第270話 小銃改3の仕様。とフレデリックからの依頼。
「ドラゴンが居るそうですので・・・
小銃改3は、このドラゴンを倒すとまではいきませんが、痛手を負わせて追い払えるくらいの高威力を目指そうと思います。
ドラゴンに『痛っ』って思わせられれば良いです。」
タケオがテイラーに仕様を簡単に依頼する。
「なるほど・・・キタミザト様の中での仕様はどんなのを?」
「小銃改3の射程は小銃改1と同じ1200mでお願いします。
威力は2~3倍以上を目指してください。
ドラゴンとさっきは言いましたが・・・城門に穴を開けられる程度の威力が欲しいですね。
攻城兵器の一端にします。
当たれば爆発する仕様は出来れば入れてください。
出来れば爆風も大きくして周囲1、2mの敵を吹き飛ばせたら良いですね。
常に強化の魔法をかけ続ける仕様は入れてください。
肩紐用の加工と2脚と発射口部分の円筒形は付けてください。
連射間隔は10秒~15秒辺りでしょうか・・・」
「かなり大掛かりになりそうですね・・・
開発期間は?」
「私が王都とカトランダ帝国に行っている間にしましょう。
だいたい1か月でどうでしょうか?」
「わかりました。」
テイラーは頷く。
「では、帰りますか。テイラー店長、よろしくお願いします。」
と武雄達は席を立ち、店を出るのだった。
------------------------
武雄達3人はエルヴィス邸に到着した。
玄関を入るとフレデリックが丁度いた。
「おかえりなさいませ、アリスお嬢様、タケオ様、ミア様。」
「ただいま、フレデリック。」
「フレデリックさん、お疲れ様です。戻りました。」
「戻りましたー。」
「アリスお嬢様、タケオ様、凄い荷物ですね?」
フレデリックが苦笑する。
アリスも武雄も登山用のリュックの様な大型のリュックを背負っていた。
「ええ、冒険者組合で渡された旅のマニュアルを見ながら揃えていったのですけど。」
「野宿用の簡易テント・・・まぁ木に吊るす布ですけどそれが容量を食いましたね。」
「お二人とも買われたので?」
「いえ、1個ですね。私の方に入れました。
アリスお嬢様の方には小さい鍋と3人分のお椀とお皿とスプーンですね。
後は薄い毛布とタオルと小ぶりの鉈と着替え程度を買いました。」
「なるほど。
簡易テントと毛布と鉈については馬に取り付ける様にしましょう。
今はリュックの容量いっぱいの様ですからね。
で、出して空いた隙間には携帯食料を入れるべきです。」
「わかりました。
馬に固定する方法はあるのですか?」
「あまり使っている人は見られませんが、取り付け用の革製バックがあるのでそれを使います。」
「なるほど。」
タケオの頭の中で大型バイク用の両サイドの収納を想像する。
「干し肉は用意していますが、何か他に食材は必要ですか?」
「んー・・・野宿する際はスープが基本とありましたが?」
「そうですね。パンも出立時の村や町で購入してから行ってください。
後はその辺の薪や小枝を拾ってお湯を沸かし、干し肉を煮込む形ですね。
干し肉自体が塩気があるので十分スープになります。」
「なるほど・・・ならば干しシイタケはありますか?」
「スープに使うので?」
「はい。朝、村を出る際に水筒の中にシイタケを入れておけば夜には美味しい出汁が取れて良さそうです。
さっき水筒は2個買っておきました。
移動中の水は私が作るので水筒はスープ用ですかね?」
「ふむ・・・タケオ様が同行すると旅の一番の問題点である水の確保が解消されて楽ですね・・・
私達も遠距離の移動をする際は魔法師を帯同させるべきですかね・・・」
フレデリックが思案しながら言う。
「その辺は・・・今後の課題ですかね?」
「ふむ・・・実はですね。
魔法師の適性がある者は、一度王都の魔法師専門学院に入ることになっています。」
「そうなのですか?
で?そのまま王都配属に?」
「優秀な者は・・・です。
で、後は各領地の求人によって振り分けられるのですが・・・
王都に行った際に一度その学院を見てきて貰えますか?」
「あまり優秀ではない者を見てくれば良いのですか?」
「わかりますか?」
「はい。話の流れ的に旅の食事の支度の手伝いを兼務させるのでしょう?
・・・その者は文官として採用するのですか?」
「いえ、兵士長の所の第4小隊は知っていますね?」
「兵士の事務方さん達ですよね?」
「あの小隊は実は王都の学院の成績劣等者が大半を占めています。」
「え?」
「今の王都の宰相が私と同期なのですけどね?
10年くらい前に実は学院の成績劣等者の採用先が無いと相談されたので、少しですがうちでも引き取っているのです。
もしかしたら・・・エルヴィス領への採用は落第者のイメージが付いているかもしれないので・・・ちょっと調査してくれますか?」
「落第者・・・あぁ、私の様に兵士として使えない者が居るかもしれないのですか?」
「ええ、第4小隊は魔法師ではないので戦場では使えないのですが・・・
今回のタケオ様の旅の事を聞くとアクアが出来る者が帯同すれば比較的遠距離の移動が楽になると思ったので・・・
今後、主や私、文官が戦場以外で遠出する際は第4小隊から数人借りるのも有りかと。
なので、第4小隊の人数を少し多くしてみようかと思います。
それにタケオ様のコートで事務処理も増えそうですし・・・どちらにしても今より少し多く求人すると思います。」
「実際に去年の魔法師小隊への求人数と第4小隊への求人数はどのくらいですか?」
「確か・・・魔法師としては4名です。第4小隊は2名ですね。」
「なるほど・・・やはり多くは採用できないのですね。」
「現状維持が目的ですから・・・今後は増やせますかね?」
フレデリックが武雄にニヤリと笑う。
「とりあえず例の案件から始めないと・・・
収入が増えないと求人を増やせないでしょう?」
「そうです。
なので、今年は魔法師小隊3名と第4小隊4名となると思います。」
「・・・ますます王都でのエルヴィス家のイメージが悪いものになりそうですけど・・・」
「ふふ、タケオ様はどう思っています?」
「落ちこぼれの方が従順そうなのが多そうですけど?
エリート意識の人間に来られても使えないと思います。
それに・・・そんなに差があるのでしょうかね?
何歳くらいの子達なのですか?」
「そうですね・・・13歳以上で兵士になりたい者は魔法師の適性を見ることが出来ます。
で、適性があるならば、王都で4年間学院に入隊して、魔法師の基礎、運用方法、魔力量を伸ばしていきます。
私もタケオ様の言いたいことはわかります。
エリート意識になっている者はあまり戦争で使えませんね。
ここは魔王国との最前線の伯爵領です。多少能力が低くとも作戦遂行が出来る者が必要と思っています。」
「わかりました、風評は気にせずに見てきます。
それにしても4年は長いですね・・・
確かに伸び悩む子もいそうですね。」
タケオは苦笑する。
「ええ。ですので、タケオ様に品定めをお願いします。」
「はたして私に人を見る目があるのでしょうかね・・・」
「なら、タケオ様が良いと思った方の資料だけでも持ってきてください。
ハロルドや兵士長と一緒に採用に向けて協議しますので。」
「わかりました。」
「さてと・・・私からの依頼は以上ですね。
簡易テントと毛布を出してください。
今日のうちに入れておきます。」
「「はい。」」
アリスとタケオが自分たちのリュックを開け中の物を出し始めるのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。