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第222話 14日目 夕食後の報告会。(300㎡の用地をどうするか。冒険者組合とは?)

「ちなみにどんなことを言うつもりかの?」

「300㎡の用地確保についてですが、エルヴィス家の取れる手段は3つあると思います。」

「うむ。」

「そうですね。」

エルヴィスさんとフレデリックが頷く。アリスとスミスは真剣に聞く様だ。

「1つ目は、城門外に新たに用地を用意すること。

 2つ目は、街から離れますが、エルヴィス家が畑を買い上げ、用地を確保する事。

 その際は農家に金銭補償をする必要があります。

 3つ目は、仕立て屋の近く・・・通りに近い場所に用地を確保することです。」

「「はい。」」

アリスとスミスは頷く。

「安全策をとるなら、2つ目なのですが・・・私は3つ目がしたいですね。」

「なぜですか?」

スミス坊ちゃんが聞いてくる。

「理由としては仕立て屋からの距離を近くすることで、作業指示が素早く伝達される事と荷馬車への積み下ろし時の検査確認を素早く出来る様にする為です。

 また、雇用を創出しますので低所得者から従業員に取り立てられる可能性もあります。

 その際に重要になるのが家と工場との距離だと思います。

 遠ければ面倒になり来なくなる可能性もあります。

 近ければ短時間でも働いていく事が出来ると思います。」

「うむ、貧困層対策じゃの。」

「大々的ではないですがね。まずは数名でしょう。

 ですが、今後の発展を考えると数十名の雇用が考えられます。」

「なるほど・・・」

スミスは頷く。

「通りに面した所の用地確保ですが・・・エルヴィス家が強制的にすれば住民が不安がります。

 なので、裏稼業2人にプレゼンして貰おうかと思います。」

「ん?確保を依頼するわけでは無いのかの?」

エルヴィス爺さんが不思議そうに聞いてくる。

「ええ、依頼なんてしません。

 そもそも畑を買い上げて仕立て屋に貸し付けた方がエルヴィス家に利益が出ますからね。

 その利益よりも仕事の効率を取りたいから通りの近くにしたいのです。

 不動産業の人なら雇用の創出とその後に控える『美味しい果実』がわかるのではないでしょうか。

 なので、2人には私と店長相手に用地のプレゼンをしてもらいます。

 二つとも気に入らなければ畑案に決定させますけどね。」

「タケオ様、『美味しい果実』とは、何でしょうか?」

スミス坊ちゃんが聞いてくる。

「今、仕立て屋はゴドウィン伯爵領、王都の2つの仕立て屋組合と話合いを設けようとしています。

 順調に話が進んだり取引先が多くなると資材やコートの運搬人、相手商店の会計や営業等々、この街を訪れる人が増えます。

 その人達が行くであろう酒場、宿、歓楽街・・・表も裏も稼業の需要も多くなるはずです。」

「・・・タケオ様、不動産の二人は用地確保しなくても需要が高まるとみるのでは?」

アリスが聞いてくる。

「ですね。

 であるなら、それはそれで構いませんね。

 ですが、心理として競い合っている相手方の歓楽街に客が持っていかれてしまう可能性があることは避けたいと思うんですよね。

 ほら、意外と人は地元以外の場所に行くとお金を少し多く使う傾向がありますから。」

「どちらかの道筋に工場を作るともう一人が嫌がらせをするのではないのですか?」

スミスも聞いてくる。

「するのではないですかね。

 基本的に表通りに仕立て屋の店長が居るのですから、初めから裏通りは不利ですね。

 それを覆せるだけの好条件を示せるのか・・・が勝負になります。

 まぁ敗れた方は、裏稼業や酒場の作り方でヒントは上げますけどね。」

「ん?タケオは知っているのか?」

「いえ、詳しくは知りませんが・・・ヒントっぽい物は出せるでしょう。

 例えば相手の地域にはない趣向を凝らせる・・・とか。」

「それは当たり前なのでは?」

アリスが聞いてくる。

「ええ、当たり前です・・・ですが・・・本当に差を付けているのでしょうか?」

「ん?どういうことなのじゃ?」

「貰った資料の中に店の数と歓楽街がどんな雰囲気かも書いて貰っていますが・・・

 どちらも似ているらしいですね。」

「似ているのかの?」

「一般向けの大衆酒場、女性が接客をする酒場・・・表通りも裏通りもほぼ同じ数ですし・・・

 二つの歓楽街が近い場所にあるのですからもう少し変えても良いと思うのですけどね。

 ・・・そう言えば、エルヴィス領は奴隷制度は無いのですよね?」

「アズパール王国以下各貴族領は奴隷制度を取っておらんの。

 近隣で奴隷制度があるのは・・・ウィリプ連合国じゃの。

 あの国は人間至上主義じゃ。人間以外皆奴隷じゃの。

 エルフや獣人が奴隷階級にあると言われておるが・・・わしは行ったことがないので文献でのみ知っておる。」

「ちなみにウィリプ連合国で奴隷契約を結んだ者がこの国に入ったらどうします?」

「ふむ、契約は履行されておるからの・・・

 破棄するように依頼するぐらいしかないの。」

「・・・それは・・・いろいろと難しい問題ですね。

 エルフは・・・まぁイメージは沸きますが・・・獣人とはなんでしょう?」

「獣人とは人と他の動物の特徴を合わせ持つ人間種じゃの。

 分類的には獣頭人身、人間の上半身と動物の下半身、動物の姿に変身する人と3種類の総称じゃの。」

「なるほど。

 ん?そう言えば・・・エルヴィスさんと初めて会った際に道で獣人(?)の人を見ましたね。」

「ふむ・・・居たかも知れぬな。」

「ここの街中では見かけないのですけど。」

「うむ、基本的に獣人達は魔王国との国境沿いに住んでおるからな。

 この街には基本的に住んでおらぬ。

 兵士にもなる気が無い様じゃ。応募しても来ないのじゃ。

 それよりも奴らは冒険者や傭兵をして生計を立てている様じゃの。」

「冒険者?・・・とは何でしょう?」

「うむ、冒険者組合ギルドに登録して冒険をする者じゃの。

 我らは用事があれば、各街の店に依頼を頼んでおけば金額次第で行ってくれるのじゃ。

 それに旅をするのに便利じゃぞ。

 組合内にある程度まとまったお金を保管させておけば、違う土地でも引出が可能じゃ。」

「なるほど・・・わかりました。その内登録してみます。」

「うむ。

 と、話を戻そうかの。例の二人にはいつ会えるとなっておるのかの?」

「明日の昼前となっていますね。」

「急じゃの。」

「まぁ、お互いに顔合わせのつもりですから・・・特に問題ないでしょう。

 こちらは工場用地のプレゼンをお願いしてさっさと撤収ですかね。」

武雄は苦笑する。

「うむ。

 それが良いじゃろう。いざとなれば強制執行・・・最大の切り札を使えるしの。」

「住民の不安を掻き立てないでください。

 とりあえず、明日は提案だけしています。」

「うむ。」

エルヴィス爺さんは心配そうに頷くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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