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第251話 会議終了。局長達の雑談。

「はぁ、緊張しましたね。」

総務局長がため息混じりに呟き席に着くと他の局長達も苦笑しながら席に着く。

「あれがキタミザト様なのですね。」

財政局長は呟きを漏らす。

「ですね・・・

 それにしても用地案件は暗に断ろうとしたら見事に返されましたね。」

環境局長が言う。

「軽く思い付いた案なら断ってやる・・・と思ったのですけど・・・

 あそこまで考えての発案なら何も言えませんよ。

 我々の案が採用されるように準備するだけです。」

整備局長がため息混じりに答える。

「整備局長の発言はヒヤヒヤしましたよ。

 まったく・・・若いときから変わっていませんね。

 初対面の者の意見に食って掛かる性格はどうかと思いますよ。

 良く局長までこれましたね。」

総務局長は苦笑すると他の局長達が頷く。

今集まっている局長は、50代後半から60代前半とほぼ同じ年代がそろっており、昔から切磋琢磨してきたライバルであり、仲間だった。

なので、お互いに多少の暴言は慣れっこだった。

「ふん、皆だって今朝2案件を聞いた時は同じ事を言いたいと考えたと思いましたが?」

整備局長が不貞腐れながら言う。

「まぁ・・・一つ目が終わらないうちに2つも追加しないでくれ・・・とは思いもしたが・・・

 でも実現性の高さと先見性は持っていると思うぞ?

 で?お前はキタミザト様を認めないのか?」

南町局長が聞く。

「いや・・・うちらのトップに相応しいんじゃないですかね?

 ちゃんと街の事も考えて提案してくれている様だし・・・まぁあそこまで考えているとは思わなかったですけど。

 それにしても北町局長・・ん?・・局長・・・ランドル~?」

「・・・ん?あぁ・・・なんだ?」

北町局長は資料をじーっと見ていて呼びかけに気が付かなかった。

「どうした?」

「ん?・・・いや・・・少し気になったのがあってな。

 資料を読み返していた。」

「・・・各町の融資案件か?」

財政局長が聞いてくる。

「あぁ。」

「キタミザト様が北町の『ウィスキー』用に用意したんだろうな。」

財政局長が言う。

「やはり?そう考えるべきなんだろうな・・・」

「エルヴィス家で昨日の夜に酒を受け取ってから、今朝の融資案だからな・・・

 さらに朝の時点でキタミザト様がこの街から流行らすと酒屋に手配している事もあるし。

 ウィスキーを増産する為の資金を融資する策だろうな。

 キタミザト様も言っていたが、根本は魅力ある商品の発掘が目的だな。」

「これはワイナリーの社長に増産計画を聞いてみるしかないな。」

「そうしてくれ。うちとしても今年の1件目はウィスキーの融資は決定事項として予算を考える。

 最低でもウィスキーのみを融資させるから具体的な金額を聞いてきてくれ。

 まぁ全額融資は出来ないだろうから・・・それでも何とかしてみせるよ。

 あとはワイナリーの今の売上の資料も用意してくれ、何年で元が取れるのか試算もしないといけないからな。」

「わかった。

 うちの若いのに行かせ・・・いや、私がまた行って聞いてくる。

 売上の資料は向こうから貰った物と北町にある税収表を付ける。」

「あぁ。

 そうだ、融資条件の返済割合だが、キタミザト様は売り上げの2~5%としてたが、今の段階では5~8%として伝えておいてくれ。」

「わかった。初期の融資だからな、少し上げないといけないのはわかるよ。」

「もし順調にワイナリーの売り上げが伸びたら2回目の融資では割合を低く出来る様にする。」

「そこは・・・ほのめかしておくよ。」

「すまんな。」

財政局長と北町局長は苦笑するのだった。

「で、そのウィスキーとはなんだ?」

「あぁ、ライ麦からブランデーを作ったんだ。

 うち管轄の農地拡大をするためには消費先を確保しないといけないからとの一環でキタミザト様の指示で探したら作っていたんだ。

 ただ、北町の酒屋では相手をしてもらえなかったと聞いたが・・・」

「そんな酒をこの街で全部買い取る契約を結ばせた?」

財政局長が不思議そうな顔をする。

「北町局長に酒の事を聞くのはあれか・・・

 じゃ俺のを開けてみますか。」

整備局長は、いつの間にか会議室の片隅に人数分用意されている酒瓶を取りに行く。

「・・・相変わらず、総監部は仕事が隠密で早いな。

 我々が気が付かない内に仕事が終わっているよ。」

東町局長が呆れる。

と、整備局長が酒と一緒に人数分のグラスや水、氷が乗っているお盆と共に戻って来る。

「・・・グラスも?」

「人数分ありましたね。」

整備局長の言葉に皆が苦笑する。

整備局長は酒瓶に括り付けられている紙を取り内容をみる。

「・・・」

「確かウィスキーの飲み方が書いてあるのだったな?」

ハロルドが呟く。

「北町局長、確か試飲したんでしたね?」

整備局長が北町局長に聞いてくる。

「ああ、しましたよ。」

「何で飲みました?」

「え?私は新種のブランデーと思っていましたから、そのまま飲みました。

 そう言えばワイングラスでしたね。」

「・・・これは正確にはブランデーではない為、飲み方が違うらしいですよ。」

「え?」

「4種類書かれているが、それぞれの楽しみ方も書かれていますね。

 ふむ・・・皆にはロックにして出した方が面白いんだろうなぁ・・・北町局長には薄めの水割りで。」

整備局長が人数分作る。

・・

そこにいる皆に酒が行きわたる。

「じゃ、飲みますか。」

誰かの掛け声で皆が飲み始める。

「「「「え!?」」」」

と、すぐに皆が驚き、声を出してしまう。

「た・・・確かにこれは・・・ブランデーとは違う・・・飲みやす過ぎる。」

「香りや味が薄いが・・・いや、だからこその味わいもあるな。

 ほんのりと香りがするのを楽しむのか。」

「冷えているのも良いな。

 これはうちの騎士団で流行りそうだな。」

「私の所の兵士達も好きそうですね。」

「・・・これは私でも飲める酒なのか。

 ふふ、凄い物が出来たんだな。

 流石は、キタミザト様と言ったところなんだろうな。」

「これは流通させたいわな。

 売り方がしっかりすれば産業になる。

 融資予算は想定より多めに考えるかなぁ。」

「これで北部の農業発展が期待できそうだし、野菜や肉も消費されそうだな。

 もう少し小麦以外も発展させようかな。」

「酒の運搬かぁ。街道整備に予算を振ろうかな。」

「良いなぁ、北町は産業が起きそうで。

 うちはどうしようかなぁ・・・」

・・

等々、新種の酒を吟味しながら、味と武雄の先見性への驚きと各自の部署で出来る領内発展を考え始めるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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