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第183話 戦闘最終局面。騎士団の威力。

「全騎士配置完了です。」

「そうか。兵士との交代で被害は?」

「多少は・・・ですが、すぐに回復させました。死者はありません。」

「そうか。」

伝令に来た騎士の報告を聞き、ハロルドは頷く。

武雄とアリスは黙って、その光景を見ていた。

騎士たちは、ゴブリンを内側に置き、25名2列ずつ正方形に囲んでいる。

ゴブリン達は中央に固まり周りの様子を伺っている・・・

「総員抜刀!」

ハロルドが号令をかける。

全員が片手に剣先を下げながら持つ。

「総員前進!」

「おう!!!」

ハロルドの号令で四方が前進する。

突出する者はおらず、横2列で前進する。

前進・・・前進・・・前進・・・

ゴブリンが間近に迫るも歩調を変えず前進。

「ギャア!」

あるゴブリンが一人の騎士に飛び掛かる・・・騎士は歩きながら一刀両断する。

・・・列に乱れなく、歩調に乱れなく・・・前進・・・

「「ギャ!!!」」

次々とゴブリンは飛び掛かるが、騎士達は止まらない。

一撃で切り伏せられる。

ゴブリンが仕掛け、騎士が切り伏せるが・・・たまに防御するゴブリンもいる。

が、防御をしても違う騎士が横から切り伏せる。

歩調も列も乱さず・・・淡々と前進する。

・・

「総員止まれ!」

ハロルドが号令し、全員が停止。

元の正方形に戻っていた。

騎士の位置は最初と反対側だが・・・

「総員納刀!」

全員が剣を鞘に戻す。

「アリスお嬢様、キタミザト様、掃討終了しました。」

ハロルドは脇で見ていた二人に報告する。

「そうですか・・・タケオ様?」

「はい。

 騎士団長、全員を城門前に整列させてください。」

「は!

 総員、城門前に整列!」

「おう!」

騎士団は駆け足で城門に向かう。

残ったのは武雄にアリスにハロルド。

「騎士団のアレは何です?」

「アリスお嬢様・・・アレ呼ばわりですか?」

「全く・・・淡々とし過ぎて怖いのですけど。」

「そうですね。

 そこら辺の落ち葉を退かすみたいにゴブリンを始末していましたね。

 怖い人達ですね。」

「・・・二人とも他人の事を言えるのか?」

ハロルドは呆れながら言う。

「あら?私はただの貴族令嬢です。」

「ん?私はただの庶民です。」

二人は同時に返答する。

「・・・絶対違う。」

ハロルドはガックリとしながら反論する。

3人は歩きながら城門を目指すのだった。


(エ500:ゴ0:オ0)

------------------------

「終わったの。」

「終わったな。」

「では、帰りましょうか。」

王家の4人とエルヴィス家の3人は残りの4名に一言言って屋敷に帰っていった。


仕立て屋のラルフ店長、魔法具商店のテイラー店長、青果屋のおじさん、酒屋のおじさんの4名が残り宴会が続けられている。

「えーっと・・・勝鬨がないよな?」

青果屋のおじさんが疑問を言う。

「そうですね・・・最後の敵が倒された瞬間に言うと思っていましたが・・・」

ラルフ店長も疑問を言う。

「とりあえず、犠牲者は少ないみたいですね。ほほほ。」

酒屋のおじさんは感想を言う。

「まぁ・・・戦場はこうでしょうね・・・」

テイラーも感想を言う。

「こういう物なのかい?」

「ええ、戦場に明確な勝ちはないんですよ。

 勝鬨を上げる時は敵司令官の首を取ったとか相手を怖気立たせるのが目的ですから。」

「そうなのか・・・皆が勝ちを意識するのはいつなのでしょう?」

「・・・酒場でしょうか?」

「お?・・・では、私は店に戻りましょうかね。

 在庫を並べなければ。

 では~。」

酒屋のおじさんが先に帰って行った。

「全くあの人も商売熱心だな。」

青果屋のおじさんが呆れる。

「ふふ、我々もでしょう?」

「まぁ・・・そうだな。

 売れる時に売らないと・・・あ、うちも買いに来るお客が増えそうだな。

 カミさんに殺されちまう・・・俺も戻るわ。」

青果屋のおじさんがそそくさと帰って行った。

「あ~ぁ、酒臭いのに店先に立つのでしょうかね?」

「はは、私達は戦には関係ないですかね?」

「直接はないですかね・・・

 でも、明日辺りはテイラーの店は人が多いのでは?

 刃こぼれしただの装備を変えるだの。」

「来てくれればいいのですが・・・

 鍛冶屋ではないですからね・・・はぁ。少しは儲かりたいです。

 ラルフさんの所も来ますかね?」

「うちはあまり来ないですね。

 ・・・ん?そう言えば今日、トレンチコートのお披露目だったんですよね・・・

 あとで兵士長さんに日程を確認しないと。」

「違う意味で忙しそうですね。」

「ふふ、キタミザト様のおかげです。

 まさか私が3軒のオーナーになるなんて考えてもいませんでした。」

ラルフは笑いながら言う。

「でも、大変なのでしょう?」

「ええ。そりゃあもう。

 止めればよかったと何度思った事か。

 ・・・でも楽しいですね。」

「わかります。

 私もキタミザト様の・・・ほら最初に使っていた魔法具を改造させてもらいました。」

「あぁ。あれは初めて見ましたが、王家の皆さんが絶賛していましたね。

 楽しかったですか?」

「ええ、未知なる挑戦は楽しいですね。」

「ふふ、街の若手店主筆頭がその顔をするなら街は安泰でしょうね。」

「ラルフさん達だって街の雇用を創出させるべく頑張っていると聞いていますよ?」

「そうなのですが・・・今は工場の用地をどうすべきか悩んでいます。

 もう少し経ったら伯爵様に相談に行こうかと・・・」

「確かに今の街では新たに工場を作れる余裕はないですものね。」

「ええ、何か良いアイデアがあれば良いのですが・・・」

「案外、またキタミザト様が考えるのでは?唐突に。」

「あぁ、あの方の悪い癖ですよね・・・唐突に考え付いて、さっさと実行してしまうのは。」

「全くです。しかも核心をついている場合がほとんどで反論を考える時間が貰えないのが怖いですよね。」

「ははは、全く全く。」

二人は楽しそうに武雄の悪口(?)を言い合うのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「中世の西洋ベース」の世界で「抜刀」はおかし過ぎるでしょう。日本じゃないんだから。 「抜剣」の方が適切じゃない?
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