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第250話 エルヴィス領の局長会議。(融資案件と特産品祭り。)

「では次は、これも今朝伝えた、各町の融資案件について、タケオ様。説明を」

「これは各町の隠れた産業の開発を目的としてます。

 それに資金難で困っている事業を見つけ、そこに将来性があるのか検討する事業です。

 融資金額を公示しておいて一般公募で各町の専用窓口で受付をし、各町から持ち寄った中でこの局長会議での投票で決めたいと思います。

 経営にエルヴィス家は不介入だが、売り上げの2~5%程度を返済割合としてエルヴィス家に納付することが融資条件と考えています。」

「はい、わかりました。

 これも朝、配布した内容に追記された感じですね・・・会議ではどうなりましたか?」

「はい。この案件はうちの財政局が頭になり、各町局にて受付をしてもらう運びになっています。

 具体的な融資上限金額はこれから予算等を精査し、金額を算出します。

 キタミザト様、融資の案件数はいくつとしていますか?」

「私としては毎年公募して、年2件を上限に融資をしてはと思っています。

 年によっては2件の場合もありますし、0件の場合もあるでしょう。

 魅力ある商品が埋もれているなら融資すべきだと思います。」

「わかりました。2件で実施する事を考慮して予算を考えます。」

財政局長は頭を下げる。

「では、お願いします。」

「財政局長、あとの取りまとめはお願いします。

 具体的にどんな記述内容の一般公募にするのか等々も検討して随時この会議で報告をお願いします。」

「はい、畏まりました。」

「では、次ですね。」

フレデリックが融資案件の説明をまとめる。


------------------------

「最後に養鶏場と卵の品評会、各村の特産品祭りの案件はどうなっていますか?」

「はい。この案件はうちの経済局が頭になり進めています。

 特産品祭りについては、現在、財政局、整備局、環境局、軍務局の若手で実施会場と規模を考えています。

 各町局では特産品の選定を行い、各町から1品出店して貰える様にして貰っています。

 各村の養鶏場については、経済局により他領から鶏がどのくらい入手出来て、各村にどのくらい分配出来るのか試算しています。

「わかりました。

 どちらの案件も初期の検討段階ですね。

 タケオ様、何かありますか?」

「・・・特産品祭りと養鶏場は別案件にしたのですね。

 これは最短で実行できる期間が違うからですか?」

「はい。養鶏場が軌道に乗るのは早くても1年半と見ています。

 対して特産品祭りは来年春か夏には開催が見込めます。」

「夏は避けた方が良いかと思いますね。

 食べ物は傷みやすくなりや・・・」

武雄はそこで考え込んでしまう。

「あの・・・どうかされましたか?」

経済局長が聞いてくる。

「いえ・・・食べ物的には夏は避けた方が良いでしょうが、人々の消費は寒い時期よりも暑い時期の方が良いのでは?と思ったんです・・・

 いや、それも違うのか?・・・んー・・・環境局長、良いですか?」

「は・・・はい!」

「確か環境局はゴミの処理もしていましたよね?」

「はい。」

「冬と夏とを比べた場合、この街の酒場から出るゴミの種類や量は変わっていますか?」

「そうですね・・・

 量的には冬場よりも夏場の方が多いかと思います。

 冬場では鍋物の具材が多いですね。夏場はサラダ系や干し肉でしょうか。」

「と、いう事は夏よりも冬に近い春の方が食欲があるのか・・・

 経済局長、なぜ春から夏の開催を見込んでいるのですか?」

「はい。小麦、ライ麦の栽培は秋に蒔いて、夏に収穫が基本です。

 ですので刈入れ前か後の開催が農家にとって参加しやすいと考えました。

 また、刈入れ後だと経済局、財政局、各町局が税の徴収で忙しい為、実施は出来ないと考えます。

 あと、小麦の刈入れが終わってから次の種蒔きの間に南町では野菜が栽培されます。

 実施が遅くなると南町が参加できない可能性もあります。

 実施期間は大体、今時期から春もしくは初夏までが実施に適していると考えています。」

「なるほど。

 そういう理由であれば、春が良いのでしょうね。」

武雄が頷く。

「経済局長、あとの取りまとめはお願いします。

 先の2件も合わせて引き続き実施に向けて動いていきましょう。

 では、タケオ様、私達は戻りましょうか。」

「はい。皆さん、よろしくお願いします。」

フレデリックと武雄は席を立ち会議室を退出していく。

全局長は起立して見送るのだった。

・・

フレデリックと武雄は会議室を出て今は総務局の部屋に向かっている。

「ふぅ・・・何とか凌げましたね。」

「タケオ様、お疲れ様でした。

 整備局長の件はすみませんでした。」

「ん?何がですか?」

「いえ、工事用地の件で整備局長が断ろうとしていましたので。

 彼はなぜか初対面の相手に意見する傾向があるんです。」

「・・・断ろうとしていました?

 確かに劣っているとは言っていましたが、プレゼンに臨むと言いましたよね?」

「・・・たぶん、回答次第では参加しないと言うつもりだったかと。」

「参加しないとは言っていなかったので、私は上手く説明できたのでしょうかね?」

「あれは・・・説明なんですか?

 私的には叱咤かと思いましたが?」

「怒ったつもりはありませんが?」

「そうですか?」

「え?街北、街南案より劣っていると言われたから、私の考えを言っただけですが?」

「・・・考えが浅いと怒ったかと。」

「・・・そのつもりはないですが、まぁ参加しないとは言わなかったということは納得したのでしょうね。

 ・・・私は威圧的に話してしまうのですかね?」

「いえ、問題はないですよ。

 先程は、私がそう思っただけですから。」

「次があるなら気を付けます。

 もっと上手く説明が出来るようになりたいものです。」

武雄の言葉にフレデリックは「満足しないのですね」と苦笑するのだった。

「と、この後はどこか行くのですか?」

武雄はフレデリックに聞く。

「越境許可書が出来ているはずですので、取りに行きましょうか。

 総務局に向かいます。」

「わかりました。」



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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