表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
216/3563

第211話 14日目 おはようの挨拶。

「・・・」

武雄は意識が覚醒してくる。

・・・何か息苦しい・・・

目を開けると。

目の前にミアが・・・顔の上に腹ばいで乗っていた!!

「!!!!?」

武雄は声にならない悲鳴を上げ、顔の上のミアをペリッっと剥がす。

「きゃっ!・・・主、おはようございます。」

猫が首根っこを持たれる様に服の背中を持たれながらミアが手を上げ挨拶してくる。

「・・・おはよう、ミア。

 どうして顔の上に?」

「いえ、なんとなく。乗っかれば起きるかと思って。」

「・・・そうですか・・・アリスお嬢様も同じ様に起こしてくれますか?」

武雄は隣で腕を万歳の体勢で仰向けに寝ているアリスを見ながら言う。

「はい。」

と、ミアはアリスの顔の上にポテッっと腹ばいで乗っかる。

・・・と、アリスは薄目を開け・・・

「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」と目を見開き絶叫する。

と、武雄はアリスの顔からミアをペリッと剥がす。

「アリス様、おはようございます。」

武雄に背中を持たれながらミアが手を上げ挨拶する。

「え!?・・・は?・・・あ・・・

 ミアちゃん、おはよう。

 タケオ様もおはようございます。」

アリスは体を起こし、混乱しながらも挨拶をしてくる。

「はい、アリスお嬢様、おはようございます。」

武雄はにこやかに挨拶する。

「・・・で、ミアちゃん、どうして私の顔の上に?」

「いえ、なんとなく、乗っかれば起きるかと思って。」

「そう・・・ミアちゃん、そういう起こし方はしちゃダメよ?」

「そうなのですか?」

「ええ、相手を驚かせてしまいますからね?

 もっと・・・肩を揺するとか、相手をびっくりさせない方法を取りましょうね。」

「・・・わかりました。

 ところで・・・主もアリス様も私とわかれる前は服を着ていたのになんで裸なのですか?

 人間は裸で寝るのですか?」

ミアの指摘にアリスは真っ赤になりながら、布団を手繰り寄せて前を隠す。

「・・・極稀に裸で寝ますけど、基本は服を着て寝ますね。」

「そうなのですか。」

武雄の説明にミアは頷く。

「私とアリスお嬢様だけかもしれませんから、他の人に聞いてはいけませんよ?

 でも・・・人間は、基本的には服を着て寝るはずです。」

「はい、わかりました。主。」

「では、アリスお嬢様。私達も着替えましょうか。」

「はぃ。」

武雄の言葉と共に二人ともベッドを出て、着替えを始める。


------------------------

朝食を終え、客間で皆でティータイム。

フレデリックがお茶を入れ、3人の前に置き、皆から少し後ろに下がる。

ミアには小さいミルクピッチャーにリンゴの搾りたてジュースが出されていた。

ちなみにミアが「美味しい匂いがする」と厨房にフラフラ飛んでいき、厨房内が混乱したのは、ご愛敬で。


「フレデリックさん。」

「はい、何でしょうか、タケオ様。」

「例のライ麦のお酒はもう調べに行かせましたか?」

「いえ。この後、指示を出そうと思っていましたが・・・どうかされましたか?」

「調べに行って見つかった際には購入してほしいなぁと・・・飲んでみたいので。」

「タケオ、その酒は、飲みやすいのかの?」

「昨日話しましたが、ブランデーと変わりませんよ。

 ただ、ブランデーは高価なので、私たち庶民はウィスキーやビールを飲んでいました。」

「「ビール?」」

エルヴィス爺さんとフレデリックが聞いてくる。

「・・・ビールも無いのですか・・・」

武雄は苦笑いをしながら言う。

「うむ、知らんな。」

「知りませんね。」

「確か大麦から麦汁を作って、発酵させた物です。」

「ん?昨日言っていた酒と製造方法が似ていないかの?」

「ほぼ一緒ですよ。

ウィスキーは、麦を発酵させた物を蒸留してアルコールの純度を高めた物です。

 ビールは、麦を発酵させた物を濾過して飲むのです。

 発酵しているという事は、炭酸が含まれるので・・・炭酸ワインの様な物を作ります。

 のど越し爽やかで麦から作るので甘さよりも苦みが特徴的な酒がビールです。」

「ライ麦からビールは作れるのかの?」

「ビールは、製造方法自体はウィスキーの途中までの工程を使用しますので・・・作れはしますね。

 ただ私のいた所では、ビールは大麦とホップ・・・香料を混合して作られていましたから・・・ライ麦だと味的に万人受けはしないのでしょうね。

 美味しい配合もすぐには見つからないでしょうから。

 今は材料が1種類で簡単に出来そうなウィスキーを探しましょう。」

「うむ、そうじゃの。

 いつかタケオが言ったビールも飲んでみたいの。」

「ウィスキーが見つかれば、その設備を使って作れると思いますから。

 割と簡単だと思うのですけどもね。」

「新しい酒は楽しみだのぉ。」

「そうですね。」

エルヴィス爺さんと武雄は楽しそうに話すのだった。

・・

「で、今日は皆は何をするのじゃ?」

「僕は午前中はハロルドと訓練です。午後は勉強ですね。」

スミスはいつも通りの行程をする様だ。

「私はミアの部屋を探しに行きます。」

「部屋?」

エルヴィス爺さんが聞いてくる。

「ええ、私の書斎にミアの部屋を作ってあげようかと。

 良い大きさのドールハウスがあれば良いのですが。」

「なるほどの。」

「私もタケオ様と行ってきます。」

「・・・アリスがドールハウス?」

エルヴィス爺さんは目を細め訝しむ。

「・・・なんです?お爺さま?」

「いや・・・アリスは人形とかに興味は示さなかったのでの。」

「う・・・私は人形遊びより外の方が好きでした。」

「そうじゃったの。

 ジェシーもレイラも室内に居ることが多かったが、アリスは外で泥んこになりながら遊んでおったの。」

「お爺さま・・・それはおっしゃらなくても良いのでは?」

アリスはジト目で抗議する。

「ふふ、アリスお嬢様は活発だったのですね?」

「そう!それです!活発だったのです!」

「タケオ・・・アリスはお転婆と言うのじゃ。」

「違います!活発です。」

「はは。

 元気に遊んでいたのでしょう?良いじゃありませんか。」

「流石!タケオ様!わかってくれています。」

「・・・タケオ、アリスの事を気に入ってくれて本当にありがとう。」

エルヴィス爺さんが頭を下げて感謝する。

「むぅ・・・タケオ様?お爺さまが何やら言っていますが、気にしてはいけませんよ?」

「はいはい、わかっていますよ。」

武雄は楽しそうにアリスと話すのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ