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第182話 戦闘終盤。激励と貴族に取り立て?

「兵士長、戻りました。」

「お二人ともご無事で。」

「はい。」

武雄とアリスは陣を一周して兵士長が居る城門に戻ってきた。

副団長の所も被害はなく。

時間はかかるがこれからも問題はないだろうとの認識だった。

「さっきの伝達ですが。」

「士気を下げてしまいましたか?」

「いえ、小隊長達が感激していましたよ。」

「・・・なぜ?」

「『勝手に死ぬことを許可しない』の所が良かった様です。」

「はぁ・・・突撃がないから不満を和らげようとした伝達だったのですが・・・」

「エルヴィス家の兵としての自覚を再認識した様です。」

「まぁ、解釈は自由ですかね。

 ・・・被害は?」

「今のところ、報告はありません。

 あの伝達のあと各小隊は気を引きしめて当たっています。」

「最後の最後まで気を緩めない様に。

 勝ち戦で怪我をする事ほど無意味なことはありません。」

「はい、重々承知しています。」

「で、この後はどうするのでしょう?」

「・・・最後の掃討は騎士団に任せたいですね。

 我々は、その後の片付けをするので小休止にしたいです。」

兵士長は考えながら言ってくる。

「そうですか・・・では、残りがある程度少なくなったら兵士は城門前に集合。

 騎士団は掃討戦をさせましょうか。」

「はい。

 キタミザト様、伝令に指示を。」

「・・・私が?」

「はい。」

「・・・伝令!」

「「は!」」

「展開中の全小隊に通達。

 我々は、これより最終段階に移行する。

 兵士小隊は城門前に集合、兵士長の指示を仰げ。

 騎士団は掃討戦へ移行しろ。

 戦闘中の兵士と騎士団との切り替わるタイミングは任せる。

 ついで、ハロルドに伝令。

 騎士団の真骨頂を見せろ。

 以上。」

「「は!」」

「同通達をエルヴィス伯爵にもお伝えしろ。

 行け!」

「「は!」」

二人の伝令は各所に走って行った。

「さて・・・言ってしまいましたが・・・どうでした?」

「ふふ、タケオ様、カッコ良かったですよ。」

「キタミザト様は指揮官の才もありそうですね。」

「言い回しとかは本とかの受け売りですがね。」

二人の賛辞に武雄は苦笑する。

「では、アリスお嬢様はエルヴィスさんの所に戻ってください。

 戦場での役目は終わりましたよ。」

「いえ、最後までタケオ様の横に居ます。」

「そうですか・・・わかりました。

 兵士長、あとは任せます。」

「はい。お二人は?」

「ハロルドの近くで騎士団を見てきます。

 真骨頂をどう解釈するか・・・楽しみですね。」

「何とも楽しそうに。」

アリスは笑いながら言う。

「ここまで来たら楽しみます。

 気は緩めませんけどね。」

「ええ。

 では、兵士長、行ってきます。」

「お気をつけて。」

二人はハロルドが居るであろう方向に歩き出すのだった。


(エ500:ゴ90:オ0)

------------------------

「以上です!」

伝令の通達をハロルドと副団長は一緒に聞いていた。

「了解した、他の小隊長達にも伝えろ。」

「は!」

伝令は足早に去っていく。

「騎士団の真骨頂・・・か。」

「キタミザト様は鬼ですね。突撃は許可しないが騎士団の力を見せろ・・・と。」

副団長はため息を付く。

「全くだ・・・優秀な指揮官がエルヴィス家に加入したな。

 我々の心をつかんで、楽には戦闘させないからと言いおった。」

「・・・楽しいですな。」

「お?お前もそう思うか?」

「ええ。無駄な戦闘はさせないが、見せ場は残してくれるなんて楽しいですね。

 キタミザト様は良い指揮官であり、現場をわかってくれてそうです。

 そして一級の戦士です。

 遠距離でオーガを30以上を倒し、接近戦でも鮮やかに勝った。

 ・・・知将とか名将なのでしょうか?」

「さぁ?わからんな。

 少なくともタケオは否定するだろう。」

「確かにあの方はそういう呼び名は嫌いでしょうね。」

二人は苦笑する。

「さて、どうやって騎士団の真骨頂を見せつけるかな。」

ハロルドは戦術を考え始める。


(エ500:ゴ80:オ0)

------------------------

「以上です!」

「うむ、ご苦労。」

「は!」

伝令が去っていく。

「フレデリック、どう思う?」

「そうですね・・・タケオ様が有能な指揮官でもあるのはわかりますね。」

「・・・エルヴィス伯爵、タケオは凄いな。」

アズパール王が感心して言ってくる。

「はい、指揮官の器もある様ですね。」

ウィリアムが頷く。

「ああ、第一近衛分隊長。

 さっきの伝達と今の通達・・・どう思う?」

「そうですね。

 あの伝達を出すタイミングが見事です。

 上手く兵士の心を掴めたかと。

 通達も良いですね。

 ワザと最終段階なんて言い回しをするんです。

 兵士たちはやる気になるでしょう。

 そしてさっきは突撃を戦の華と揶揄しましたが、ちゃんと騎士団に見せ場を残す。

 有能な指揮官でしょう。」

「ねぇ、ウィリアム。タケオさんの才覚は凄いわね。」

「そうだね。

 オーガ相手の個人の武力、指揮官としての決断能力、戦術の発案、新兵器の考察に料理の考案・・・

 父上・・・いえ、陛下。」

「ん?」

「アズパール王国 第3皇子ウィリアム・アラン・アズパールは、エルヴィス伯爵配下、タケオ・キタミザトを男爵に取り立てる事を推挙いたします。」

「んん?確かにお主達皇子には、男爵への推挙権を与えているが・・・普通、配下の者だろう?」

「私には配下はおりませんので、使っておりません。」

「ふむ・・・」

アズパール王は悩む。

「陛下。」

「なんだ?第一近衛分隊長。」

「は!

 王都守備隊 第一近衛分隊長 カルロ・マイヤーは、エルヴィス家所属、アリス・ヘンリー・エルヴィス及びタケオ・キタミザトを騎士に取り立てる事を推挙いたします。」

「んんん?お前もか?

 王都守備隊の分隊長達は推挙権があったな・・・これも普通は配下だろう?」

「第一近衛分隊所属の者は全員が騎士の爵位持ちですので、使っておりません。」

「はぁ・・・王家と王都守備隊双方から推挙か・・・王都の文官共が騒ぐぞ?

 我も男爵も騎士も取り立てには賛成だ。異論は何もない。

 二人とも我が国の宝になりそうだ。

 だがな・・・エルヴィス家から2人と言うのが・・・不公平だと言われそうだ・・・」

「お義父さま。では、第1皇子、第2皇子からも推挙してもらったらどうです?

 皇子で各一人ずつ推挙して、王家枠を作ってまとめて認めさせましょう。

 今まではウィリアムに不利になるからと断っていたではないですか。」

「ふむ・・・それも良いな。

 ・・・とりあえず王都に戻ったら考えるか・・・」

「はい。」

「そうですね~。」

王家3人は頷くのだった。


一方のエルヴィス家の面々と街の住民4名は・・・

苦笑いしかできなかった。


(エ500:ゴ70:オ0)

ここまで読んで下さりありがとうございます。

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