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第252話 夕飯までのマッタリ客間。(越境した際の問題事と武雄の公式経歴。)

客間には、エルヴィス爺さんとアリス、武雄、ミア、フレデリックがいた。

いつも通り、フレデリックがお茶を入れ、皆の前に置き、皆から少し後ろに下がっている。

スミスは勉強中。

武雄は総務局で越境許可書を受け取り、エルヴィス邸に戻って来ていた。

武雄は受け取った越境許可書を眺めている。

「タケオ様、さっきからソレを見ていますけど。

 何かあるのですか?」

アリスが聞いてくる。

「ん?いえ・・・内容を見ているのですけど。

 私と私が認める者の越境を許可する・・・としか書かれていないんですよね。」

「うむ、何か問題があるのかの?」

「私が認める者・・・何人までですか?」

「・・・そう言えば越境の人数は規定がなかったの?」

エルヴィス爺さんがフレデリックに聞く。

「そうですね・・・越境許可は、こちらから出て行った人数がまた帰って来ることを想定していますね。

 今回のタケオ様の用事は向こうから連れ帰って来ることが想定されていますが・・・

 その際はどうやって対応するのでしょうね?」

フレデリックでもわからない様だ。

「確か貴族は国からの離脱は不可なのですよね?」

「あぁ、少なくとも我々の周りの国はそうなっているし、表面上はそういう取り決めにしているの。

 人数と貴族が気になるのかの?」

「ええ、何人まで良くてその時の対応は?もし貴族を越境させたい時はどうするのか?」

「うむ・・・少なくとも貴族だった場合は、無理じゃ。向こうが要請すれば引き渡す必要がある。」

「なるほど・・・平民だった場合は?」

「んー・・・そうじゃの・・・

 移り住むには向こうの離脱書類・・・は要らないか・・・

 こちらで住民登録をしてしまえば良いかも知れぬの。

 ただし、今後、国のイザコザに巻き込まれる可能性はあるの。」

「法の抜け道を使うなら、名前の変更をさせる必要があります。

 ご本人がそれを良しとするならば・・・ですが。

 違う名前の住民にしてしまえば、問題にはなりません。

 ただし、元の名前は使ってもいけないですし、名乗ってもいけません。」

「わかりました、頭の片隅に入れておきます。

 ・・・あれ?私はどうなっているのでしょう?

 何も疑問に思わず越境許可書を貰ってきましたが・・・私の登録は?」

「こちらでしましたよ。

 主、良い機会です。」

「うむ。フレデリック、タケオに渡してくれ。」

フレデリックは戸棚から書類を取り出すと武雄に渡してくる。

武雄は受け取り目を細めながら見る。

「・・・これは私の経歴書?」

「その様に登録しています、公式的には。」

フレデリックが簡単に説明する。

アリスもその内容が気になるのか覗いてくる。


≪経歴概要≫

・エルヴィス領のエルヴィス邸がある街にて出生。

・2歳の時に両親、親族皆が他界。

 孤児になり領内を転々とする。

・領主を助けたことによりエルヴィス家に登用される。


「・・・簡潔すぎて怪しい経歴ですね。」

アリスが呟く。

「だがの・・・詳しく書いても辻褄が合わなくなりそうじゃろ?

 それにタケオの場合は他国や他領に登録されているわけでもないからの。

 いくら探してもこれ以上は出て来ないのじゃ。」

「あとは私がどうすべきか・・・ですね。

 まぁ私は嘘を言うつもりもないですから、別に構いませんが。

 とりあえずこの街に生まれてエルヴィス領から出ていないという基本情報を逸脱しない様にすれば良いのですね?」

「うむ、頼むの。」

「わかりました。」

武雄はフレデリックに書類を返す。


「で、タケオはいつ出立する予定じゃ?」

「そうですね・・・局長達への顔見せも終わりましたし。

 明日は小銃改2の試射と旅の準備をして・・・明後日には最短で出立できそうです。

 アリスお嬢様はどうですか?」

「んー・・・旅はレイラお姉様の結婚式の時しかありませんが、あの時は馬車でしたね。

 タケオ様、今回はどうやって行きます?」

「折角覚えたので、馬で行きますか・・・それに馬車なんて仰々しい事はしたくありません。

 のんびりと領内を見ながら行きたいですね。

 村も町も見たいですし。」

「そうなると私も旅は初めてですね。

 ですが、明日準備すれば明後日には行けると思いますよ?

 宿とかはどうします?」

「毎日、行きついた村や町で部屋が取れますかね?」

「そうじゃの・・・少なくともうちの領内と王都直轄領は村々の長の所に行けば、泊めて貰えるの。

 町は宿屋が空いていれば泊まれる様になっているはずじゃ。」

「アリスお嬢様、タケオ様、馬での旅の基本は持ち物を少なくすることにあります。」

「「はい。」」

「水と食料は・・・あぁ、タケオ様が居るので、水は無くて良いですね。

 最低限1泊するだけの食料と小さい鍋、軽い毛布・・・後は服は出立時着るのと予備に1着です。

 下着も予備1着で・・・アリスお嬢様の場合は、雑貨屋で店員に聞いて決めてください。

 旅用と言えば何種類か教えてくれます。」

「はい、わかりました。」

フレデリックの説明にアリスは頷く。

「上着は・・・トレンチコートですか?」

「はい、そう考えています。

 そもそもこういう移動時用に作ったので適していると思っています。」

「そうでしたね。

 ズボンも乗馬用のより少しサイズに余裕があるのを選んだ方が良いでしょう。

 後はマフラーや中に着る物の検討も忘れずにしてください。」

「あとは前に説明のあった冒険者組合への登録でしたか?」

「はい。お二人は冒険者にはならないでしょうが、金銭の出し入れにおいて便利です。

 商隊の人達も登録しています。

 詳しくは冒険者組合に行って聞くと良いでしょう。」

「タケオ様は今日中にご自身の名前を書ける様に訓練しますからね。」

「ん?アリスお嬢様、どうしたのですか?いきなり。」

「宿に泊まるにも冒険者組合に登録するにも名前は直筆です。

 ですので、タケオ様は最低でも名前を書ける様にしないといけません。

 特訓です。」

「あぁ・・・そういう事ですか・・・わかりました。」

アリスの言葉に武雄はガックリとする。

と、客間に他の執事がきて、夕飯の支度が整ったと知らせてきた。

皆は食堂に向かうのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 馬に乗れるようになったばかりの人間が、一日移動を馬に乗って過ごしたら、普通は尻と腰と太腿が死ぬんじゃないかな。 普通じゃないからケアを常にかけて対応するのかな。 馬にもかければ食事と…
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