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第220話 14日目 夕食後の報告会。(街の拡張案。)

「あとは、仕立て屋でのタケオ様と店長との会話ですね。」

「うむ。」

「仕立て屋の店長から明日、王都に向けて組合長と店長と職人の3人で出発するそうです。」

「前に言っていた向こうの組合との取引条件の打ち合わせじゃの?」

「はい。厳しい内容になるかもしれないと覚悟していました。」

「うむ。流石に王都の商人相手に楽な交渉は無いじゃろうの。」

「ええ。どういう結果が来るのか楽しみですね。

 と、あと、仕立て組合が工場を建設したいとの事です。」

「組合で工場を?」

「基本はトレンチコートの縫製工場で、他の組合員も使える様にするとのことです。」

「うむ、なるほどの。

 ちなみに何人雇用すると言っておったかの?」

「初回は20名とのことです。

 なので、工場は最低でも60~70㎡は欲しいと言っていましたが・・・

 将来を考えれば300㎡程度の確保をしてあげるべきだと思います。」

「うむ・・・この街に300㎡は余っておらぬな・・・」

エルヴィス爺さんはため息を漏らす。

「・・・やはりありませんか・・・」

「人の居住区以外は、備蓄庫や畑にしていますから。」

フレデリックも難しい顔をする。

「街の拡張はできますか?」

「・・・可否で言えば、出来るのじゃが。」

「・・・費用の捻出が出来るか・・・ですね。」

「やはり金ですか・・・」

「ちなみに何処を拡張すると考えたのじゃ?」

「城門前の演習場ですね。

 幅800m×奥行600mの新たな城壁に囲まれた商業地区ですかね。

 城壁の高さは7mくらいで良いでしょうか?

 簡単に書くと・・・」

と、武雄はその辺にあった紙に簡単に絵を書き始める。

「タケオ、流石に7mは低いの。城壁は10~15mが主流じゃ。

 まぁ、費用の大半は城壁の石代じゃから壁が高くなればその分費用もかかるの・・・」

エルヴィス爺さんとフレデリックは苦笑する。

「・・・城壁の意味は?」

「外敵の侵入防止じゃな。

 魔物が飛び越えられないとされるのが8mなのじゃ。」

「・・・じゃあ。7mで。」

「なに!?」

「ここの城壁を見てて不思議だったのですが・・・

 なんで堀がないんですか?」

「深さ1mで幅2、3m程度の堀は魔物相手では、何の役にも立たないと考えておるのじゃ。

 ゴブリンやオーガは仲間の死体を気にせず足場にして登って来るらしいからの。

 それに堀の維持も結構かかるらしいのじゃ。

 アズパール王国内にも堀を使っている街があるが・・・雨が降った後の空堀の補修が大変だと聞くの。

 そんなわけでうちの街は堀を使っておらぬ。」

「そうですか・・・」

武雄は堀のサイズが浅く、狭い事に驚く・・・堀自体の費用対効果が低いのかとも思うのだった。

「んー・・・まずは私のお城の堀のイメージは、幅7m、深さ5m程度なんですけど・・・

 空堀の底からなら城壁の高さは12mになりますね。」

「広くそして深いの。」

「幅7m・・・弓矢の素人でも何とか当てられそうですね。」

「掘り起こした土は土塁として城壁の反対側の堀の縁に2m程度積んでいきます。

 土塁の上からの落差は7mになりますね。

 普通に考えて7m先の高さ7mの壁を飛び越えられますか?」

「ビーストマン達なら助走が取れれば可能ではないかの?」

「ビーストマン??」

「大型の獣の総称じゃの。4足歩行、2足歩行いろいろおるの。

 この辺ではあまり見かけないの。」

「獣・・・では、土塁の後ろ側1、2mを腰丈までの植栽で囲いましょうか。

季節関係なく生い茂って欲しいので・・・広葉樹ですかね。

 あとはバラを植えたり・・・

 腰丈の後ろの木々は密度を高めて松でも植えますか。」

「・・・バラの木は助走を取らせない為とわかるのじゃが・・・

 松はなんで植えるのじゃ?」

「松は燃料になりますからね。薪を作り出せば良いかと。

 定期的に伐採と植林をして循環させないといけませんけどね。

 それに良く燃えるので、もしそこに敵が潜んでいたら松を燃やせばいいでしょう?」

「・・・恐ろしい事を言うの。」

「7mの空堀と腰丈の木があればこっちに延焼はしづらいでしょうし・・・

 それに赤松の木には、美味しいキノコが生るんですよね。」

「なに!?」

「香りが良いキノコが生えるんですけど・・・まぁ良いです。」

「・・・いつか聞かせてくれ。」

「機会があれば・・・と、空堀の話ですね。

 この堀ですけど・・・掘られた斜面には石積みをして強度を増す様にします。

 それに石積みであればただ掘ってあるよりも補修が少ないと思うのです。」

「石積みはレンガかの?」

「レンガは建物には良いでしょうけど・・・

 堀や川にしたのは私は知らないですね。」

武雄は頭の中で「素焼きの石垣なんてなかったよね???」と考える。

「うむ・・・自然の石をどうやって集めるのか・・・そこも問題じゃの。」

「・・・魔法師達にストーンで大量に作らせれば良いじゃないですか?

 毎回同じ出力を出す訓練とでも言って。」

「うむ・・・それも一つの手じゃの。」

「はい。

 あと城門は正面ではなく、両サイドに作りたいですね。」

武雄は城壁の左右に城門を書く

「ん?不便ではないかの?」

「そうですか?

 街の正面から入って来る方が楽ですけど・・・防御的には、ありだと思うんですよね。

 それに一方を入り口専用、一方を出口専用とすれば交通に不便はないですし、荷をチェック、管理するのが楽になるかな?と。それぞれの城門に通じる道の幅は、馬車2台分くらいが対応しやすいでしょうか・・・

 まぁ、なので城壁-空堀7m-道-土塁-植木-森とすれば良いのかなぁと思いますね。

 で、城壁内は今の城門から真っ直ぐに進み400mくらいの所から、両側の門へ通じる道を作ります。」

武雄は絵にT字の交差点を作る。

「今の城門から正面突き当り部分全部に兵士詰め所を設けます。

 後は商業地区として開放。宿屋や飲食店、工場が出来たらいいなぁっと考えました。」

「ふむ、面白い考えじゃの。

 ・・・まぁとりあえず、この案は今すぐできる事ではないの。

 フレデリック、街計画の部署に渡して検討させてくれ。

 いつかは拡張をしないといけないとは思うのでな。」

「はい、畏まりました。」

フレデリックが武雄の落書きを貰い受け懐にしまうのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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