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第216話 ミアのコートができまし・・・ぐったりしている二人。

仕立て屋に武雄達一行は入っていった。

「アリスお嬢様、キタミザト様、ミア様、いらっしゃいませ。」

店長は挨拶をしてくる。

「はい。」

「再び、お邪魔します。」

「来ましたー。」

と3人は返事をする。

「ミア様のトレンチコートは出来上がっております。」

「ありがとうございます。ミア、カウンターで3着とも試着してごらん。」

「はい。」

と、ミアはカウンターに飛んでいき、そこにいた店員がミアのコートを取り出し、試着と調整を始める。

武雄とアリスは近くの椅子に座り・・・グッタリとする。

「はぁ・・・疲れました。」

アリスがため息を漏らす。

「ですね。」

武雄も疲れた表情をする。

「お二人ともお疲れですね?」

店長が声をかけてくる。

「ええ。

 さっきここを出てから酒屋に行って雑談して、青果屋に寄ったのですが・・・」

「何か騒動が?」

「ミアちゃんが勝手に果物を食べ始めてしまって・・・」

「あぁ、妖精ですからね。」

「金銭・・・商売という概念を教えていました。

 ・・・上手く教えられたのか不安です・・・」

武雄は苦笑する。

「そしてそこにいた子供たちや主婦に囲まれて大変でした・・・」

アリスも苦笑する。

「まぁ、妖精ですし・・・珍しいのでしょう?」

「子供たちは妖精に、主婦たちは私やアリスお嬢様に群がっていました。」

「ん?お二人が?」

「皆口々に『初陣および初勝利おめでとうございます』と言っていましたね。

 ついでに『婚約おめでとうございます』とも言われました。」

「あ、そう言えば正式には、まだ発表されていませんでしたね。」

「・・・街の人達は私の事をどう思っているのでしょうかね?」

武雄は店長に恐る恐る聞いてみる。

「歓迎していますよ?やっとアリスお嬢様が結婚できると。」

「・・・家具屋で聞かされた話ですね・・・」

アリスはガックリとする。

「今の街の話題は、キタミザト様が一番ですね。

 主婦たちの井戸端会議、飲み屋、近隣の挨拶等々で話されていますよ。

 ・・・良い話しか聞きませんね。」

「うわぁ・・・それは困りますね。」

武雄は苦笑する。

「ふふ、アリスお嬢様と婚約をしたのです。

 それぐらいは良いのでは?」

「噂は良いんですが、良い事しか言われないのは・・・ちょっと・・・

 如何わしい事が出来ないじゃないですか?」

「タケオ様、何をする気だったので?」

「・・・いえ?・・・特には?・・・」

武雄は目線を逸らせながら言う。

「・・・」

アリスがジト目で無言の取り調べをする。

「・・・歓楽街に・・・行ってみたいなぁ・・・と。」

「ダメです!」

「はぃ・・・」

アリスの否決により武雄はガックリとする。

店長は苦笑しながら見守っていた。

「と、そうだ。キタミザト様。」

「何でしょうか?」

「仕立て屋組合で工場を作ろうと思うのですが。」

「お、早速ですね・・・ん?組合で?」

「はい。基本はトレンチコートの縫製工場なのですが、他の組合員も使える様にしようかと。」

「なるほど・・・雇用は何名ぐらいで?」

「とりあえず20名ですかね。」

「なるほど・・・敷地的には、どのくらいが?」

「最低でも60~70㎡は欲しいのですが・・・」

「将来の事を考えれば3倍は必要ですね。」

「はい。」

「エルヴィスさんとフレデリックさんに聞いてみます。

 すぐには回答が出せないとは思いますが。」

「わかりました。」


と、ミアが戻って来る。

「主、アリス様、どうですか?」

そこにはミニトレンチコートを着たミアがクルクル嬉しそうに飛びながらお披露目している。

背中にはスリットがある様で羽も外に出している。

「ミアちゃん、似合っているわ。」

「可愛いですね。コートも良い出来です。」

「これで私も主の部下です。」

「そうね、私ともお揃いね。」

「はい!アリス様とお揃いです!」

「ふふ、では。

 会計を済ませましょうか。」

「ミア様用のトレンチコートは3着で金2枚です。」

「わかりました。」

武雄はミアのコートが入った紙袋をもらい受け、支払いを済ませる。

「では、私達はお暇しますね。

 王都での交渉、良い結果になる様に祈っています。」

「はい、良い結果が報告出来る様に努力してきます。」

武雄一行は席を立ち店を出るのだった。

・・

店長は3人を見送った後。

「はぁ・・・疲れた。」

愚痴をこぼす。

「店長お疲れ様です。

 まさか妖精の服を作るとは・・・ここ最近新しい事が多すぎますね。」

近くの店員が苦笑しながら言ってくる。

「目まぐるしいですね。

 が、店の拡大をするのですから致し方ないでしょう。

 ・・・さっきのキタミザト様の思い出話・・・どう思いますか?」

「壮絶な社風ですね。

 それを乗り切ったキタミザト様も凄いですが。」

「そうですね。

 職人に売り込みを経験させて、また職人に戻す・・・

 製作から売り込みまですべてを経験していたとは・・・経験値が高いわけです。

 うちでもしてみますか?」

「止した方がいいのでは?離職が相次ぎますよ?

 今は売り込みと職人の2人1組で値段交渉をしていくのが良いかと。」

「そうですね・・・うちはうちのやり方を見つけましょう。

 原価の一覧という案は貰いますが。」

「今の会計が使っているのを?」

「いえ、売り込み用の簡易原価一覧を作ります。

 キタミザト様が言った、素材価格と加工費、運送費等々の大まかな物を。」

「なるほど。」

「私が王都に行っている間に素案を作っておいてください。」

「わかりました。」

店長と社員は今後の展開を話し合うのだった。


------------------------

「さてと・・・タケオ様、この後はどうしますか?」

「そうですね・・・テイラー店長の所に行きますか。

 予備の小銃改1が出来てるはずです。」

「そういえば、そうでしたね。

 では、行きましょうか。」

「ミアもそれで良いですか?」

「はい。主とアリス様の行くところに私も行きます。」

3人は魔法具商店に向け歩きだすのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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