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第198話 12日目 夕食後の報告会。(貴族への誘い。)

「まぁ、テンプル伯爵には今まで通り頑張ってもらうか。」

「そうですね。」

アズパール王の言葉にエルヴィス爺さんが頷く。

「で、タケオ、貴族になってみたいか?」

「は!?」

アリスが驚く。

「・・・王都には勤める気はないと言ったでしょう・・・

 残すは領地持ち?・・・ないでしょう。」

「なぜだ?」

「そもそも、私自身が当主になる気がありません。」

「当主になれば思いのままに施政ができるが?」

「・・・私には魅力がないですね。

 それに発想を披露するなら今のままでも十分です。

 理解のある当主と文官が目の前にいますから。

 結構、やりたいようにやらせてもらっていますからね。

 提案内容が難しいなら違う代案も用意してくれそうですし・・・

 領地持ちになる理由がないですね。」

「そうか・・・むぅ・・・」

アズパール王は悩む。エルヴィス家の面々は冷や汗をかいている。

「お義父さま。タケオさんは、たぶん普通の方法では貴族になりませんよ?

 貴族に憧れていませんからね。」

「む・・・レイラ、何か良い案があるのか?」

「ええ。タケオさん、王立戦術研究所の所長になってみない?」

「ん?どういうことです?」

武雄がレイラの話に興味を示す。

「実はね、今日の戦闘を観戦中に話されたことなんだけど。

 近々、平民を貴族に取り立てる案件が浮上しそうなのよ。

 あ、これはここの人達以外には内緒ね。

 まだ、お義父さま、ウィリアム、私、後は数名しか知らない王都の重要案件ですからね。

 で、カトランダ帝国、ウィリプ連合国、魔王国に面している地域から1名ずつ選出してみては?とね。」

「なるほど。昨日、私が提案した王立戦術研究所の所長をその選出した者にさせると?」

「ええ、そういう風に持っていく事も可能よ。」

「んー・・・私にメリットがありすぎですね。

 年金貨300枚の給料と開発費が与えられるのですか?

 国は何の得が?」

「そうですね。武器や戦術の進化と・・・タケオさんの行動が制限されますね。

 貴族になるとある規制がかかります。」

ウィリアムが言う。

「なんですか?」

「召集義務と離脱不可です。」

「王都から要請があれば、王都に行かなくてはならない?」

「はい。で、他国に鞍替えする事を認めません。」

「それは・・・」

武雄は難しい顔をする。

「なんだ?タケオは他国に行く気か?」

「そっちはないから別に良いのですが・・・

 召集が・・・んー・・・開発費は魅力的なんですけどね。

 それで結果的に王都に引っ越しをしても私は楽しくなさそうですし・・・」

「じゃあ、年1、2回の報告だけしに来れば、王都に住まなくて良い・・・だったら?」

「それなら・・・要は出張でしょう?」

「ええ。進捗状況の報告で中央研究所に来てもらえれば良いとすれば、回数は少なくて良いのではないかしら?」

「うむ、研究所自体が地方だしな。

 所長は管理、監督義務もあるから長期間外出するわけにはいかんしな。」

「魅力的ですね・・・んー・・・でも、他に良い人が居たら落選するかも知れないのですよね?」

「・・・タケオより発想が豊かな者は知らないが・・・」

アズパール王はそう言い、王家の3人は苦笑する。

「まぁ、レイラさんの言うような条件なら貴族も悪くなさそうですね。

 ・・・研究所ねぇ・・・」

「ん?タケオが昨日自分で言ったのだろう?」

「言いましたけどね。あれはあくまで伯爵領相手に考えたやり方ですし・・・

 一貴族が所長になるとは考えていませんでしたね。

 組織体系が難しくなるでしょうね・・・んー・・・簡単に書いてみましょうか。」

と、武雄はそこら辺にあったノートに書き出す。

「まず王の下に王立戦術中央研究所を設けます。

 で、その所長は王家の人にしてください。」

「なぜだ?」

アズパール王が疑問を言う。

「先端技術であり、先端戦術ですよ?

 他国の息のかかった文官が居た場合、流出してしまう可能性があるでしょう?

 王家ならば、流出の可能性は低いかと。」

「なるほどな。」

「で、王立戦術中央研究所の下部組織として、カトランダ帝国、ウィリプ連合国、魔王国に面している所に第1から第3王立戦術研究所を設けます。

 で、中央からは資金の提供、下部組織からは報告と試作品の提供を行います。

 下部組織からは研究リストを提出、中央にて研究の方向を判断してください。

 明らかに非人道的だったり、国を亡ぼす様な内容は禁止にしてください。

 そして最低年1、2回王都にて報告会を開催し、各々の進捗状況を確認します。

 また、第1から第3の研究内容は中央で集計し、結果をまとめて各研究所に流してください。」

「ん?他の研究所にも研究内容を送って良いのか?」

「万が一、同じ研究をしていたら無駄ですから。

 それにあっちでは行き詰っていてもこっちでは閃く事もあるでしょうから。

 研究内容と進捗は、かなり重要かと。」

「なるほどな。」

「王立戦術研究所所長は、王都からの資金管理、研究に関わる事項全てとその報告。

 試験小隊の設立許可(最大10名)、研究者の雇用。

 雇用に関しては、必ず守秘義務を契約すること。

 ただし、民間転用をしても良い技術は中央に確認を取り実施できる。」

武雄は箇条書きしながら話している。

王家の面々とエルヴィス爺さんとアリスも自分のメガネで書いている内容を見ている。

「うむ、他にも何かありそうじゃの。」

「今の所はこんな物でしょう。

 後は王都のエリート達が詰めるでしょう。

 私が書いたのは素案ですし。」

「わかった、我がしっかりと預かろう。」

武雄が書いたメモをアズパール王はもらい受ける。

「まぁ、貴族については、私は期待しないで待っています。

 この研究所の企画自体もダメになるかもしれませんからね。」

「・・・そうだな、出来る様に努力はするぞ。」

王家3人は楽しそうに頷くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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