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第170話 11日目 姉妹の会話。

レイラとアリスは寝室でお風呂上がりのお茶を楽しんでいた。

武雄は厨房から戻ってきていない。

「久しぶりにお湯に浸かったわ。幸せだわぁ。」

「レイラお姉様、さっきからそればかりですよ?」

「だって、王城でもあまり浸かれないのですもの。

 堪能してしまったわ。」

「王城では毎日入っているイメージですけど?」

「そうなのよね~。私も行くまでそう思っていたのよ。

 でも夜会や会談とか催し物がないと入れないわ。」

「意外と質素なのですね。」

「ええ、大きな湯あみ場があると期待していたからガッカリしたわ。

 ここの湯あみ場と大して変わらないのよ。」

レイラは苦笑する。

と、アリスが席を立って。武雄の書斎に行き、ノートを持って戻って来る。

「どうしたの?アリス。」

「レイラお姉様にも見て欲しくて。」

レイラはノートを受け取り、表紙を見るが何て書いてあるかわからない。

と、今日作ったメガネをかけると「保健」と書かれているのがわかる。

とりあえず捲って最初の1ページを見るが、手が止まってしまう。

「・・・アリス。」

「はい?」

「この本は?」

「タケオ様が知識を忘れない内に書き出すと言って4種類に大別した物の1冊です。」

「・・・そう・・・」

レイラは食い入るように見て次のページを捲る。

そして真剣に見ながらさらに1ページ・・・2ページ・・・

アリスは「はて?」と思う。確か私が見た時は2ページだったはず・・・

と、レイラの顔が少し赤らんでいるのに気が付く。

「・・・レイラお姉様?」

アリスの問いかけにビクッとする。

「あ・・え・・はい。なんです?アリス。」

「えーっと・・・どうしました?」

「う・・・アリス・・・姉妹ですから良いのでしょうが・・・

 いきなりこの手の本を渡されると・・・私も困りますよ?」

レイラは真っ赤になってオドオドしている。

「はい?」

アリスは「なにが?」と思う。

と、言うよりこんな狼狽えているレイラを始めて見た。

「え?子供のでき方が書かれていますよね?」

「ええ、最初の2ページは。その後が・・・」

「ん?」

アリスはさっき自分もコッソリと作っていたメガネを取り出し、レイラからノートを受け取り3ページ目を見る・・・と。

すぐに顔を真っ赤にさせる。

「え・・・いえ!?・・・こんな・・・昨日まで書かれていなかったのに・・・なんで?」

アワアワしだす。

そこには丸と太線で描かれた人間が重なり合って・・・十数個書かれている・・・

「アリス・・・タケオさんとこんなに・・・」

「いえ!?こんなには・・・」

「・・・そう、しているの。」

「あ・・・」

アリスは顔を俯いて下を見つめてしまう。

「うぅ・・・タケオ様に謀られました・・」

アリスはここに居ない武雄を少し恨むのだった。

・・

微妙な沈黙の後。

「ねぇ、アリス。」

レイラが気を持ち直したのか、アリスに聞いてくる。

「な・・・なんでしょう?」

「これ・・・どう思う?」

レイラが挿絵の一つを指す。

「え?・・・そうですねぇ。」

姉妹は二人でキャッキャッと議論をするのだった。


------------------------

武雄は寝室のドアをノックすると、中からアリスが「はい!どうぞ!」と返事が返ってきたので、寝室に入った。

「レイラさん、アリスお嬢様、戻りました。」

「はい!おかえりなさい!」

「おかえりなさい。」

アリスは緊張気味にレイラは朗らかに返事をしてくる。

・・・二人とも顔が真っ赤なのですが?・・・

武雄はこの二人は何をしていたのだろう?と思う。

・・・ベッドが不自然にグチャグチャなのですけど・・・

・・・ノート?・・・端が見えていますが?・・・まぁ良いか。

「アリスお嬢様、髪を乾かしましょうか。」

「は・・はい!」

と、アリスは緊張しながら背筋を伸ばす。

「何を緊張されているので?」

「いえ!特には!」

「・・・そうですか。」

と、アリスの髪を軽く持ちながら簡単に乾かし始める。

「ふーん、そうやって乾かすのですか?」

レイラが聞いてくる。

「はい、地肌が濡れていると風邪を引くかもしれませんからね。

 軽くですが水分を飛ばしています。」

「へぇ、アリスも気持ち良さそうね。目がトロンとしているわよ?」

「とても気持ちが良いのです。

 癖になりそうです。」

と、嬉しそうに言う。

・・

武雄は、アリスの髪を軽く乾かし終わり、すぐにレイラの後ろに回る。

「じゃあ、しますよ?」

「はい、お願いしますね。」

と、レイラの髪を軽く持ちながら簡単に乾かし始める。

「どうです?」

「これは・・・良いですね。気持ちが良いです。」

レイラが驚きながら楽しそうにしている。

「レイラお姉様も目をトロンとさせていますよ?」

「ええ、リラックスしていますよ。

 アリスが癖になりそうと言うのは良くわかりますね。」

「それは良かったです。」

武雄はニコニコしながら言う。


「そう言えば、タケオ様、キャラ・・お菓子は出来たのですか?」

「キャラメルですね、出来ましたよ。」

「どんな感じですか?」

アリスとレイラが聞いてくる。

「さて・・・今は熱いので食べていませんが、砂糖を固めているので、そこまで変な味にはなっていないとは思いますね。」

「味見はされないのですか?」

アリスが聞いてくる。

「いやいや、アリスお嬢様?熱した砂糖は危険ですからね?」

「え?そうなのですか?」

「はい。砂糖はお湯よりも熱くなるので砂糖の火傷は重症化しやすいのです。

 ですので、必ず冷ましてから触らないといけません。」

「そうなのですか。」

「今は氷の上に鉄のトレイを乗せて鉄のトレイに流し込んで冷やしています。

 私が寝る前に見に行って一口サイズに切ってから、さらに氷で冷まします。

 味見は明日ですね。」

「明日が楽しみです。」

アリスは嬉しそうに言う。


「と、レイラさんの髪も軽く乾かしましたから私はお風呂に行って寝ますね。

 それでは、二人ともおやすみなさい。」

武雄は二人から離れ、扉に向かう。

「「はい、おやすみなさい~。」」

武雄が扉を開けたタイミングで。

「あ、アリスお嬢様。」

「はい、何でしょう?」

「そこのノートですけど、レイラさんにも感想を書き込んでもらってくださいね。」

アリスの返事を聞かずに武雄は退出していった。

・・

「アリス。」

「はい、レイラお姉様。」

「タケオさんにバレていた様ね。」

「はい、その様です。」

二人して苦笑し合うしかなかった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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