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第249話 エルヴィス領の局長会議。(ウィスキーの事と工場用地の事。)

武雄とフレデリックが庁舎の会議室の扉の前にいた。

「あぁ・・・緊張します。」

「ふふ、こういう経験もされているのでしょう?」

「似たようなことは・・・緊張はいつでもしていますよ。

 それに私の場合は事前に話し合う事を決めておいて、説明内容も事前に決めて、想定質疑までしてから行っていました。」

「事前準備としては十分な内容をしてから臨んでいたのですね。」

「ええ。ですが、今回は3案の説明内容しか準備していません。

 さて・・・どんな質疑がくるのか・・・答えられればいいですけどね。」

「タケオ様なら平気ですよ。

 今までちゃんとこなしていますから。」

「高評価なのは・・・まぁ頑張ります。」

「はい。では、行きましょうか。」


------------------------

会議室の扉が開き2人の男性が入って来る。

会議室に居た幹部連中は起立している。

「皆さん、お疲れ様です。

 さ、タケオ様はこっちですよ。」

「はい。」

と、二人が席に着くと皆が座る。

会議室内の机は円卓状に配置されていた。


各々の前には部局のネームプレートが置かれている。

「さてと。皆さん、こちらがキタミザト様です。」

フレデリックがそう言うと武雄は席を立つ。

「皆さん、はじめまして。

 この度、アリス・ヘンリー・エルヴィス様と婚約したタケオ・キタミザトです。

 これからよろしくお願いします。」

と、皆に軽く礼をし、席に座る。

「ふふ、簡単に済ませましたね?まぁ、良いでしょう。

 で、タケオ様。こっちから総務局長、財政局長、経済局長、整備局長、環境局長、軍務局は騎士団長と兵士長です。

 そして北町局長、東町局長、南町局長、西町局長です。」

武雄は言われた局長ごとに会釈をし合う。

「さて、このメンバーがエルヴィス領の文官、武官の幹部達です。

 タケオ様、何かありますか?」

「・・・特には・・・あ、先に言っておきましょうか。

 北町局長さん。」

「は・・・はい!」

ランドルはいきなり呼ばれて緊張する。

「お酒の探索すみませんでしたね。

 昨日の夜に受領して皆で美味しくいただきました。

 ワイナリーの社長さんが直接持ってきましたよ。」

「無事に届いてなによりです。」

「はい。

 お酒があまりお強くないとか・・・ワイナリーでの試飲大丈夫でしたか?」

「は、正直に言ってブランデーの試飲は初めてでしたが、何とか体裁は整えられたかと。」

「ふふ、そうですか。

 あのお酒は私の所では『ウィスキー』という総称で呼んでいます。

 こちらではまだ名前が決まっていないそうで・・・出来れば『ウィスキー』で売りたいものです。」

「はい。」

「報告としてはですね。

 今朝、この街のローさんの酒屋で打ち合わせをしましたが、ローさんとワイナリー、そして私の3者で契約を結ぶ運びになりそうです。」

「はい。」

「契約内容はこの場では言えませんが・・・

 たぶん早ければ今頃、ウィスキー全樽の売買が決まっているのではないですかね?」

「は?全樽ですか?」

「ええ。

 そしてこのウィスキーをこの街の酒場から流行らせる計画です。

 まぁ計画と言ってもローさんにお任せしていますけどね。」

「北町で作られた新しいお酒『ウィスキー』は皆さんに今日のお土産で持たせることになっています。」

フレデリックがそう付け足す。

「一応、このウィスキーの飲み方は基本4種類ありますので、お好きな飲み方をしてください。

 作り方のメモも入っていますから皆さん、楽しんでくださいね。

 くれぐれも飲み過ぎには注意してください。」

武雄の言葉に各局長が苦笑する。

「お酒の件は以上ですね。」

武雄がフレデリックに向かって言う。

「はい。では、今朝伝えた工場用地確保の件について、タケオ様。説明を」

「はい。

 それでは経緯と今の状況と昨日の打ち合わせの内容を説明します。」

武雄はトレンチコートの工場案件の説明を始めるのだった。


------------------------

「という話で街北と街南の二人の不動産業は用地確保に向け社内検討を始めました。

 これで2案ですが、私としては3案目として農地をエルヴィス家が買い上げ、組合に貸すという案も出したいと考えています。

 以上です。」

「はい、わかりました。

 朝、配布した内容に追記された感じですが・・・会議ではどうなりましたか?」

「はい。この案件はうちの整備局が頭になり、財政局、経済局の協力の元、プレゼンに臨みます。

 キタミザト様、質問をよろしいですか?」

「はい。」

「農地案はどうしても街北、街南に劣ってしまう可能性がありますが、その辺はどうお考えですか?」

「んー・・・考えを言う前に質問を返しますが、そもそもなんで劣っていると考えているのですか?」

「それはやはり表通り、裏通りに面していない為、荷車の移動に際して時間がかかる事が予想されます。」

「そうですね。

 街南案が一番候補として見られそうですが・・・

 その理由は、仕立て屋の店長の店に一番近い場所にある為、作業の指示が簡単に行えるという事と主要街道と近いというメリットがありますが・・・逆を言うなら人が常に居るために渋滞するデメリットがあります。

 街北案はハッキリ言って、街南よりも交通量が少ない為、もしかしたら主要街道に出られる時間が街南より早い可能性がありますね。

 そして街北案、街南案ともに貧困地域に近い所に用地を確保すれば貧困対策になると言う最大メリットがあります。

 じゃあ、対して農地案ですけど・・・最大のメリットとして考えるなら、その将来性でしょう。」

「将来性ですか?」

「ええ。用地300㎡は現在の規模が3倍くらいまで大きくなることを見越して確保しようとしています。

 が・・・20年後・・・さらに大きくしたい場合、すぐ隣の農地の買い上げが可能になり、わざわざ工場の分割、移転をする必要がないというのは将来性として良いと思います。

 また、荷車の移動距離ですけど・・・城門と裏城門と同じ距離の農地が確保された場合。

 混んでいない方の通りを選択できるため、そこまでのデメリットとは考えていません。

 あと周りが住宅地でないので、深夜まで荷捌きが出来る・・・音を出しても苦情が来ないでしょう。

 そして農地転用ですからそもそも土地の買い付け代が街南案、街北案よりも低く抑えられるのではないですか?

 公的機関の買い付けですから費用を最小限に抑えられます。月々の家賃で優位に立てませんか?

 以上から私としては農地案は他と比べてもメリットが少ないとは見ていません。」

武雄の説明に各局長が「そこまで考えているのか」と顔を引きつらせる。

「わかりました。ご説明を受け、さらに魅力ある検討をしていきます。」

整備局長は頭を下げる。

「では、お願いします。」

「整備局長、あとの取りまとめはお願いします。

 一応、プレゼンは2か月後の予定ですが、仕立て屋組合の意向を確認次第、実施日を決めます。

 よろしいですね。」

「はい、畏まりました。」

「では、次ですね。」

フレデリックが用地案件の説明をまとめる。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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