第219話 14日目 夕食後の報告会。(ミアと小銃と酒の事。)
夕飯後、客間に皆が移動する。
フレデリックが食後のお茶を入れ、皆の前に置き、皆から少し後ろに下がる。
ミアにはオレンジの搾りたてジュースが出されていた。
「さて、今日はタケオ達は何をしておったのじゃ?」
「とりあえずミアちゃんの部屋を買いに行ってきました。」
アリスが説明しだす。
「うむ。ミア、良いのが見つかったかの?」
「はい。2つありましたが、好きなのを選んでいいと言われたので好きなのを選びました。」
「夕飯前に設置が終わりました。」
武雄が報告する。
「うむ、廊下側の扉の横にしたそうじゃの。」
「はい。引き出しのあるサイドテーブルの上に置いて、
扉のヒンジ側の横に扉を最大限開けても当たらない様に置いています。
サイドテーブルの引出はミア専用ですので、ミアの服や小物を入れる様にします。
まぁ物置ですね。」
「ちなみにタケオ様、僕たち換算だと部屋の大きさはどのくらいですか?」
「・・・1階部分だけなら11㎡程度・・・私とアリスお嬢様のベッドくらいしかありません。」
「え?・・・小さいですね。」
「一応、1階と同じ広さの屋上付きで机と椅子を完備、サイドテーブルの物置もセットで付けました。
あとは1階の床には柔らかく厚手の布に肌触りの良い布を2重で敷き寝ても負担が減らせるようにしました。」
「タケオ、何とか物件として成り立ったの。」
「ギリギリですね。
とりあえず、ミアのプライベートな空間は確保できそうです。」
「主、ありがとうございます。」
ミアが礼を言ってくる。
「いえいえ、良いのですよ。」
武雄は楽しそうに言うのだった。
「で、部屋が決まったので、今度はミア用のトレンチコートを作りに行ってきました。」
「ん?妖精が洋服とな?」
「はい。ミアちゃんが『タケオ様の部下なのでタケオ様と同じ物を着たい』と言ってくれましてね。」
「ほぉ。で、どうだったのじゃ?」
「可愛く出来ましたね。」
「主とアリス様とニオとお揃いです。」
「ニオ?テイラーの所の精霊か?」
「はい。3着作ったので、1着あげてきました。」
「うむ。ミア、ちなみに我らも同じのを持っておるからの。」
「皆、お揃いですね!」
ミアが楽しそうに言うのを皆が笑顔で頷くのだった。
「ミアちゃん関連では以上でしょうか?」
「ん?アリス、青果屋で面白い事があったのだろう?」
「あ、そうでした。
コートを作ってもらっている間に酒屋と青果屋に行ったのですが・・・」
「ごめんなさい。」
ミアが恐縮する。
「ふふ。ミア、次しなければ良いですからね?」
「はい。」
「ん?何をしたのじゃ?」
「青果屋の店先にある果物を勝手に食べちゃいました。」
武雄が苦笑する。
「あぁ・・・妖精だしの。」
「しょうがないですよね。」
「初めてなんです、しょうがないです。」
エルヴィス爺さんとスミス、フレデリックは苦笑しながら頷く。
「そこで商売と金銭の事を教えました。
ミア、もう一度言いますが、人間社会は、基本的に物の売り買いで成り立っています。
ですから金銭を払って食べたい物を買うのですよ。
何か食べたい時は私やアリスお嬢様に言いなさい。買ってあげますからね。」
「はい。」
「そうね、ちゃんと聞いてくれれば買いますからね?」
「はい!」
「ミアちゃん関連の報告は以上ですね。」
「うむ。」
「次は小銃の話です。
テイラー店長から小銃改1の2丁目が出来上がりましたので受領してきました。」
武雄が報告する。
「うむ、これで正副の武器としての役割が期待できそうじゃの。」
「はい。また小銃と弾丸の件ですが、最後の武器屋から回答があり、
小銃3丁、弾丸600発の追加がありました。」
「うむ。タケオの手元には、今いくつあるのかの?」
「小銃は12丁を所有しています。
その内2丁は小銃改1の遠距離銃です。また1丁がテイラー店長の魔法具商店に保管されています。
あと連射の研究の為に魔法具商店で1丁改造中です。
弾丸については、書斎に1300発程度あります。テイラー店長の魔法具商店には50発ほど緊急時の為に保管して貰っています。」
「うむ、近隣の小銃は集まったのじゃな?」
「はい。テイラー店長が確認している小銃と弾丸は、全てが私の手元に集まりました。」
「うむ、結果は上々じゃの。」
「はい。」
「私からも一つ報告が。」
フレデリックが報告してくる。
「うむ。」
「タケオ様。」
「はい、何でしょう?」
「北の町の文官から報告がきました。ライ麦の酒を見つけたとのことです。
明日の夜にこちらに届く様に手配をしたと伝文がきました。」
「それは良かったですね。」
「楽しみじゃのぉ。」
「タケオ様、前にブランデーみたいな物と言っていましたよね?」
「ええ。原材料が違うだけで、製法は、ほぼ一緒ですね。」
「私あまりブランデーは好きではないのです・・・キツクて・・・」
アリスが苦笑する。
「私もストレートでは飲まないですね。
水で割るか、ジュースで割っていましたね。」
「ブランデーなのに水で割るのかの?」
エルヴィス爺さんが不思議そうに聞いてくる。
「ん?ブランデーは、水で割らないのですか?」
「勿体ないじゃろ?水で薄めるなんて。」
「まぁブランデー自体が高価ですしね。
私は、ウィスキーの飲み方しかわかりませんが・・・
ウィスキーの飲み方の代表例としては、そのまま飲む『ストレート』、大きい氷を入れて飲む『ロック』、ウィスキー1に対して2ぐらいの水で割る『水割り』、ジュースで割る『ジュース割り』なんかがありますね。」
「ジュースで割るじゃと?」
「ええ。ウィスキーはブランデーよりも香りが少ないのです。なので結構いろんな物で割れるのですよね。
リンゴジュースで割ってみたり、トマトジュースで割ってみたり、お茶で割っても良いですね。」
「いろんな飲み方があるのですね。」
アリスは楽しそうに言う。
「ええ、お酒は楽しく飲む物ですから。
味が薄いのであれば味を付ければいいのです。
ほら、前に言ったじゃないですか。
『食材は味があっさりしている方が、無数のバリエーションが出来る可能性がある』と。」
「確かに言っておったの。
そうか、そういう楽しみ方もあるのじゃな。」
「はい。
明日の夜に届いたら皆でいろいろ作ってみましょうか。」
「良いですね~。」
アリスは嬉しそうに言うのだった。
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