第169話 11日目 夕食後の報告会。(今日の寝床。)
「うむ。
では、我が王都に戻ってから戦術研究所とカトランダ帝国との対策は話し合ってみるか。」
「はい。
まぁ王都から支援が無いなら無いで今と変わりませんから、私的には問題はないですね。」
「そうか、当てにはしないのだな?」
「はい。
当てにして動く事もないでしょう。
私の趣味で開発していれば特に問題もないでしょうからね。」
「そうか。まぁ話し合いでどう結論が出るか楽しみに待っていることだな。
と、話は戻って、タケオは小銃を武器にすると言っていたが、弾丸はどうするのだ?」
「あぁ。
弾丸の補給が他国だといろいろ面倒なので、弾丸を魔法で作れる様にテイラー店長に改造してもらいました。」
「ほぉ、魔法師なら誰でも使えそうか?」
「使えはしますが・・・
1発撃つのに魔力量が150必要なので、効率が悪いですよ?」
「は?
なんだそれは、魔力量を使いすぎだな。」
「ええ、テイラー店長からも無駄遣いとの評価を貰っていますね。
ついでに『ファイア』に魔力を70くらいかけた方が同じ威力になるとも。
なので、基本的に私専用となりました。」
武雄は苦笑する。
「そうだな。」
「タケオさんの魔法特性に合わせた武器なのですね。」
レイラが言う。
「はい。1回で使用できる魔力が25程度ですが、それを何工程にも重ねた物です。
結果的に使う魔力量が破格になってしまいました。」
「一般では使えない武器だな。」
「そうですね。」
アズパール王とウィリアムが頷く。
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「うむ。
とりあえず、タケオの事はよろしいですか?」
エルヴィス爺さんがアズパール王に聞く。
「ああ、タケオの人となりも分かった。
アリスは良い伴侶を見つけたようだな。」
と、アズパール王は言い、ウィリアムが頷く。
「ええ、私も安心しました。
ただ・・・」
「ん?レイラは何か不満があるのか?」
「私達よりも美味しい物を食べれるのが羨ましいですね。」
「確かにな!
それはズルいな!」
レイラとアズパール王が笑いあう。
「レ・・・レイラお姉様・・・」
アリスは困り顔だ。
「フフフ、私もタケオさんが良い方だと感じますから不満はないですよ。」
「そうですか。
タケオ、認められたぞ。」
「その様ですね。ありがとうございます。」
武雄は感謝を伝える。
「レイラ達はどのくらい滞在の予定なのじゃ?」
「一応、2泊を考えていますね。」
「うむ、わかった。
・・・と、一つ問題があってな。」
「なんでしょうか?」
「いや。日中は、この客間で遊んでいられるが、寝室がな・・・」
「どこでも良いですよ?」
レイラの言葉にアズパール王もウィリアムも頷く。
「んー・・・そうかの?
しかしのぉ・・・タケオどうすべきじゃ?」
エルヴィス爺さんが武雄に聞く。
「なんでこっちに振りますかね?
・・・そうですね・・・確か私達の部屋と屋敷の反対側に次期当主夫妻用の部屋があるのですよね。」
「うむ。」
「じゃあ・・・面倒ですからその部屋をアランさんとウィリアムさんに使ってもらって、レイラさんはアリスお嬢様と寝れば良いのでは?
私は書斎で寝ますから。」
「は!?」
「え?」
「良いですね!」
「・・・」
アズパール王とウィリアムが驚き、レイラが賛成、エルヴィス爺さんはうな垂れる。
心の中で「聞く相手を間違えた」とエルヴィス爺さんは思うのだった。
「ちょ・・・ちょっと待て、タケオ。
なぜ我が息子と寝るのだ?」
「は?親子でしょ?
ウィリアムさんが子供の頃は一緒に寝てたでしょう?」
「いやいや、それはウィリアムが小さい時で・・・いい歳して一緒に。」
「良い機会ですし、たまには二人でいろいろ話してみては?
あ、喧嘩はいけませんからね?
それにレイラさんも折角の里帰りですから妹と寝たいでしょう?」
「ええ、タケオさん、良い考えです!」
「レ・・・レイラ、お主はウィリアムと一緒でなくて良いのか?」
「ええ、構いませんよ。
たまには親子で寝ても良いのでは?
私はアリスと寝ますからね。」
レイラはもうアリスと寝ることを決めた様だ。
「レイラがそう決めてしまっては仕方がないね。
父上、諦めましょう。」
ウィリアムが苦笑しながら言ってくる。
「ウィリアムまで・・・たまには寝るか。」
「ええ。
タケオさんの言う通り、この歳になって二人っきりなんてなかったですからね。」
アズパール王とウィリアムが苦笑しながら言うのだった。
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今日も「さて寝るかの」とエルヴィス爺さんの言葉と共に皆が客間を出ていき、武雄とアリスとレイラは寝室に戻って来ていた。
武雄はお風呂の準備をしている。
寝室に居るレイラとアリスは二人して机を囲みお茶を飲んで待っていた。
「アリス、タケオさんは湯あみの用意もしているの?」
「はい。タケオ様曰く『お湯張りは重労働でしょうから、私がいる時は私がします』と。
私達が使う湯あみ場のお湯張りはタケオ様がしていますね。」
「そうなの。魔法をそんな風に使う人は居ないのですけどね。」
「はい。私もそう言いましたが、
そうですか?と軽く流されましたね。」
アリスはクスクス笑う。
と、ドアをノックされ、アリスが「どうぞ。」と言うと武雄が入ってきた。
「レイラさん、アリスお嬢様、お風呂の準備が出来ましたよ。」
「はい、わかりました。」
「お風呂とはなんでしょう??」
アリスは返事をして、レイラは質問をする。
「レイラお姉様、タケオ様の所では湯あみをお風呂と言うそうです。
浸かれますよ?」
「あら?本当?良いわねぇ。」
レイラは嬉しそうに言う。
「私はこれから厨房に行ってきますので、戻ったら髪を乾かしましょうね。」
「はい、わかりました。」
「髪を乾かす?」
「ええ。軽くですが、お風呂上りにアリスお嬢様の髪を乾かしていますね。」
「そうなのですね~。私もしてもらっても?」
「そのつもりですが?」
武雄は笑いながら言うのだった。
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