第254話 16日目 就寝と温泉を有効活用する方法。
今日も「さて寝るかの」とエルヴィス爺さんの言葉と共に皆が客間を出ていき、武雄とアリスとミアも寝室に戻った。
就寝前の日課を終えて、ミアも自室(?)に戻り、今は武雄とアリスがベッドでゴロンとしながらマッタリしている。
ちなみにアリスとミアがお風呂に入っている間に武雄は名前の書き取りの特訓・・・アリスの見本を見て200回繰り返し書くという事を泣きながらしていた。
「タケオ様?」
「んー?アリスお嬢様、何ですか?」
「明日は何を買えば良いのでしょうね?」
「さぁ・・・一応、さっきフレデリックさんが言っていた物は一通り揃えないといけないでしょうが・・・
後は冒険者組合で確認してみましょうか?
初心者が必要な旅用品一覧を作って貰って、それを元に買いに行きましょうか?」
「そうですね~・・・でも旅なんて出来るとは思ってもいませんでした。」
アリスは楽しそうに言う。
「ん?貴族は旅をしないのですか?」
「貴族というより・・・基本的に女性は旅をしないですね。
男性は戦場とか王都に行く事がありますから旅みたいな感じなのだと聞いていますけど。
何だかんだ言っても女性の旅は危ないので許可されないのです。
それに行く場所もないですから・・・」
「なるほど・・・
それなら避暑地みたいにいろんな人が来れる場所を作るのも面白そうですね。」
「んっしょ・・・タケオ様、何を考えたのですか?」
アリスがゴロンとして横に居た武雄に抱き着きながら聞いてくる。
武雄はアリスの頭を撫でながら出迎える。
「いらっしゃい。
まぁ治安があまり良くないのも事実なので女性達だけの旅行はまだまだ先でしょうが・・・
例えば、家族単位で行ける場所に保養地があっても良いかなぁ・・・とは思いますね。
基本的に食べて、飲んで、寝て・・・女性が家事をしないでのんびり出来る場所でも作れば人が来るかなぁと。
温泉とかあれば良いですね。」
「温泉?」
「地中から温かい水が出くる所です。」
「温かい水が出る所なら東町からドワーフの国へ向かった先に確かあった様な・・・
異臭がするとか言われているので、嫌われていますよ?」
「・・・どんな匂いなんでしょうね?」
「さて・・・長く居たくない場所なんだとか。
あ、あとは湧き出る水が白いんですって。」
「それは面白いですね。」
「ええ、一度見に行ってみたいです。」
「王都から戻ったら行ってみましょう。
もしかしたら良い保養地が見つかるかもしれませんね。」
「はい。
ちなみにタケオ様、温泉をどう使うのですか?」
「大きいお風呂を作りたいですね。
で、さっきも言いましたが、基本的に食べて、飲んで、寝て、20人は一緒に入れるくらい大きなお風呂に入って、マッタリとした非日常感を提供すれば来るかも知れません。」
「それだけで来ますか?」
「さて・・・
ここの温泉にどんな効能があるかは知りませんが。
私のところなら、疲労回復、腰痛や関節痛を和らげたり美肌になった」
「作りましょう!」
アリスは顔を凄い勢いで上げる。
「え?いきなりどうしました?」
「美肌効果とはなんですか!?
どんな効能があるのですか!?」
「え・・・肌が赤ちゃんの肌みたいにしっとりとしたり、ゆで卵みたいに張りが出たりしま」
「絶対に作りましょう!」
「えぇ・・・
女性間で知名度が上がれば人が来そうですけど。
でも、どんな効能があるかは温泉に入ってみないとわから」
「例の3案件が終わったらコレを絶対にしましょう。
いや、違いますね!
終わったら着手出来るように動かないといけませんね!」
アリスの中では決定事項になっている様だ。
「はいはい。」
武雄は苦笑する。
「それにしても温泉があるという事は山ですよね?
ドワーフの国に近いのですかね?」
「さぁ・・・でも東町から行った山の方だと、説明があった空白地帯ですかね?」
「3ヵ国からしたら不法占拠している集団がいる縄張りに入るかも知れませんね。」
「私とタケオ様なら問題ないですね。」
「そうですね~・・・私達なら・・・でしょうが・・・
保養地を作るなら安全の確保が必要ですかね。」
「兵士の常駐ですか?」
「相手集団の人数がわからないですから常駐する人数は不明ですね。
ならいっそのことエルヴィス領にしてしまうか。」
「え?フレデリックが許可しないでしょうね。」
「でしょうね。そんなことに兵士を割けませんものね。
当分は、保養地ではなくてキャンプ場にでもしますか・・・
露天風呂を作って、のんびりして、一泊したら東町に帰る感じにした方が良いかも知れませんね。
治安対策は、月1回程度で、兵士による山狩りでもしますか。
訓練と保養を兼ねて。」
「ですかね。
あ、でも女性用と男性用のお風呂を作らないといけませんね。」
「混浴は?」
「ダメです。風紀の乱れです。」
「そうですか・・・
なら兵士達に陣地構築の訓練を兼ねて、簡易な小屋と壁でも作って貰って分けましょうかね。
王都から戻ったら兵士長に企画を提出します。」
「はい、お願いします。」
アリスは楽しそうに言うのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。