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第267話 兄弟家族の話。(ウィリアムの3伯爵家の評価。)

「そんなウィリアムから見て魔王国に面する3伯爵はどう見る?」

クリフが聞いてくる。

「そうですね・・・

 3伯爵家以外は自分達の王都への納税額をどうやって低くするか考え、大なり小なり賄賂という手段を使っています。」

「俺の隣の貴族もか?」

「兄上達の周りは、賄賂総額に対して脱税に半分、騎士承認関係に半分でしたかね?

 兄上達の周りの騎士章持ち・・・魔王国に面している3伯爵領に比べて3倍はいますからね?

 まぁ騎士が多くなれば雇用費も抑えられますから・・・」

「そうなのか?」

「・・・全然気が付かなかったな・・・」

クリフとニールが苦渋の顔をする。


「アズパール王国が貴族制を取って約600年。

 貴族は計100家を越えて存在していましたが、今は40家ですね。

 歴代の貴族で賄賂をした形跡が発見できないのが15家、その内、今でも残っているのが、エルヴィス家とゴドウィン家です。」

「ちょっと・・・それ本当なの?」

セリーナが聞いてくる。

「僕が調べた限りではそうですね。

 この2家の共通事項は時の陛下から領地を賜ったという成り立ちですね。」

「ん?他のもそうだろう?」

「それが違うんですよ、兄上。

 この2家以外は皆、皇子なり他の貴族なりに推挙されてなっているのですが、この2家は武功により時の陛下より直接下賜されたというのが始まりなのです。

 国への忠義からなのかはわかりませんが、その年の領地経営が厳しくとも必ず決められた税を毎年入れてくれています。

 収入が低い時は自分たちの報酬を納税に当てたりもしていた様です。」

「貴族の鑑のような家なのだな。」

「そうですね。

 で、ちなみにテンプル家は先代の頃、金額的には少しでしたが、王都に賄賂を渡していました。

 当代ではしていません。

 正確には僕の所に嫁入りが決まってから止めています。」

「え?普通逆じゃないの?」

ローナが聞く。

「さて・・・どうでしょうか?

 テンプル伯爵に聞かないとわかりませんが・・・賄賂が発覚したら僕とアルマに迷惑がかかると考えたのかもしれませんね。」

「そう。」

ローナが呟く。

「なので少なくとも3伯爵家は賄賂という手段を放棄しています。

 3伯爵の収入と納税から見た評価は、

 テンプル領は土地の実り豊かで収入に余裕が常にあります。

 ゴドウィン領は金余りにはなっていませんが、収入と納税のバランスが取れています。

 エルヴィス領は元々収入があまり良くないので毎年何とかやりくりをして納税していますね。」

「・・・それだけ聞くとエルヴィス伯爵が不憫なのだが・・・」

ニールが苦笑する。

「・・・納税も守って、戦争参加義務もこなして・・・家計がギリギリの状態が続くなんて・・・可哀相です。」

エイミーが「んー」と唸りながら言う。

「ええ、客観的に見ても不憫です。

 真面目に領内経営をしているのに、同じ収入があるはずの貴族と比べると1.2倍の納税をしています。」

「ちょっとまて・・・そんなに違うのか?」

クリフが聞く。

「はい。

 そんなエルヴィス家の家名を上げる出来事が4年前と2年前にありました。」

「4年前?私の輿入れでしょうか?」

レイラが聞いてくる。

「そうだね、レイラ。

 あの時は魔王国との戦帰りでしたね。

 実は僕が提案して、僕と父上と王都守備隊のみエルヴィス領経由で帰ったんだよ。」

「ん?ウィリアムなぜだ?」

ニールが聞いてくる。

「あの時は戦場から最短距離で王都に帰るにはゴドウィン領経由で帰るのが一番だったんですけどね。

 僕がエルヴィス家に寄ってみたくて父上にお願いしたのです。」

「なんでだ?」

クリフが聞く。

「その時は僕は粛清許可を初めて裁可したり、いろんな王都の暗部を見ていて疲れていましてね。

 さっきの説明の通り、成り立ちから今まで一度も賄賂を渡さない正道の貴族とは、どんな物か見に行きたかったのです。」

「なるほどな。で、どうだった?」

「ええ、華美な装飾もなく質素な邸宅でしたが、それよりも民の安寧を誇りに思っている伯爵と綺麗な姉妹が居ましたよ。」

「なるほど。そこでプロポーズしたのだな?」

「はい。

 王都に戻ったらアルマにこってり絞られました。」

ウィリアムが苦笑する。

「勝手に決めれば誰でも怒りますよ?」

アルマがため息混じりに答える。

「まぁあれは、唐突過ぎましたね。

 で、2年前には『鮮紅』が誕生しますね。

 僕的にはアリスのオッドアイもタケオさんがエルヴィス家に入ったことも、あれだけ代々苦労をして領民の為と尽くしてきた家ですから、それぐらいのご褒美が有っても良いのではないかと思っています。」

「なるほどな。」

ニールが頷く。

「それにタケオさんも脱税に頼らないで領内の発展の為に知恵を出しています。」

「もしタケオさんが他の貴族の所に行っていたらどうなっていましたかね?」

レイラがウィリアムに聞く。

「そうだね・・・

 タケオさんの事だから私欲では動かないだろうけど・・・

 賄賂も使って領内を発展させるんじゃないかな?」

「どうやるんですかね?」

「んー・・・王都に賄賂を大量に送って新規事業や新規開拓したら何年間か納税免除を認めさせるとか?

 開墾しても王都への報告書には開墾したとは記載しないとか?

 まぁ僕が思い付くのはその程度ですが・・・

 タケオさんならもっと上手くやるのではないですかね?」

「その辺は王都に来たらウィリアムから聞いてみたらどうだ?」

クリフが聞いてくる。

「そうですね。それとなく聞いてみます。」

ウィリアムが苦笑しながら言うのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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