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第241話 15日目 夕食後の報告会。(用地確保の件。)

「次は、仕立て屋組合が仕立て工場を新設するための用地確保についてです。」

「うむ。」

皆が武雄に注目する。

「必要な用地面積は300㎡という事で今日の午前中に街北のカーティス一家、街南のバーナード一家の当主とその息子に会いました。」

「ん?息子達にも会ったのか?」

「はい。

 ドラ息子二人に会いましたよ。

 スミス坊ちゃんが成長したら相手をするので今のうちに意見を聞いておこうと思いましてね。」

「・・・タケオ様、半分脅していましたよね?」

アリスは呆れながら言う。

「そうでしたかね?

 まぁとりあえず順を追って説明しましょうかね。」

「うむ、頼む。」

エルヴィス爺さんが答えると皆が頷く。

「会談場所は街中のカフェで行いました。

 私は開店直後に入店し、奥の席を占拠。

 テーブルをガラス製に変えるなどしてからのんびりしていました。」

「ガラスのテーブルにする意味はなんですか?」

スミスが聞いてくる。

「机の下で剣を抜く馬鹿だったらどうするのです?

 私が考え付いた安全策です。

 剣が見えたらシールドで防御できますからね。」

「まぁタケオに襲い掛かるのはよほどの馬鹿じゃがの。」

エルヴィス爺さんが呆れる。

「のんびりしていると当主二人と側近が到着しましたね。

 で、当主のみ私の方に来ました。」

「一人で行って正解じゃの。」

「はい。アリスお嬢様を連れて行かなくて正解でした。

 入れ知恵するのが居なくなるので交渉が進めやすかったですね。

 で、自己紹介をした際にバーナードさんでしたかね。

 『細々と事業をしている』と言ったので、『その割には収入額と納税額が不釣り合いですね』と言って『もう少し納税額を増やさないと本体を動かす』と脅しておきました。」

「・・・タケオ様、お二人の収入額と納税額を知っていたのですか?」

フレデリックが聞いてくる。

「知りませんよ、ただのカマ掛けです。」

武雄はしれっと言う。

「・・・よくそんなことを言えるの。

 もしちゃんとした納税がされていたらどうするつもりだったのじゃ?」

「『こちらが不勉強で申し訳ない』と謝れば良い事でしょう?

 新参者で初対面だから出来る荒業です。」

武雄の答えにエルヴィス爺さんとフレデリックが呆れる。

「で、お二人とも苦虫を噛み潰した様な顔をして『ご忠告感謝します』と言っていたので、何かしら脱税していますね。

 一応、私的には『専門外なので納税については何も言いません』と言っておきました。

 まぁ、次回の納税が少し増えるのではないですか?」

「わかりました、うちの文官に言っておきます。」

「はい、よろしくお願いしますね。」

「・・・出だしからタケオのペースになっているな。」

「ねぇ。」

ゴドウィン伯爵夫妻が呆れる。

「で、お二人に私の方から『この街を食い物にする気なのか、共生する気なのか』聞きました。」

「・・・タケオ、その聞き方だと共生するとしか言えぬのじゃが?」

「はい、そうでしょうね。

 それに『後で嘘だとわかったら一家が全滅する可能性もあり得る』と前置きしましたよ。

 偽証はさせないとしました。」

「どんだけ出だしから脅迫をするのじゃ。」

「で、二人からは『街と共存し、今代ではエルヴィス家との対立は望まない』との言質を取りました。

 ですので、今後、我々と対立すると強制捜査が可能になりました。」

「う・・うむ。」

「我々が介入するほどの犯罪は減らす努力を今後ともすると言っていましたね。

 工場用地がどこになろうと人と金の流通がある旨はお二人も認識しています。

 歓楽街にも人と金が入る為、治安が悪化したり第3勢力を作らせないように今から対策を協議するようです。

 あと、表の事業の一つである宿については、工場が稼働して人の流入を見ながら増やしていく考えのようです。」

「うむ、なるほどの。」

「用地のプレゼンについてですが、バーナードさんは街南で、カーティスさんは街北でそれぞれ用地の選定を行うか社内で検討するようです。

 お二人とも参加する際は、一不動産業者としてプレゼンに臨むと言われていました。

 不正はしないと言っていましたので、どんなプレゼンをするか見ものです。

 これで表通り、裏通りの2か所での選定作業が始まります。

 私としては第3の提案として農地を買い上げる案もあって良いのではないかと思うのですが。」

「なるほどの。それはうちの文官にさせるかの?」

「出来れば。」

「今、各村の振興策を検討していますね。

 それに企業への融資事業もさせようと思っている所に、用地確保のプレゼンですか・・・

 ・・・財政局と経済局、整備局も入れた検討が必要でしょうね・・・」

フレデリックが思案する。

「あとプレゼンの実施時期については、用地の検討、土地の分譲可否、賃貸契約の中身等々決めることが多いので最低でも1か月少々はかかる可能性を示唆しておきました。

 実際は仕立て屋の組合長達が戻ってから考え、正式に通達する旨も伝えてあります。」

「うむ。

 タケオの言う通り実際には仕立て屋組合長達の意向を聞いてからになるじゃろうが・・・

 ・・・わし的にはもう少し後だと思うの・・・最低でも2か月はかかると思うの。」

「それはどうしてですか?」

「いや、仕立て屋組合は現在王都とフレッドの所の組合と話し合う予定なのじゃろ?

 今は王都に向かっているが、帰ってきたらすぐにフレッドの所に向かうはずじゃ。

 とりあえず2件の交渉を持って今後の規模を決めると思うのじゃ。

 なので、交渉を終えてから具体的な用地検討が始まると思う。」

「なるほど、確かにそうですね。

 それは後々の検討課題としておきましょうか。」

武雄とエルヴィス爺さんが頷くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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