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第213話 ミアのコート。と王都で交渉を始める様です。

仕立て屋に武雄達一行は入っていった。

「アリスお嬢様、キタミザト様、いらっしゃいませ。」

店長は挨拶をしてくる。

「ええ。」

「お邪魔します。」

とアリスと武雄は返事をする。

「本日はどういった御用で?」

店長は今日の用向きを聞いてくる。

「実はですね、トレンチコートを作って欲しいのです。」

「どなたのでしょうか。」

「私のです!」

アリスのコートの内側の胸ポケットからミアが飛び出してカウンターに着地する。

街中の移動時は人混みが怖いのかミアはアリスの内側の胸ポケットに入る事にした様だ。

「え!?」

店長は固まる。

「はじめまして、ミアです。」

ミアは軽く挨拶する。

「・・は?・・・え?・・・キタミザト様・・・この子は妖精・・・ですか?」

「そうですね、私の部下になりました。」

「は!?」

店長は再び固まる。

「・・・妖精が部下とは・・・初めて聞きます。

 ・・・あ、私はラルフと言います。この仕立て屋の店長です。

 よろしくお願いします、ミア様。」

流石に店長、動揺しながらも妖精相手にちゃんと挨拶をする。

武雄はそんな光景を見ながら「こうやってちゃんと対応できるのも経験ですよね」と感心するのだった。

「ミア用にトレンチコートを作って欲しいのですけど。」

武雄は本題を言う。

「そうですね・・・全く一緒とはいきませんが、外側だけは似ている物は作れるかと・・・

 職人を呼んできます。」

と、店長は奥に向かい、すぐに5名の職人を連れてくる。

・・・多くない?武雄は素直な感想を思い浮かべた。

「て・・・店長!妖精です!」

「うわぁ・・・初めて見た。」

「可愛いですね。」

「キタミザト様の部下ですって?」

「これは・・・また作り甲斐がありそうだ。」

5名とも感想をそのまま口にする。

「・・・皆さん、落ち着きましょう。

 お客様の前です。」

店長は苦笑しながら皆を諫める。

「「「「「はい。」」」」」

「今回の依頼は、こちらのミア様用のトレンチコートです。

 出来るだけトレンチコートと同じ仕様で作らないといけません。

 時間はどのくらいで出来ますか?」

「我々なら・・・鐘1つで出来ます。」

職人の一人が言うと他の職人も頷く。

「キタミザト様、鐘1つです。」

「良いでしょう、では3着作ってください。

 時間はもう少しかかりますか?」

「いえ、時間内に作れます。」

職人の一人が言うと他の職人も頷く。

「いつも急ですみませんね。

 では、アリスお嬢様、ミア、奥に行っておいで。」

「わかりました、タケオ様。」

「??何をするのですか?」

「ミアちゃんの体に合わせるために体のサイズを確認するのよ。」

「なるほど・・・わかりました。」

アリスとミアは職人達と奥に向かっていった。

・・

「どういった経緯で?」

「この間の戦闘後に発見しました。」

「・・・ゴブリン達の仲間なので?」

「話を聞くと少し違いますね。

 どうもゴブリンをこの街に誘導する為の餌にされた様です。」

「・・・なんとも・・・」

「一報は王都に上げていますからあちらで判断するでしょうね。

 ただ、ミアの事は王都には知らせていません。」

「なぜです?」

「ミアを実験材料と見る輩がいそうだからです。

 なので、戦闘後に見つけたという感じにはしたくありませんね。

 たまたま見つけた場所が戦場だっただけです。」

「なるほど・・・王都なら妖精を寄こせと喚く人もいるでしょう。

 一生、籠の中での生活は可哀相ですね。

 私もキタミザト様の考えに賛同します。

 と、ところで、キタミザト様。」

「何でしょう。」

「王都の組合との話し合いの件なのですが、組合で了承が取れて、うちの組合長と私と職人の3名が明日、出立します。」

「相変わらず、早いですね。」

武雄は苦笑する。

「この間の打ち合わせの内容の様に進めようと思いますが、どうでしょうか?」

「私的には、あの交渉の流れはあくまで想定です。

 んー・・・想像自体が若干こっちよりの意見になっているでしょうから

 実際の落としどころは、もう少しこちらに不利になるかもしれませんね。」

「やはりそう見ますか。」

「組合長や他の店主達は、どう見ていましたか?」

「あの流れは、こちら側の要求が100%飲まれた際の結果だろうと。」

「私は組合との交渉というのはしたことありませんから・・・

 ・・・仕事で昔、一店主と金貨200枚程度の交渉だけですし。」

「・・・それだけでも十分な経験なんですけど・・・

 やはりキタミザト様は交渉の経験があったのですね。」

「いや、ほんの4年程度売り込みを経験しただけです。

 当時、職人として所属していた商店の上司に、いきなり『この商品を売る様に』と言われて試行錯誤しながら、いろんな所に売り込みをかけて、4年目にやっとその規模の交渉が出来る様になっただけです。

 私の中では最初で最後の大きい金額交渉でしたね。」

武雄は若干遠い目をしながら言うのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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