第257話 冒険者組合での説明3(冒険者のランクが決まりました。)
「お待たせしました。」
先ほどの女性がカウンターに戻ってきた。
「おかえりなさい。」
武雄が出迎えるとカウンターの女性が苦笑を返してくる。
「さて、規則は読まれましたか?」
「ええ、軽くですが・・・
招集があるのですか?」
「それについてはお二人は除外だと考えております。
招集があるのは大規模な討伐依頼があった時ぐらいです。
そういう依頼は領主や文官から出てきますので。」
「そういう事なら私やタケオ様は施政者側で参加しますね。」
「はい。ですから先ほども説明を省かせて貰いました。」
「そういう時の私やアリスお嬢様への報酬はどうなるのですかね?」
「施政者側から参加されていても討伐に参加し、依頼を達成すれば報奨金は出ます。」
「そうなのですか。」
「あとは何かありましたか?」
「ランクが下がる時があるのですか?」
「ええ。主に依頼の達成率が悪い時に一時的に下げさせてもらう事がありますが・・・
基本的には下がることはありません。」
「わかりました。」
「では、他になければお二人の事になります。」
「「はい。」」
「まずお二人のランクは共にAとなりました。」
「ん?初めはDランクではないのですか?」
「一般の方ならそうなのですが、お二人の場合は戦果が著しく高く、信用力も領主家である為、抜群なのです。
Bランク以下の査定をしたなら冒険者組合内でうちの事務所の信用が問われかねません。」
「高評価なのは嬉しいのですが、他の冒険者の方に悪いのではないですか?」
アリスが聞いてくる。
「いえいえ。逆に『鮮紅』をAランクにしないのは他の冒険者から異論が出ます。
またキタミザト様に関しては先のゴブリン等の襲撃でのオーガ相手に鮮やかな勝ち方をされたことは、我々も知っています。
それに戦闘序盤の魔法での砲撃でオーガ32体、ゴブリン30体、その後の戦闘も合わせればオーガ40体以上、ゴブリン50体以上を倒すというの戦果をお一人で出されています。
驚異的な数字です。
そんな方をBランクにはできません。
あ、あと戦闘後5日ですので、オーガとゴブリンの報奨金を入れて置きました。」
「特別扱いはしなくて良いですよ?」
「いえ、依頼外の戦闘でも戦闘後1週間以内の報告で報奨金が出されますので問題はない物と我々は考えています。
ですので、キタミザト様には金貨30枚が。アリスお嬢様には金貨10枚が振り込まれております。」
「・・・オーガが銀貨5枚、ゴブリンは銀貨2枚ですか?」
アリスが聞く。
「はい、そうですが?」
カウンターの女性は「何か?」と不思議そうな顔をする。
「なるほどね。」
武雄は苦笑しながら「この報酬なら兵士になる魅力は薄くなりますよね。」と思うのだった。
「と、では、説明を続けます。
冒険者の身分証明になるプレートをお渡しします。
これを冒険者組合の各事務所で提示いただければお預かりしている硬貨等を引き出せます。」
二人の前にキャッシュカードと同じ大きさの銀のカードが置かれる。
「銀?」
「はい。プレートの材質はランクが上から金、銀、銅、鉄、木となります。
こちらは再発行に時間がかりますので、無くさないようにしてください。」
「・・・鉄まではわかるのですが・・・
木は大丈夫なのですか?」
「どのプレートにも高度な強化と変更不可の魔法がかけられていますので、冒険者自身での変更は出来ない仕掛けになっています。
このプレート内には、本拠地とお名前、現在受けている依頼内容、お預かりしている金額、ランクと達成内容が入っています。」
「説明された内容が全部入っているのですね?」
「はい。」
「そうですか。
ちなみに金貨50枚を持ってきたのですが、入れていただけますか?」
「入金ですね?わかりました。
処理してきます。」
カウンターの女性は武雄から金貨とプレートを受け取り、また奥に向かっていった。
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「お待たせしました。」
先ほどの女性がカウンターに戻ってきた。
「まずは、プレートをお返しします。
こちらが入金した証明書になります。」
武雄の前に入金金額と金額の横に組合の花押であろう物が押された紙が出される。
「これは引き出しを行っても頂けるのですか?」
「はい。現在、お預かりしている金額と入出金した金額を記載し、組合の花押を押させて頂きます。
信用が大事ですから。」
「なるほど。」
「こちらがアリスお嬢様からお預かりしている金額です。」
アリスの前にも金額が書かれた証明書が出される。
「わかりました。」
アリスは頷く。
「それと先ほどご用命がありました、
各国毎の冒険者の総数と各ランクの割合表についてですが、2か月前の物をお出しします。
あと旅のマニュアルはこちらですね。」
武雄の前に冊子2つが出される。
「わかりました。
屋敷に戻ったら見ます。」
「はい、よろしくお願いします。
では、登録、説明は以上になります。
お二人の立場では難しいかもしれませんが、時間が空いた時などで構いませんので、依頼をお受けいただければと思います。」
「わかりました。」
武雄とアリスは、カウンターの女性に礼を言い冒険者組合を後にするのだった。
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事務所を出た所で。
「タケオ様、この後はどうします?」
「雑貨屋に行きますか。
この旅のマニュアルを見ながら買い物をしましょう。」
「はい。」
と二人は雑貨屋を目指すのだった。
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