第20話 報奨金と給料。
フレデリックが少し大きめの箱を持って入室してきた。
箱の中から武雄の前に、エルヴィス爺さんを救った報奨金が置かれる。
「金貨100枚???」
嘘でしょ?さっき簡易換算して金1枚=10万円としたけど・・・多すぎない???
武雄はマジマジと見つめてしまう。
「・・・少なかったかの?」
エルヴィス爺さんは、何かを勘違いした様だった。
金額の多さに困惑している武雄の耳にはエルヴィス爺さんの言葉は入らなかったのだが、エルヴィス家の面々は無言は肯定と受け取ってしまった。
「ふむ、わしのへそくりからあと20枚出そうかの。」
「では、私のへそくりからも10枚出しましょう。」
と何故かアリスも足していき・・・合計130枚が積まれた。
武雄は冷や汗が止まらない・・・マジで!?
武雄は考える。
「言えば減るかも」とか、「お金の為に助けたわけではない」とカッコ付けるとか・・・
無理!目の前に金があると断る勇気が湧いてこない。
減らされるなんて我慢なりません!
普通のサラリーマンである武雄は時価総額100万円を越えた辺りからパニック状態だった。
結局、言わないことで目の前の金貨の小山をスルーする事にした。
「・・・ちなみに、月々の給金はどのくらい貰えるのでしょうか。」
「いくらが良いかのぉ・・・フレデリックはいくらくらいだったかの?」
「金貨10枚をいただいております。」
「ち・・・ちなみにフレデリックさんのお仕事はなんですか?」
「私は家令兼執事をしています。」
「申し訳ありませんが、どういった内容でしょうか?」
「そうですね。伯爵領の租税等の管理・・・領地運営とエルヴィス家の家政の責任者をするのが私の仕事ですね。」
・・・つまり文官のトップですね。武雄はそう思うことにした。
「とは言っても、仕事のほとんどは部下たちが分担してしていますので、主に執事の方がメインになります。
ちなみに騎士団長はハロルド・ロイドと言います。
年齢はタケオ様と同じで35歳。
いつも騎士たちと汗をかいているので、そのうち会うと思います。」
「私はエルヴィスさんの補佐兼相談役ですが、上司はフレデリックさんですかね?」
「うむ・・・フレデリックはどう思う?」
「私の部下とは違うと思います。時には反対の意見も出してもらわないといけませんので、部下になってしまうと反対の意見は出しにくいでしょう。
やはりタケオ様の上司は主で良いのではないでしょうか。」
・・・今さらりと敵対するかもって言いましたよね?と武雄は心で冷や汗をかく。
「うむ・・・ん?」
エルヴィス爺さんがアリスを見る。
「え?私ですか?」
「確かにアリスお嬢様の立場もタケオ様がされる事と同じですね。」
「うむ、アリス。タケオの上司になりなさい。」
「・・・ええ。わかりました。」
「でだ。タケオの給金はいくらが良いかの?」
「そうですね・・・とりあえず金貨5枚から始めてみてはいかがでしょうか?」
「うむ、成果を見ながら上げていくかの。」
「それでしたら私が毎月タケオ様にお渡ししますわ。」
「うむ。タケオ、決まったの。」
「わかりました。精一杯努力します。」
「うむ、とりあえずそんなところだの。
部屋は昨日泊まった所で良いだろう。
タケオはこの後どうする?」
「そうですね。一旦、部屋に戻ってお金をしまいたいと思いますが、
しまう場所があるのか確認もしないといけませんね。
あと出来たらエルヴィスさんのメガネを作った所で、私用のを作りたいですし、服も作りたいですね。」
「うむ、そうか。場所はわか・・・るわけないの。」
「では、お爺さま。私が一緒に行かせていただきます。」
「うむ、それが安心じゃろう。服の仕立て屋と魔法具商店はアリスに伝えておくから、後で行くと良いのじゃ。」
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一旦部屋に戻り生活に必要な物を確認する。
・・・金貨を5枚ぐらい持って行くかとポケットに入れ、アリスが待つ玄関に向かった。
「アリスお嬢様、お待たせしました。」
「いえ、さほど待ってはおりません。さぁ参りましょう。」
「ちなみに仕立て屋と魔法具商店のどちらから行きますか?」
「まずはメガネを作りに行きたいと思います。」
「わかりました。」
とアリスが先導しながら歩いていく。
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