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第221話 14日目 夕食後の報告会。(歓楽街発見。)

「んー・・・300㎡・・・どうしましょうかね?

 ・・・フレデリックさん、街の地図はありますか?」

武雄が聞くとフレデリックが街の地図(街区地図)を出して皆の前に拡げる。

皆が地図を覗き込む。

「ここが屋敷から城門までの道ですよね?」

武雄が通りを指でなぞる。

「そうですね。

 平行している裏道にも少し小さいですが、商店が並んでいますよ。」

アリスが説明する。

「・・・で、脇道のさらに裏はなんです?

 住宅地でも畑でもなさそうですが?」

「歓楽街と低所得者地域じゃの。」

「ここが。」

「タケオ様は、歓楽街に行ってはダメですからね?」

「・・・」

「・・・返事がないのですが?」

アリスがジト目で武雄を見る。

「・・・はぃ・・・」

武雄はガックリとする。


何気なく地図を見ていた武雄がふと思う。

「ん?表通りと裏通りでそれぞれに歓楽街が?」

「うむ。

 ちなみに表通りを街南、裏通りを街北としておる。

 そこがこの街で一番治安が悪いのじゃが・・・

 まぁ実際は、そこまで悪くはないの。他の街の方が悪いらしい。

 あってもボッタクリ程度だそうじゃ。」

「・・・ここの元締めは割と真面目なんですかね。

 ・・・他の犯罪は何が?」

「殺人も誘拐もここ数年はないの。

 あるのはひったくり、喧嘩、置引き、ボッタクリかの。

 その辺は兵士長達が取り締まっておる。」

「元締めは1人なのですか?」

「いや、街南の歓楽街に1人、街北の歓楽街に1人かの。

 二人とも堅気の商売もしておるし、あまり表だって悪い事はしないの。」

「・・・不動産業と高利貸しですか?」

「なぜわかるのじゃ?」

「・・・私の所もそうでした・・・不動産も高利貸しもそういう輩が蔓延りますからね。

 まぁ他人の持ち物を売ったりして、仲介手数料をもらうビジネスは、割と大金を動かすので実入りも大きそうですし、高利貸しも弱者を救済するとの名目でしょうが・・・取り立てによる利益と不動産の取得目的もあるでしょうね。」

武雄は、ため息をつきながら説明する。

「お爺さま、住民が不利益を被っているのですよね?

 そういう輩を取り締まらないのですか?」

スミスがエルヴィス爺さんに聞く。

「うむ・・・

 確かに歓楽街の主人として犯罪を指揮しているとは考えられているし、不動産業で家や屋敷を相場よりも高い金額で売買するのを仲介しているのもわかるのじゃが・・・取り締まる程、悪くはないのじゃよ。

 歓楽街では、その二人に強要されて女性が働いているわけでもない、不動産も相場より高いと言っても2倍、3倍という訳でもなく2割程度乗せている感じなのじゃ。

 それに貸付金の強引な取り立てとかで住民から苦情や被害届が出されていないのじゃ。

 被害届が出ないのであれば取り調べも出来ない・・・無理やり取り調べる事もできるが・・・

 今の時世ではできないの。」

エルヴィス爺さんが苦笑する。

「・・・犯罪を指揮している者を捕まえるというスミス坊ちゃんの考えは当然なのですけど・・・

 話を聞く限り、その二人は街や住民に表立った被害を出さない様にしているんですね。

 上手いと言うか・・・したたかと言うか・・・狡猾ですね。

 住民が被害を届け出なければ兵士を動かせませんものね。

 構成員は何人くらいなのでしょう?」

「把握しているだけで・・・どちらも100名前後だったの。」

「微妙な数ですね。」

「先々代の時は血で血を洗う抗争をしたそうだが・・・

 今は代替わりを両家で一緒にしての・・・落ち着いておる。」

「タケオ様、第1小隊のノース小隊長が夕方、封筒を持って来られました。

 何か頼み事を?」

フレデリックは懐から封筒を出し、武雄に渡す。

「ええ、ちょっと・・・」

武雄はそう言いながら封筒を受け取り、封を開け、中の書類を目を細めながら見る。

「・・・タケオ様、何か兵士長に頼みごとをしに行っていましたが、それが?」

「そうですね。

 兵士長に依頼したのは、歓楽街の印象や犯罪等の書類と元締めに会えるのか・・・です。」

「・・・タケオ、二人に会う気かの?」

「と、言うより・・・

 タケオ様、依頼しに行っている時は歓楽街があるとは知っていませんでしたよね?なぜ?」

エルヴィス爺さんが心配そうに、アリスは驚きながら聞いてくる。

「・・・5万人都市で歓楽街がない・・・なんてありえません。

 それに私は、この街で新参者です。

 因縁を付けられるかもしれませんから・・・早めに裏稼業のトップと会談した方が良いでしょう?」

「うむ・・・だがの・・・取り込まれる恐れがあるのじゃが。」

エルヴィス爺さんが心配そうに聞いてくる。

「エルヴィスさんとフレデリックさんの双方で私が取り込まれたと感じたら、重要案件から遠ざけてください。

 もしスミス坊ちゃんへの障害となるなら、縁を切ってください。」

「「え!?」」

アリスとスミスは驚き、エルヴィス爺さんとフレデリックは頷く。

「うむ・・・その覚悟があるなら良い。

 好きにしてくるのじゃ。」

エルヴィス爺さんの承諾に武雄は頷く。

「タ・・・タケオ様?・・・それほどの覚悟を?」

スミスは声をかける。

「犯罪組織と渡り合う際は、こちらの進退をかけるべきです。

 エルヴィス領が犯罪組織に乗っ取られてはいけません。

 私はスミス坊ちゃんと対立する気もありませんが、犯罪組織に有利に働く条件を次々に私が話し出したら・・・危険です。」

「うむ・・・そうじゃの。

 まぁ、その時はその時で考えるのじゃ。」

エルヴィス爺さんは難しい顔をしながら頷くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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