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第225話 会談開始。プレゼンのお誘い。

武雄、カーティス、バーナード3人はカフェの奥でパイプで一服している。

「・・・。

 いきなりで申し訳ありませんが、お二人の資料は読ませていただいています。」

武雄は表情を顔に出さずに真顔で話し始める。

「ええ。」

「はい。」

「随分と手広く事業をされている様ですね?」

「細々と稼業をさせていただいています。」

バーナードの答えにカーティスも頷く。

「・・・細々・・・その割には収入額と納税額が不釣り合いですね?」

武雄の言葉に二人は驚く。

「・・・どうして・・・いや・・・なんでもありません。」

カーティスは驚き、ついそんなことを言ってしまう。

バーナードはカーティスを睨みつける。

武雄は実際には、二人の収入も納税額も知らないが、カマをかけただけだった。

「まぁ、良いです。納税については何も言いません。

 専門外ですしね・・・もう少し納税額を収入額と均衡をとらないと本体が動きますよ?」

「・・・はい。」

「・・・ご忠告感謝します。」

二人は苦虫を噛み潰した様な顔をする。

「さて・・・本題ですが・・・

 ・・・実際の所、あなた方はこの街をどうしたいですか?」

「仰っている意味がわかりませんが・・・」

カーティスは困惑した顔をする。

「食い物にする気なのか、共生する気なのか・・・」

武雄の言葉に二人は驚く。施政者を前に食い物にするなんて言うわけがない。

「それはもちろん共」

「後で嘘だとわかったら一家が全滅する可能性もあることもあり得ますからね?

 家族、部下共々全てをかけて発言してください。」

「「え!?」」

「当たり前でしょう?

 あなた方の前にいるのは施政者側の上位です。

 それ相手に口先で丸め込めようとするならリスクがありますよ?

 私にはそれを実行する力が無い、ハッタリだと思うのでしたら、そう判断して貰って構いませんが。」

「「・・・」」

武雄の通告に二人は黙り、考える。

最初に口を開いたのはカーティスだった。

「我々、カーティス一家は・・・少なくとも私の代ではキタミザト様・・・いえ、エルヴィス家と対立する気はありません。

 街との共生を望みます。」

「バーナード一家も同じです。

 エルヴィス家との対立は望みません。

 この街と共生を望みます。」

「そうですか・・・口先の約束ですが・・・色よい返事を貰えて何よりです。」

武雄は真顔で答える。

「ちなみに私がしている・・・しようとしていることは、どのくらい知っていますか?」

「ラルフの仕立て屋を発展させて、この街を衣服の街にしようとしていると聞いています。」

バーナードが答えるとカーティスも頷く。

「・・・なるほど。間違いではないですね。

 まずは、ラルフ店長の仕立て屋を皮切りに王国全土に衣服の売り込みをかけ、この街に衣服の工場を作り生産拠点にしようとしています。

 現在、王都とゴドウィン伯爵領の2つの組合とこの街の仕立て屋組合が話合いに臨んでいます。」

「なるほど・・・衣服をもって街を発展させるのですね。

 ・・・ですが・・・」

バーナードが難しい顔をしながら言う。

「危ない綱渡りなのは重々承知しています。

 ですが、上手くいけば雇用の創出と人・物・金が流入する可能性があります。

 さらに今、売り込みしている商品は一般向けではなく、兵士向けです。流行とは縁が少ない職種ですね。

 また、一伯爵領のみで採用されたのであれば、生産コストは高いですが、他領の兵士の標準装備品となれば大量仕入れと大量納品でコストが下げられ、さらに多くの兵士に採用される見込みがあります。

 毎年の安定的な収益も見込めますね。」

「壮大ですね。」

カーティスが頷く。

「荒唐無稽ではなく、現在進行形で行っている事業です。

 見通しが若干甘いのは認めますが・・・悲観していても発展は望めません。

 街の発展の為には、ある程度のリスクを取らないといけませんから・・・

 ただし、商品の性能上、あまりリスクは高いとは感じませんが。」

「そんなに良い物が?」

「ええ。この国の既成概念を打ち破る商品とラルフ店長は言っていましたね。

 まぁ、いつかは誰かが考え出していたかもしれません。

 我々が最初だっただけです。

 ならば、最初に発案し、物を作ったという優位性をいかんなく発揮するには、最初から今出来る最大の売り込みをかける必要があります。

 我々が作り出す物がこの国の標準となるのです・・・後々やりやすいでしょう?」

「確かにそうですね。」

カーティスは頷く。

「で、私から街と共生を望むお二人にお知らせです。」

「「はい。」」

「この度、仕立て屋組合が仕立て工場を新設します。

 予定候補地は決まっていません。

 必要な用地面積は300㎡です。」

「「はい。」」

「あなた方も候補地を選定してみませんか?」

「は?」

「え?」

「私は、ラルフ店長の店の近くに300㎡の予定候補地を用意することが望ましいと考えています。

 ですが、現在の区画割りや住居の関係で我々では用意できません。

 なので、バーナードさんには、南の城門までの通りに面している所で300㎡の候補地の選定を。

 カーティスさんには、南側にあるよりも北側に工場があることのメリットを考え、用地の選定を。

 私や組合長、ラルフ店長・・・あと数人を前にプレゼンしてもらいます。

 まぁ、もちろん話に乗れば・・・という感じですけども。

 どうします?」

「強制ですか?」

カーティスは質問する。

「いえ、あくまでお知らせです。

 参加しないのもありですね。強制はしたくありません。

 それに何がなんでもラルフ店長の店の近くと考えている訳ではありません。

 街の事を考え自分たちの縄張りの事を考え・・・ありとあらゆる想定が必要です。

 私は街全体を見渡せる人材は、エルヴィス家所属の文官と不動産業のお二人だけと思っています。

 この案件は工場の用地確保が目的ですが、街全体でみるとそれだけでは終われません。

 付随する案件まで考えられる人材は限られますのでね。」

カーティス、バーナードは黙って武雄の話を聞くのだった。


ここまで読んで下さりありがとうございます。

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