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第160話 夕飯までの外出。(襟章を作ろう。)

武雄一行は魔法具商店に向かっていた。

「どんな意匠にするかな。」

「カッコ良いのが良いですよね。」

と、アズパール王とウィリアムが言っている。


それは先ほどの仕立て屋での話。

3人が採寸を終え、市販用のトレンチコートを選び終えてから、ふとレイラが気が付く。

「タケオさんやアリスの襟元に付いているのは付かないのですかね?」

二人の襟には鮮やかな赤の長方形の布の中央部分に金色の線を1本入れ星マークがあった。

「これですか?右襟に階級章、左襟に所属章としました。」

「へぇ、考えましたね。

 これなら上の者なのか言われないまでも分かりますね。

 左のはエルヴィス伯爵家の紋章ですか?」

「はい。で、右の星の数は階級としました。

 星3つが当主、2つが次期当主、1つが親類ですね。

 この線が白いのが兵士用で班長、小隊長、兵士長と星が増えていく仕様です。」

「なるほど、面白いな。

 我らも作ってみるか?」

「3人分ならすぐに作れるのではないですか?

 あまり凝ってしまっては出来ないでしょうが。」


そんなわけで向かっているのだが、もう少しで店に着くという所で。

「タケオ様、私は先に行ってお茶の用意をしてきます。」

「え?・・・アリスお嬢様、私が行きましょうか?」

「いえ、私が先に行ってお茶の用意をします。」

「そうですか、わかりました。」

とアリスは小走りに店に先に向かう。

「あら?アリスは先に行ったの?」

レイラが聞いてくる。

「午前中も行ったので、机の上でも片付けるのでしょうね。

 もうすぐ着きますし、問題はないかと。」

「街の魔法具商店なんて行かないから楽しみだな。」

アズパール王は楽しそうに言う。

「アランさん、家の中にいすぎるとカビが生えますよ?」

「いや、向こうから来てしまうのでな。」

「そうなんですか。来て貰うのは楽ですし、こっちの事を考えて持って来るから決めやすいのですが・・・

 ごくたまに思いも寄らないおもしろ武器があったりするかも知れませんよ?」

「ん・・・そうだな。見分を広めるためには、たまには商店に行ってみるのも良いかも知れないな。」

「ええ、自分の使わない武器も見ると楽しいかもしれませんよ?」

アズパール王と武雄の会話をレイラとウィリアムは聞いていたが、心の中で。

「そんなことすれば街中の警護が大変だし、街に迷惑がかかるから止めてくれと言われるだろうなぁ」と思うのだった。


------------------------

武雄達が魔法具商店に着き、中に入るとテイラーが挨拶をしてくる。

「・・・キタミザト様・・・・いらっしゃいませ。」

「ええ・・再び、お邪魔・・・します。」

テイラー店長はガックリしながら挨拶をしてくる。

武雄は・・・「なぜこんなに落ち込んでいる?」と思うが口には出さない。

「うむ、ここが魔法具商店か・・・ん?お主は・・・」

「アランさん知っているのですか?」

「うむ・・・王都で見かけたことがあるな。

 タケオ、彼の出自は知っているか?」

アズパール王は何気に聞いてくる。

「いえ?王都に居たことは聞きましたが、出自は気にしていませんでしたね。

 腕の良い店員さんで私の武器を作ってもらっています。」

「ほぉ・・・なるほどな。

 ちなみにな・・・テイラーだったな。」

「はい!」

いきなり名前を呼ばれて緊張しながら返事をする。

「名前まで知っているのですね。」

「そりゃそうだ。彼はな・・・

 とある政府機関で働いておってな。

 若いながら次席まで出世した当代きっての天才と当時の噂だったのだ。」

「おぉぉ、超がつくエリートですね。

 でも、そんな人がなぜここに?イジメでもあったのでしょうか?」

「いや、我も分からぬままだったが・・・

 テイラーいきなり辞めてくれるな。

 我だけでなく陛下も心配しておったのだ。」

「はい・・・申し訳ありません。」

「理由は言えるか?」

「申し訳ありませんが、理由は他人に言わないと宣誓していますので、墓に行くまで絶対に言いません。」

「・・・そうか・・・まぁ元気そうで何よりだ。」

とアズパール王は苦笑しながら言ってくる。

「ふーん、王都も大変そうですね。」

「お、タケオは王都に興味があるのか?」

「いえ?無いですね。

 テイラー店長が天才なのはわかりましたが、凡人の私では王都で生活は出来ないでしょうね。」

「ん?そうかな?」

「ええ。プライドの高い人達を説得するのは面倒ですし。

 誰かの嫉妬を受けるのも面倒です。

 私の意見は結構、ここの常識の斜め上を行っている様ですので、何かをするにしても一々反対意見が出てきそうですから・・・

 今のままここで楽しく過ごしているのが一番ですね。」

「そうか・・・確かにタケオでは王都勤めは無理そうだな。」

「ええ。アランさんやウィリアムさんの私的な相談は文章ですれば良いでしょ?」

「あら、私は?」

「レイラさんの相談にも乗りますが、アリスお嬢様経由の方が良いでしょうね。

 女性でしかわからない事もあるでしょうし、姉妹なら言葉を飾らないでしょう?」

「わかりました。レイラお姉様とは、私がやりとりします。」

「と、そうだ。テイラー店長、本題です。」

「何でしょう?」

「この3人用に襟章を作ってください。

 あと3人用に私の文字が読める様にメガネを作ってください。」

「はい、わかりました。

 襟章の素案はありますか?」

「我は考えたぞ?」

「僕も考えました。」

「では、紙に書いて詰めますか。」

とテイラー店長とアズパール王とウィリアムが楽しそうに打ち合わせをするのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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