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第229話 昼食を取って青果屋に行こう。

「さて・・・何だかんだ言って6時課の鐘がもうすぐですね。」

武雄は時計を確認する。

「タケオ様のその・・・えーっと時間がわかる物なのですが作れないのですか?」

アリスが興味深そうに言ってくる。

「時計の原理はわかりますが・・・流石に作れないですね。

 器用な職人を探して依頼してみますか?」

「んー・・・タケオ様の発想が理解できるなら出来るでしょうけど・・・」

と、6時課の鐘が鳴る。

「その・・・時計でしたか?時間がわかるのは良いですよね。

 レイラお姉様も欲しがっていましたし。」

「では、王都でレイラさん達に頼んでみましょうか?」

「え?なぜです?」

「たぶん費用が凄い事になると思うからですけど。」

「そんなにかかるのでしょうか?」

「試行錯誤をすることを考えると相当かかると思いますよ?

 私達は出来たのを買い付けに行けば良いのです。」

「なるほど。」

「そう言えばミアはどうしているのですか?

 てっきり連れて歩いているかと思っていましたが?」

「ミアちゃんは私の胸ポケットで寝ています。

 そろそろ起こしましょうか?」

「そうですね、お昼ですし。」

アリスはトレンチコートの内ポケットを覗き込みミアを掴み上げる。

「ミアちゃん、お昼だから起きましょうか?」

「うぬぅ?・・・アリス様?・・・主?・・・ご飯の時間ですか?」

ミアは身じろぎしながら・・・掴まれているので身じろぎしてもウネウネ動いているだけだが・・・起きる。

「ミア、おはよう。」

「主・・・おはようございます。」

ミアは背を持たれながら首を縦に振り挨拶をする。

「ん?兵士長は驚かれないのですね?」

「はい、キタミザト様を待っている間に十分に驚きました。」

「なるほど。」

武雄と兵士長は苦笑する。

「私とアリスお嬢様とミアはここで昼食を取ったら屋敷に戻ります。」

「はい、わかりました。

 私は詰所に戻ります。」

「兵士長、ご苦労様でした。」

「キタミザト様、アリスお嬢様、失礼します。」

と、兵士長は礼をして店を出ていく。

武雄達3人は兵士長を座りながら見送った後、昼食のメニューを見ながら盛り上がるのだった。


------------------------

「お酒の事をすっかり忘れていました。」

武雄達は青果屋に向かっていた。

「兵士長に屋敷に戻ると言ったので確認して良かったです。」

アリスは苦笑しながら言う。

「そうだ。ミア、今日は買うまで食べてはダメですからね?」

「主、了解です。」

ミアはアリスの肩に乗りながら頷く。

「そう言えばミアちゃん、昨日はどうして一番奥のリンゴに向かったの?」

「アリス様、美味しい匂いがする方に行ったのです・・・人間にはわからないのですか?」

「料理の匂いと違うの?」

「違います。新鮮な果物は美味しい匂いがします。

 さらに甘い果実は甘い匂いもします。」

「それはわからないわね。」

「人間は鈍感なのですか?」

「どうでしょう・・・タケオ様はどう思います?」

「ミア基準で言うなら人間は割と鈍感でしょうね。

 なので、新鮮な食材とそうでない食材を見分けられないのでしょう。

 ですが・・・だからこそ、新鮮でない食材でも美味しい料理を作り出すのだと思いますよ?」

「「なるほど。」」

アリスとミアは頷く。

「ミアの住み家では料理はしなかったのですか?」

「しません。果物を食べて過ごしていました。

 あとは行商隊の品物を貰ったりしていました。」

「・・・そうですか。ミア、ここでは勝手に貰ってはいけませんからね?」

「わかっています、主。」

「ちなみに、新鮮な物はどんな物でもわかりますか?」

「食べ物なら何でもわかる・・・はず・・・です。

 知らない食べ物は、自信がないです・・・」

「そうですね・・・例えば、リンゴ、レモン、オレンジ、イチゴ、ブルーベリーとか。」

「今言ったのはわかります・・・・たぶん。」

「とりあえず、後で試してみましょうか。」

武雄の提案にアリスとミアも頷くのだった。

と、3人で話していると青果屋に到着する。

「大将、こんにちは。」

「お!アリスお嬢様にキタミザト様とミア様か。散策か?」

「おじさん、こんにちは。」

「こんにちはー」

店先にいたおじさんと挨拶をする。

「今日は何を買うんだ?」

「今日はリンゴとレモンとオレンジを・・・10個ずつですね。

 ミア、アリスお嬢様、品定めをお願いします。」

「主、わかりました!」

「はい。」

ミアとアリスは物色し始める。

「・・・凄腕の目利きを手に入れた感じか?」

「さぁ・・・まだ1回見ただけですし・・・

 甘い果実だけかもしれません。」

「うちの仕入れの際にミア様にも手伝ってほしいな。

 そうしたら新鮮な物をより多く手に入れられそうだ。」

「そうですね・・・もう少し街に馴染んだらバイトくらいなら出来る様にさせたいですが。

 でも、目利きなら大将も常に磨いていないといけないでしょう?

 他人に頼って良いのですか?」

「いや、ミア様が選んだ物と俺が選んだ物でどんな違いがあるのか・・・

 まずはそこから勉強しようと思ってな。

 仕入れに関しては楽をしようとも思っているのは確かだが。」

「・・・勉強が第一なら良いかもしれませんが・・・

 もう少し待ってください。

 あとミアがやる気にならなければさせませんので。」

「あぁ、それについてはミア様のやる気が出ることを期待するさ。」

青果屋のおじさんが苦笑する。

「主、選び終わりましたー。」

「タケオ様、終わりました。」

ミアとアリスが武雄の元に戻って来る。

「はい、おかえりなさい。

 早かったですね?」

「ミアちゃんが迷わずに次々に選んで行ったのですぐに終わってしまいました。」

「ミア、お疲れ様。良くやりましたね。」

「はい、やりました。」

ミアは胸を張りながら答える。

「では大将、お会計を。」

「リンゴとレモンとオレンジを10個ずつだな。

 銅貨45枚だな。」

武雄は支払いを済ませる。

「大将、また来ます。」

「おう、また来な。」

武雄達は果物が入った紙袋を抱えながら屋敷に戻るのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 武雄達は果物が入った紙袋を抱えながら屋敷に戻るのだった。 1985話で武雄が紙袋を説明するまで紙袋が存在してないはずなのに、この段階で紙袋って書かれてると矛盾してしまいますね。 あ…
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