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第265話 兄弟家族の話。(第1皇子一家と第2皇子一家の領地異動の経験談。)

小広間の扉がノックされ、クリフ、ニール、ウィリアムが入って来る。

「メイドに聞いたらこっちだと言われてね。」

ウィリアムが皆に言う。

皇子達3人が座ると妃達が皆のお茶を入れ直し、配膳し、各皇子の横に座る。

「と、お茶、すまない。」

クリフが疲れた顔で皆に言う。

「はぁ・・・兄上、疲れましたね。」

「あぁ・・・そうだな。」

ニールとウィリアムが机にうつ伏せになりため息を漏らす。

妃達は何事が起きたのか心配になる。

この3人が揃いも揃って疲れているのだ。

ただ事ではない。

「クリフ何があったの?会議だったのでしょう?」

ローナが心配そうに聞いてくる。

「そうだな、会議だった・・・

 レイラから何を聞いた?」

「え?そうねぇ。

 まずは・・・」

ローナとセリーナはレイラが説明したことを言い始める。

・・

「そうだ。

 アリスとタケオの貴族への取り立ては了承され、戦術研究所の話も了承された。

 でな、父上が爆弾発言をした。」

「何を?」

セリーナが聞く。

「王位継承に関して。」

妃達が動きを止める。

「正式に私が後継に指名され、文官、武官がそれを追認した。

 ウィリアムはゴドウィン伯爵領、エルヴィス伯爵領、テンプル伯爵領に面している適切な場所に公領が設定され引っ越し、ウィリアムが引っ越したのちに我ら第1皇子一家が王都に入る事も決まった。」

「それはいつ?」

ローナが聞く。

「早くて1年後。」

「そう・・・お義父さまは退位されるの?」

ローナが聞く。

「いや、徐々に私へ決定権を移管する手はずになるそうだ。

 なので、当分は今のままだが・・・やることが多くなりそうだ。」

「そうね・・・領地運営と国家運営は違う物だしね・・・

 さて・・・どうやって行きます?」

セリーナが聞く。

「わからん・・・わからんがやるしかないだろう。

 今の領地運営をしながら王都に引っ越しても上手く出来る様にしないといけないな。

 王都に行くからといって手を抜くわけにはいかないから。」

「そうね、王位を継承されるに相応しい態度をしないと王都の文官、武官に嫌われるわね。

 はぁ・・・根回しが大変そうだわ。」

ローナが苦笑する。

「はぁ・・・うちの事についてはそんな感じだ。

 ローナ、セリーナ、上手くやってくれ。」

「「はい。」」


「ウィリアム、大丈夫か?」

「クリフ兄上、わからないですね。

 領地運営は初めてですから・・・上手くできますかね?」

「お前は私やニールの資料を読んでいるだろう?」

「読んでいる事と出来る事は違うと思いますよ?

 まぁ、うちもアルマとレイラが上手くはしてくれるでしょうけど・・・」

「そうね・・・私もレイラも実家を頼る事になるでしょうね。」

「ですね。

 住むところは今は町だろうから街まで拡張するのですかね?

 あとは兵士については3伯爵家から小隊長クラスは少し分けて貰うしかないでしょうし・・・

 お義兄様方の時はどうしたのですか?」

レイラがクリフとニールに聞く。

「行くまでは行く先の土地の資料を読み込んだな。

 ローナやセリーナは領地に来たい店を募っていたし。

 行ったら行ったでほとんど文官、武官まかせになってしまって、自分が何か政策を提案をしたのは1年後ぐらいだったか?」

「あの時は全てが初めてで、ほとんど失敗の毎日だったわ。」

「ねぇ。村を慰問しても資料が間違っていて、見当違いの事を誉めたりね。」

「あぁ、あったな。

 資料を作った文官は泣きながら謝ってきたな。

 今では良い思い出だ。」

第1皇子夫婦は苦笑する。

「ウィリアム、レイラ・・・これは一大事かもしれませんね。」

アルマが考えながら呟く。

「そうですね・・・私達が思っていたよりも大変そうですね。

 楽隠居するつもりだったのに・・・」

レイラが苦笑する。

「ふふ、見通しが甘かったわね。

 楽隠居なんて夢のまた夢よ?」

セリーナが朗らかに言う。


「そう言えば、ニールの時は凄まじかったな。」

クリフがニールに向かって言う。

「あぁ・・・着任して1か月後に戦争だったからなぁ。」

「「「え!?」」」

アルマにレイラ、エイミーが驚く。

「ちょっと・・・なんでエイミーが驚くのよ?

 ニール、ちゃんと言ったの?」

ローナが疑問を言う。

「いや?別に言っていないが?」

「まったく・・・確かその時、正室が身ごもっていたよな?

 うちから応援にセリーナを行かせた覚えがある。」

「「「は!?」」」

再び3人が驚く。

「あぁ、エイミーを身ごもったばかりでな・・・

 いや・・・まぁ、良いじゃないか?」

ニールは苦笑しながらやり過ごそうとする。

「父上・・・どういう事ですか?」

「ん?・・・エイミーどうした?聞きたいか?」

「はい。」

「・・・当時はな、お前を身ごもったばかりで正室・・・お前の母の体を心配して俺が出陣を伸ばしていたのだ。

 そうしたらお前の母に『早く行け!ぐうたら皇子!』と言われてな。

 渋々戦場に行ったのだよ。」

「お母様は・・・そんな方でしたっけ?

 物静かな印象しかないですけど?」

エイミーは「はて?」と思う。

「それはお前が生まれてからだな・・・元々は騎士章持ちの武官だったし。」

「え?お母様・・・武官だったの?」

「そうそう。凄腕の女傑・・・王都の第1騎士団だったな。

 小隊長だったか?」

クリフやローナ、セリーナが苦笑する。

「・・・どうやって父上の妃になったのでしょうか・・・想像がつかないですけど。」

「んー・・・ニール、言って良い?」

セリーナがニヤリと擦る。

「・・・お好きに。」

ニールは諦めながら答える。

「御前仕合でね、ニールをボコボコにしたのよ。」

「え?なんでそれで結婚することに?」

「ニールが毎日詰め所に通ってね。

 毎日対戦して、毎日負けて・・・そんなこんなで食事をする様になって・・・

 てな感じ。」

セリーナが苦笑しながら言う。

「意気投合した様な感じだったな。

 いや・・・まさかお前の妃になるとは思わなかったぞ?

 狙っていたのか?」

「・・・兄上、最初から狙っていたわけではなかったんだ。

 気が付いたら毎日対戦して汗を流して、その後食事をしてを繰り返していて・・・

 あぁ楽しいなぁって・・・気が付いたら周りから結婚するんだろう?的な空気になっていた。」

「ふふ、馬鹿ね。

 あれだけ毎日同じ時間に行ってれば噂も立つわよ?

 まぁ噂を最初に流したのは私達ですけど。」

ローナが苦笑する。

「やはり義姉上達でしたか・・・

 まぁ結果的には良い妻でした。

 領地に入ってゴタゴタしてても武官、文官をさっさと動かして戦支度を済ませましたし。

 付いてきた武官は、ほとんどが第1騎士団だったから動きも良かったし。」

「はぁ・・・なんだか・・・

 父上や母上達からは当時の想像ができないです。」

エイミーが唸る。

「まぁ子が出来れば人は変わるものよ。」

ローナが言う。

「・・・魔王国・・・平気かな?」

ウィリアムが心配そうに言う。

「さてな・・・私もニールも魔王国については詳しくはないからな・・・」

クリフが考えながら言うが。

「それは今後の情報収集が鍵ね。」

「そうですね、しっかりとしないといけないですよね。

 万全の準備をして異動しないと・・・」

アルマにレイラがやる気になるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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