

「例年より動きが良いですね。

 やはり先の大演習と実戦が良い経験値になっているようです。」

「それは何よりですね。

 まぁ毎年あの実戦があったら嫌ですけどね。」

武雄は苦笑する。

「まったくですね。

 教官として来ていますが、今年は叱ることが少なくて粗探しが大変ですよ。」

ノースも苦笑する。

「はは、あまり理不尽過ぎる指摘はダメですよ?」

「わかっています。

 その辺は教官同士で打ち合わせ済みですので。」

「と、そうだ。その訓練はこの町で終わりなので?」

「いえ。これから北町、東町、南町と行ってから街に帰還します。

 どうされました?」

「いえ、町の中の酒場に行く機会があったら品書きを書き写してきてください。」

「はい?何の為ですか?」

「4町の酒場で何が共通で売られているのか、

 そして何が特色なのか、見てみたいのですよね。

 兵士達ならより領民の近くの酒場に行きそうですからね。」

「なるほど・・・わかりました。

 行った先々の店で書き写すように訓練に盛り込みます。」

「え?そこまで大々的にしなくても良いのですよ?」

「いえ、本来私は第1小隊じゃないですか。

 捜査が本分ですので、その一環で町の違いがわかるかの訓練も兼ねようかと。」

「ふふ、そうですか。

 面白そうな訓練ですね。まぁ私は受けたくはないですが。」

「はは、確かに受ける方なら嫌らしい訓練ですよね。

 と、私はこれで。他の教官達と食事ですので。」

「はい、お疲れ様です。」

「では、失礼します。」

ノースは人混みに消えて行った。

「さてと、寝ますかね。」

武雄は部屋に戻って行くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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