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第227話 会談中。

再び、武雄、カーティス、バーナード3人はカフェの奥でパイプで一服している。

3人の前に新しいお茶が配膳されている。

「手配はすんなりと?」

「はい、呼びに行かせました。」

カーティスの言葉にバーナードも頷く。

「そうですか。

 では、先ほどの話の続きですね。

 工場の予定地の件ですが、お二人が参加するのに懸念材料はありますか?」

「いえ、ただ・・・どちらかに決めるのですよね?」

バーナードが聞いてくる。

「さて・・・プレゼンするのがお二人だけとは考えていませんが・・・

 数件のプレゼンのなかで、どれか1つを選ぶ可能性もありますし、2つ選ばれるかもしれませんし、全部がダメとなることもあります。」

「え?我々だけではないので?」

「・・・むしろ二人だけと考える方が変です。

 候補地は未定です。南側の城門までの通りの近くにあった方が良いと考えるのは、あくまで私の考えですから。

 プレゼンでもっと良い条件や良い考え方が示されるならそっちに決めた方が良いでしょう。」

「不正はないのでしょうか?」

カーティスが聞いてくる。

「する気なのですか?」

「いえ、するつもりはありませんが、公平を期してくれるのか・・・」

「と、言うより私からすれば、最初からバーナードさんの方が立地的には優位で始まるプレゼンです。

 それを覆せるだけの好条件を示せるのか・・・

 そもそも裏家業とは関係ない不動産業の仕事です。

 一応、私の考えとしては、不正をしても構いませんが・・・見つけたら個人的な制裁をするかもしれませんね。

 少なくとも私達エルヴィス家はするつもりはありません。」

「私もこの件については不正をする気はありません。

 街の不動産業者として臨ませてもらいます。」

バーナードが宣誓する。

「では、私も一不動産業者として臨ませてもらいます。」

カーティスもそう宣誓する。

「わかりました。

 で、どの候補地に決まったとしても人と金の流入があります。」

「歓楽街にも人と金が入るのでしょうが・・・」

カーティスが少し眉間に皺を寄せて言う。

「それに伴って他領からお二人の同業者も流入してくるでしょうね。

 今から少し先の話ですが、施政側としては申請されれば許可しないわけにはいかないので、そちらで対策をお願いします。」

「やはりそうですよね。治安が悪化したり第3勢力を作られる訳にはいきません。」

「その辺は、今から対策を練ることにします。」

バーナードとカーティスが頷く。

「お願いします。

 と、あとは・・・荷馬車用の宿とかの増設をお願いしようかと思っていましたが・・・

 まぁ、そちらで全体を見ながら作っていただければ構いません。

 足らなかったら作るのでしょう?」

「それは状況を見ながらでしょうか。荷車の量がいきなり増える訳ではないでしょうし・・・

 一応、宿を担当するスタッフには、そういう案もある程度には言っておきます。

 どちらにしても工場が出来てからの話ですので、その際にこちらで考えます。」

「わかりました。

 では、私の話は以上ですね。

 他に聞きたいことはありますか?」

「用地のプレゼンはいつぐらいを予定すれば?」

「そうですね・・・用地の検討、土地の分譲可否、賃貸契約の中身・・・

 いろいろ決めないといけないでしょうから・・・1か月少々でしょうか。

 その辺は仕立て屋の組合長達が戻ってから考え、正式に通達します。」

「わかりました。」

バーナードとカーティスが頷く。

と、店に入って来た青年二人がこちらにやって来るのがわかる。

「「失礼します。」」

二人とも礼をして、武雄達が座っているテーブルまでやってきて各々の父親の横に立つ。

「こんにちは。

 さてと、バーナードさん、カーティスさん、話は終わりです。

 要件参加の有無等々、社内で検討してください。

 色よい返事をお待ちしています。」

「「はい。」」

と、バーナードとカーティスが席を立ち退出していくと控えていた側近と一緒に店を出たのだった。

・・

「急に来て貰ってすみませんね。」

「いえ、この近くにいましたので、問題はありません。」

「私も近くにいましたので・・・」

「立ち話もなんです。座っていただいて歓談しましょう。」

「はい。」

「失礼します。」

と、青年二人は父親が着いていた席に腰を下ろす。

「改めて、エルヴィス家所属、タケオ・キタミザトです。」

「街南で不動産業をしているクリフトン・バーナードの息子のブレント・バーナードです。」

「街北で不動産業をしているクリフォード・カーティスの息子のチャド・カーティスです。」

「ふふ、緊張していますね?」

武雄は苦笑しながら言う。

「はい、正直・・・緊張しています・・・」

チャドがそう答え、ブレントが頷く。

「お二人の呼び方ですが・・・名前の方を呼んでも構いませんか?

 お父上達を姓で呼びたいので。」

「構いません。」

「はい。」

「さて・・・呼んだのは別に何かをさせたいわけではないのです。

 あなた達の意見を聞かせてください。」

「「え?」」

二人して固まる。

「ん?何か?」

「い・・・いえ。我々よりも親父達と話した方が・・・」

チャドは恐縮しながら言い、ブレントが頷く。

「あぁ、具体的な話だったりの交渉事はあなた達とできませんし、しません。

 あなた達にそんな権限ないでしょう?

 あなた方は組織の一員かもしれませんが、決めるのはトップですからね。」

「「はい。」」

「私が聞きたいのは・・・あなた達の考え方です。

 と、いきなり言われても困りますね?

 ちょっと間を置きましょうか・・・お茶でもどうです?」

「いただきます」

ブレントが回答し、チャドが頷く。

と、店内が少しざわめく。

一人の女性がこちらにやって来るのがわかる。

「皆さま、こんにちは。」

アリスはテーブルに座っている3人に声をかけると武雄の横に椅子を持ってきて座る。

「さて、お茶を新しくしましょうか。」

武雄は店員を呼ぶのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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