第21話 街中の店主達と魔法具商店。
店に行くまでにアリスは色々な人達に声をかけられる。
「あら?アリスお嬢様、散策ですか?おや?男の人と!?あらあら。」
「あの!おばさんの考えている事とは違いますよ!
今度うちで働く事になった方で、私の部下になったので、
街を案内しているんです。」
「タケオ・キタミザトと言います。」
「あら。意外と礼儀正しいわね。アリスお嬢様をよろしくね。」
「若輩者ですが、アリスお嬢様を補佐していく覚悟です。」
「へぇ、真面目そうね。じゃあアリスお嬢様、今度うちの店にも来てくださいね。」
「ええ、お伺いします。」
・・・
・・
・
「お!アリスお嬢様。散策か?うちの店にもよっていきな。ん?おぉ!男連れか!!」
「おじさん!違います!
今度、うちで働く事になった方で私の部下になったの。
街を案内しているのよ。」
「タケオ・キタミザトと言います。」
「お!真面目そうだな。うんうん。よしこれをやろう。」
と店先のリンゴをくれる。
「あの、包丁か小さいナイフをお借りしてもよろしいでしょうか?」
「おう。勝手に使ってくれて構わないよ。」
「ありがとうございます。」
と武雄はリンゴを8等分にして、その内の1個の皮に切れ込みを入れてV字にカットしてアリスに渡す。
「はい、アリスお嬢様。ウサギです。」
アリスは驚いていた。
「タケオ様、料理ができるのですか?」
「・・・え?切っただけですよ?」
「はぁ。まぁ、そうですが・・・」
とリンゴを受け取りシャクシャク食べる。
「随分うちのリンゴを可愛くしてくれたな。」
「大将もどうぞ、うさぎです。」
「お!すまねぇな。」
とリンゴを受け取りシャクシャク食べる。
ふと周りを見ると子供たちがじーっと見ていた。
「食べる?」
と残りの6個をウサギカットにして渡す。
「わぁ。ありがとう。」
とりんごを受け取る。
そのうちの1人の女の子は食べないで眺めている。
「可愛いかい?」
「うん。初めて見たの!」
と女の子はにこやかに答えてくる。
武雄はにこやかに頷く。
「大将、売り物を勝手に渡してすみませんでした。」
と武雄は軽く礼をする。
「ん?かまわないさ。それは俺があんたに渡したものだ。好きに使ってくれて構わないぞ。
それに子供に笑顔を与えたんだ、十分だろ。」
「そう言って貰えてありがたいです。」
「じゃ、おじさん。また来ます。」
「おう、またおいで。」
・・・
・・
・
「お、アリスお嬢様。散策ですかな?」
「ええ。今度、うちで働く事になった方で私の部下になったの。
街を案内しているのよ。」
「タケオ・キタミザトと言います。」
「はい、よろしく。私はここで酒屋を営んでいる者です。」
「アリスお嬢様。新発売のお酒が入りましたので、後日お屋敷にお持ちいたします。」
「それはありがとうございます。お爺さまも喜ぶと思います。」
「じゃ、おじさん。また来ます。」
とアリスと武雄が離れようとした時。
「はい。・・・お兄さん。ちょっと・・・」
と武雄を手招きする。
「なんでしょう?」
「これはお裾分けです。」
と小さな小瓶をくれる。
「精力剤ですよ。ほほほ。」
「ぜひまた来させていただきます。」
と武雄とおじさんはガッシリと握手をする。
・・・
・・
・
とそんなこんなで、魔法具商店に着くまでに6、7人に声をかけられた。
------------------------
商店の中に二人は入る。
「アリスお嬢様、いらっしゃいませ。」
「ええ。こちらの方がメガネを作りに来ました。」
「タケオ・キタミザトと言います。」
「はい、いらっしゃいませ。
まだお若いのにメガネがお入り用ですか?」
「はい。実はこちらに来たばかりでまだ文字が読めないのですが、
エルヴィス伯爵のメガネをお借りしたら読めましたので、私のも作って頂きたいのです。」
「なるほど。わかりました。
キタミザト様の魔法の系統はわかりますか?」
「申し訳ありませんが、調べていただけますか?」
「わかりました。では、ついでに魔力量と適性も見ます。」
「はい。魔法の適性から全て調べていただければと思います。」
「全てですね。では準備しますので、その間にメガネのフレームを決めておいてください。」
と店員が下がっていく。
と机に何種類かのメガネが置かれてある。
おもむろに1つを選びかけて、アリスの方を向く。
「ぷっ。」
アリスは吹き出す。
「・・・アリスお嬢様・・・」
「あ、ごめんなさい。タケオ様が可愛らしくって。」
アリスはクスクス笑いながら言った。
「折角なのでアリスお嬢様に選んでもらいたいのですが?」
「ふふ、わかりました。私が選びましょう。」
全ての種類をかけてアリスに確認してもらう。
アリスは「これは知的に見えそうだけど。あ、これは可愛く見える」と楽しそうに選ぶ。
出来れば可愛いのは無しでいきたいなぁ。と武雄は思った。
・・・
・・
・
「これにしましょう。」
とアリスは1つを選ぶ。
知的系とアリスが言っていた割りと四角に近い形の物だった。
・・・可愛い系でなくて良かった。
武雄は選ばれたフレームを見て安心したのだった。
アリスが決めたタイミングを見計らったかのように、店の奥から店員が戻ってくる。
「準備が出来ました。どうぞ、こちらへ。」
ここまで読んで下さりありがとうございます。