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第192話 夕飯の評価とご褒美。パンの種類。

夕飯後、客間に皆が移動する。

フレデリックが食後のお茶を入れ、皆の前に置き、皆から少し後ろに下がる。

「今日の夕飯も絶品だったのぉ。」

とエルヴィス爺さんは言い、武雄を除く皆が頷く。

「まさか、ヒルダちゃんの発想の完成形があんなに美味しい物になるとは・・・

 美味しくなさそうと言った自分が恥ずかしいですね。」

レイラは苦笑する。

「ふふ、料理は面白いですよね。」

武雄は楽しそうに答える。


と、客間のドアがノックされる。

エルヴィス爺さんが入室の許可を出すと料理長とヒルダが扉を開け入って来た。

「伯爵様、本日は今から帰宅いたします。」

「うむ、家族でラザニアを食べるのじゃぞ。」

「はい。」

エルヴィス爺さんはにこやかに言う。

「ヒルダ。」

「は・・はい!!」

料理長に促されヒルダは緊張しながら返事をする。

「伯爵様、キタミザト様、こ・・・この度は私の発想を形にしていただいてありがとうございます。」

ペコッとお辞儀をする。

「うむ、わしらも楽しませてもらったぞ。」

エルヴィス爺さんは嬉しそうに頷く。

「ヒルダ、昼間はそこの料理長とここの王都のお姉さんがヒルダの発想を馬鹿にしていましたが、発想の大切さはわかりましたか?」

「「うっ」」

料理長とレイラは苦笑しかできない。

「はい!」

ヒルダは二人を見るが武雄に向かって元気に返事をする。

「また何か思いついて・・・失敗したら来てください。

 相談には乗りますよ。

 今回は回答を教えましたが、次回からはヒントが出せるならヒントを、私でもわからないなら一緒に考えましょうね。」

「わかりました。」

「お主がヒルダか。」

「は・・はい!」

アズパール王に言葉をかけられヒルダは緊張しながら返事をする。

「うむ、発想見事だったぞ。

 こんな美味しい料理を食べれたのはヒルダのおかげだ。

 感謝するぞ。」

「あ・・ありがとうございます!!」

「ふふ、料理長、将来が楽しみだな。」

「は!ありがとうございます。

 お言葉ですが、我が娘はまだまだです。

 料理人としてやっていくには知らない事が多すぎます。」

「ふふ、そんなのこれから覚えれば良いだけですものね~。

 ね、ヒルダちゃん?」

「はい!」

レイラの問いかけにヒルダは元気に返事をする。

他の面々は楽しそうに見ている。

「では、失礼いたします。」

「うむ、気を付けて帰るのじゃぞ?」

「はい。」

料理長とヒルダは退出していった。

・・

「ダメですよ、アランさん、あんなこと言っちゃ。」

武雄はアズパール王に対してため息交じりに言う。

「ん?ダメだったか?」

「本人の目の前であんな言い方したら将来は料理人になるんだぞ!と言っている様な物です。」

「うむ、しかし将来が楽しみなのは事実だろう?」

「ええ、順調に伸びれば、この国1番の料理人に成れる器でしょうね。」

「タケオ、そこまで言うか?」

「はい。この街の料理トップと王都で美味しい物を食べてる人の両方が想像もしない料理を発想したのですよ?

 調理の基礎をしっかりと学び、いろんな料理や食材を知っていけば、もっと美味しい料理を創造すると思いますね。

 ただし、本人が望めば・・・です。

 無理して料理人に成っても意味はないでしょう。

 楽しんで料理をする様になれば良いのですが・・・」

「うむ、少し急かしてしまったか。」

「言ってしまったのです。あとはどうなるか見守るしかありません。」

「ふふ、大成して欲しいですね。そして私達を楽しませてくれれば良いですが。」

ウィリアムが感想を述べる。


と、客間に他の執事がお菓子とお茶を持ってやってくる。

「来ましたね。」

「ん?タケオ、今日のティータイムのお菓子は何じゃ?」

「プリンです。」

武雄の回答に王都の3人は「なにそれ?」、エルヴィス家の3名は「やった!」という顔をする。

皆の前に配膳される。

「・・・タケオ、お主とアリスだけ皆より大きいのだが?」

アズパール王はじーっと見ながら言う。

「はは、今日の功労者は私とアリスお嬢様ですからご褒美で大きくしました。」

「タケオ様、ありがとうございます!」

アリスは満面の笑みで答える。

「うむ、二人は大きくて構わない。

 それにしても前のと違うの・・・上の白い層は何じゃ?」

「ホイップクリームです。」

「なぬ!」

エルヴィス爺さんは驚く。

「新しいプリンじゃの。」

「ふふ、楽しんでくださいね。

 では、頂きましょう。」

皆が一斉に食べ始める。

エルヴィス爺さんとスミス、アズパール王にウィリアムは満面の笑顔で一心不乱に食べている。

レイラとアリスは一口食べると武雄を見て、目をこれでもかと見開き驚いている。

フレデリックは「ほぉ」と頷きながら食べている。

「お気に召しましたか?」

「「「「・・・」」」」

皆、無言でコクコクと頷くだけだった。

「皆さんの顔が蕩けてますね~。」

と武雄は微笑む。

・・

あっと言う間に完食。

「幸せだ・・・」

アズパール王は、うっとりしながら言う。

皆も感想は言わないまでも余韻を楽しんでいる。

武雄は、そんな光景をニコニコしながら見ていたが。

「まったく、昨日の夕飯後と同じ状況になっていますね。」

苦笑しながら言う。

「しかたないですよ~。タケオさんの料理は凄まじいのですから。」

「皆さんが喜んでくれて嬉しいのですが、そんなにですか?」

「はい、僕もここ2日間の料理は驚かされっぱなしです。

 こんなに幸せな2日間は味わった事ありませんよ。」

「ふふ、良いリフレッシュになった様ですね。」

「ああ、休暇を取って正解だった!」

アズパール王は満面の笑みで答え、その様子をウィリアムとレイラは苦笑しながら見ていた。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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