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第158話 夕飯までの外出。(トレンチコートを作ろう。)

武雄達一行は仕立て屋に着き、店内に入ると

「アリスお嬢様、キタミザト様、いらっしゃいませ。」

店長は挨拶をしてくる。

「先ほども来ましたが、すみません。」

「再び、お邪魔します。」

とアリスと武雄は返事をする。

「と、レイラお嬢様!?」

「店長さん、おひさしぶり。」

「増々、お美しくなられますね。お元気そうで何よりです。

 と、そちらの方々は?」

「私の旦那様にお義父さまよ。」

レイラの言葉に店長はしばし固まるが。

「・・・プライベートでしょうか?」

「ええ、タケオさんには内緒なのよ。」

「畏まりました。」


「店長、オーダーメイドの方のトレンチコートをこの3人に作っていただけますか?」

「え!?」

店長はレイラ達3人を見る。

「え・・・ダメですか?」

武雄は心配そうに言ってくる。

「いえ、滅相もない。我々も喜んで作らさせていただきます。

 では、奥で採寸の用意をさせましょう。」

その言葉に近くに居た店員が奥に向かう。

「と、後ですね・・・わがままを言うのですが・・・」

「はい、何でしょう。」

「この3人が今すぐ欲しいとも言っていてですね。

 出来たばかりの市販用も売ってほしいのですが・・・」

「・・・」

店長は驚いて言葉を失う。

「・・・難しいですか?」

武雄は心配そうに聞くと。

「いえ!平気です。

 丁度、2着ずつ用意できていますので、お好きなサイズを持っていって構いません。」

「・・・持っていきませんよ?ちゃんとお金を払いますから。」

「うむ、ちゃんと金は持ってきておるぞ。」

「だそうです。」

「か・・・畏まりました。

 すぐに市販用を持って参ります。」

店長は汗をかきながら小走りに奥へと消えていく。


「何をそんなに慌てているのだか・・・」

武雄は店長を見送りながら呟き。

そんな武雄を見ていたアリスとレイラは苦笑していた。


と、奥から店長が市販用のトレンチコートを手に戻ってくる。

「採寸の準備が出来ましたので、レイラお嬢様から行きましょうか。」

「わかりました。アリスも行きますよ?」

とレイラはアリスと共に奥に行ってしまった。


「ところで、キタミザト様。」

「なんでしょう?」

「ダウンジャケットおよびベストなのですが。」

「はい。」

「出来ました。」

「はい?」

「試作が終わりまして。」

「相変わらず早いですね。」

「着て貰えますか?」

「ええ、構いませんよ。」

と店長はカウンター裏から持ってくる。

武雄は「着させる気だったな」と呆れる。

羽織ってみるとナイロンと違って、布地の固さが多少出ているがあまり気にはならなかった。

「着心地が想像より良いですね。」

武雄は納得した様に頷く。


「タケオ、それは何だ?」

アズパール王が興味深そうに聞いてくる。

「私の発想した服、第2弾ですよ。

 着てみます?」

「ああ、着たいな。」

と、武雄が脱いだ物を陛下が羽織る。

「お・・・暖かいな・・・なるほど・・ほぉ・・・」

と頷きながら、なにやら感心した様子だった。

と、アズパール王が脱ぎウィリアムも着てみる。

「これは暖かくて良いですね。

 トレンチコートとはまた別物ですね。

 タケオさん、これはどういった人用に?」

「農作業や林業、店先で販売をしている人達が暖かく仕事が出来ればと思いました。」

「良い。タケオ、その考えは良いぞ。」

「そうですね。」

二人はうんうん頷く。

「キタミザト様の発案で街全体で記念日を作ろうかと今日の午前中に話し合っていたのです。」

「ほぉ、記念日とな。祝日か?」

「いやいや、一伯爵が国の祝日を作れないでしょう?

 例えば来月の何日を勤労感謝の日と銘打って、子供が親御さんに感謝する日に出来れば良いなぁと思っただけです。

 小さいお子さんがお父さんに向けて『いつもありがとう』と言ってラッピングされたダウンベストを渡す光景を思い浮かべたのです。」

二人はその光景を想像し・・・頷く。

「良い光景だな。」

「ええ、タケオさんの発想は人の笑顔が基本ですね。」

「そうですね。

 笑顔は見ている他の人も笑顔にさせますから。

 その日は、街中でいろんな笑顔に出会えたらと思います。」

「うん、そうだな。」

「実は、このあと組合の会合がありましてね。」

店長はいきなりそんなことを言ってくる。

「へー、他の仕立て屋さん達が一同に?」

「はい。この間のトレンチコートの件とかいろいろ事後処理ですね。

 で、キタミザト様。その席で先ほどの記念日の説明をしても良いですか?」

「構いませんよ?街の振興策になるでしょうから。

 この街には、どんな組合があるか知りませんが・・・

 仕立て屋だけでなく、飲食店や青果屋や雑貨屋なんかも巻き込むべきでしょう。」

「タケオ、そんなに参加させて収拾が付かないのではないか?」

アズパール王は心配そうに聞いてくる。

「ん?お祭りとは違いますから問題ないのではないですか?

 通りで何かをやる訳ではないですし、各お店が独自に銘打っているだけですので・・・

 そうですね。例えば、飲食店ならその日はスープが無料とか親子連れなら3割引きとか。

 青果屋や雑貨ならこの商品は半額とか。

 『感謝を伝える』と大まかなテーマはありますが、要は人寄せのテーマですので、あとは店の中でやってもらいます。

 その特別商品に集まってきた人が他の物を買えば利益的には、まぁトントンかもしれませんが・・・

 売り上げを上げれて悪くはない話ですし。」

「なるほど・・・感情だけではない企画なのだな。」

「商売と感情は密接ですが、感情だけで商売をしたらすぐに店が潰れますよ。

 基本的に利益があるから商売が成り立つので、商売人はその辺シビアですよ。」

武雄は苦笑する。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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