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第200話 指揮官たちの反省会。童話の続編決定。

「乾杯!!!」

店の中のそこら中で宴が催されていた。

今回の戦闘に参加した560名の内、380名が宴会に突入し、街中の酒場で各小隊毎に慰労会が開催されていた。

残りの180名は当直と待機要員として、明日の午前中の交代後に酒場に入り浸る予定とのこと。

皆一様に今回の戦闘の事を口にする。

どんな内容かと聞き耳を立ててみると・・・

・一報を聞いた時点では、戦局がどうなるかわからなかった

・初めての戦術だったが上手くいって良かった

・兵士長の回復戦法は、なかなかいい感じになっていた

・序盤で600mの超長距離の魔法を当てるとは思わなかった

・キタミザト様の一騎打ちは鮮やかだった

・最後の騎士団の掃討は見事だった

・最後の周囲10kmの探索は鬼の所業だ

・戦闘開始前のキタミザト様とアリス様の抱き合った姿は印象深かった

等々、話されていた。


各小隊が飲んでいる酒場より少し値段設定が高めの店で3人の男も反省会を開いていた。

「今日は皆、ご苦労だったな。」

「はい。」

「そうですね。」

参加者はハロルドに副団長と兵士長。

ハロルドの一声に杯を傾け、飲み始める。

「しかし、まさか400相手に死傷者なしとはな。」

「キタミザト様の戦術が当たりましたね。」

「兵士達も良く動きました。」

「ああ、そうだな。

 戦術と戦法、その両方が上手く行った結果だな。」

「一報を聞いた時は何名死者が出るか考えてしまいました。」

兵士長が言う。

「タケオが来る前なら横に並んでの突撃だったな。」

「それが、昔からの戦法ですから。

 戦術を聞いた時は、そういう戦い方もあるのかと思わされました。」

「まったくだな。

 我々が学んできたのは、他国と戦争をするための方法だ。

 各領主が兵を持ち寄るから・・・

 タケオの戦術をしようとすれば、タイミングが掴めなくて結果、場が混乱するだけだろう。

 横並びの突撃の方が混乱しないでタイミングも掴みやすい。」

ハロルドの解説に二人も頷く。

「しかし、今回の戦で一領主軍のみの戦いでは戦術は有効だとわかりましたね。」

「そうだなぁ。うちでも考察してみるか?」

ハロルドは副団長に聞いてみる。

「・・・んー・・・してみても良いですが・・・」

副団長は悩む。

「・・・だよな。今までその手の発想をしたことが無いからなぁ。

 上手くいかないだろうな。」

「キタミザト様に聞いてみます?」

「そうだな、タケオなら違う戦術も知っていそうだが・・・教えてくれるか?」

「我々で考えてからでないと教えてくれないでしょうね。」

「だよなぁ・・・その辺はタケオは厳しそうだ。

 兵士長の所はどうする?」

「そうですね・・・どこかの小隊か小隊長達に考えさせますかね。」

「・・・人が多いとやりくりできそうだな。」

ハロルドはため息を付く。


「そう言えば、戦闘後の周囲10kmの警邏は異常がなかったので?」

「なかった・・・いや、なさ過ぎたな。」

「どういう事でしょう?」

「ゴブリンだけでなく、他の魔物が1匹もいなかった。

 スライムや蟲、ビーストマン・・・とにかく発見できなかった。」

「今回の襲撃と関連が?」

「関連はあるだろうが、どう関連しているかわからんな。

 兵士長、2年前はどうだった?」

「・・・2年前は周囲10kmの警邏は実施していませんが・・・

 確か、その後の魔物被害や討伐依頼は少なかったですね。」

「ふむ・・・周囲のゴブリンが集結したのだろうからゴブリンは居なくなって良いのだがな・・・

 他の魔物が居ないというのが・・・」

「若干、作為的・・・ですかね?」

「今来ているお客様に?」

「・・・普通ならそう見る・・・だが、この旅は事前に決まっていたものではなかったはずだ。

 突発的に来ているからな・・・

 ならば、向こうも突発的にあの大軍を寄こした?・・・

 ・・・だとしたら、綿密な計画で動かせれば、相当な数を用意できたはずだ。」

「・・・兵士の訓練内容を変えないといけないかもしれませんね。」

ハロルドの呟きに兵士長は難しい顔をしながら言う。

「そうだな、騎士団もそうだが・・・

 街や村を守る際に2倍・・いや3倍までの敵には対応出来る様にしないと危険かも知れないな。

 ・・・まずは戦術よりも兵士の強化が先決か・・・

 一糸乱れぬ動きを命令一つで出来る様にしないと。」

「・・・まずは基本の歩幅と行進から再教育をしますか・・・」

「次までの・・・時間があれば良いが・・・」

「今は不安よりも出来る事をコツコツとするだけでしょう。」

「だな、基本の訓練を再徹底するか・・・

 まぁ、街の有事の際はタケオに頑張って貰うか。」

3人は苦笑しながら話し合っていく。


------------------------

エルヴィス邸、客間にて。

今は各々好き勝手にしゃべっている。

男連中は武雄の小銃を弄りながら討論中。


一方のレイラとアリスは・・・

「ねぇ、アリス。」

「はい、何でしょうか?レイラお姉様。」

「今回の事も童話にするわよ?良い?」

「・・・私が何を言ってももう作る気なのでしょう?」

「ええ、わかっているわね。」

「前回の童話は売り上げが凄かったと雑貨屋で聞きましたよ?」

「ふふ、一気に売れっ子作家になったわ。

 お小遣いも大量に入ってきてね。」

「で?どの辺まで書くのですか?」

「んー・・・そうねぇ、脚色はするけど・・・」

「するのは前提なのですね。」

「当たり前でしょう?面白くしないと。

 アリスとタケオさんの出会いから婚約、今回の戦闘経過や爵位・・・あ、服の事も書いてしまおうかしら?」

「・・・どれだけ盛り込む気ですか?」

「いっぱい。」

レイラは笑いながら言う。

「もちろん、タケオさんが異邦人だってことや、小銃の事は書かないわよ?」

「当たり前です。」

「あ、タケオさんが知識が豊かだと知らしめたいわね・・・服、戦闘技術、戦術・・・料理も載せたいわね。

 ・・・タケオさん!簡単な料理のレシピを教えてくれます?」

レイラは唐突にタケオに聞く。

議論している武雄が顔を向けて。

「バターサンドはレイラさんでも食材を集めれば、簡単にできますから良いですよ。

 ウィリアムさん用でしょ?」

「はい。」

「明日の出立までに書いておきます。」

「よろしく。」

「・・・タケオ様、そんな簡単にレシピを教えるなんて・・・」

アリスはガックリとする。

「ふふ、流石、タケオさんね。」

レイラは楽しそうにアリスと童話の話をしていくのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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