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第157話 夕飯までの外出。(仕立て屋までに寄り道。)

客間にはエルヴィス爺さんとスミスとフレデリックが残っていた。

「・・・」

「あれですね。

 ・・・陛下を連れまわすとは前代未聞ですね。」

エルヴィス爺さんとスミスは、うな垂れていた。

「すっかりタケオ様のペースでした。」

フレデリックが言う。

「だな。

 そして陛下もノリノリだ。

 殿下もレイラも乗り気だったの・・・」

「あれはあれで良かったのでしょうか?」

「ああ、あの様子では、3人ともタケオを気に入っているな・・・

 まぁこの街でアリスとタケオの組み合わせに挑むバカはいないだろうが。」

「そうですね・・・もしかしたら、この国最強の組み合わせですし。」

「うむ、それに街中には護衛がいるだろうし・・・大丈夫だろうの。」

エルヴィス爺さんは窓の外を目を細めながら見るのだった。


------------------------

仕立て屋に行く間に武雄は顔見知りに声をかけられる。

・・・青果屋にて。

「お!アリスお嬢様にキタミザト様か。散策か?

 うちの店にもよっていきな。ん?お客さ・・・レイラお嬢様!?」

「ええ。」

「こんにちは。」

武雄とアリスは挨拶するとすぐにアズパール王に呼ばれて行ってしまう。

「あら、おじさん。お久しぶり。」

「どうしたんだ?レイラお嬢様が帰って来たなんて知らなかったぞ。

 あちらの方々は?」

「私の旦那様にお義父さまよ。」

「え?・・・・へ」

「はい、ストップ。タケオさんには内緒なのよ。」

「うぅ・・・しかしですね・・・良いのですか?・・・」

「良いのよ、楽しんでいるのだから。」

「そういう物なのか・・・」

青果屋のおやじはガックリとするのだった。


アズパール王やウィリアムは品物を興味深そうに見ている。

武雄は、二人からいろいろ質問されているみたいで答えていたが。

「おや?大将どうしました?」

武雄は親父さんがガックリしているのを気が付いて声をかけてきた。

「ん・・何でもねぇよ。

 と、そうだ、前にりんごを渡した嬢ちゃんを覚えているか?」

「・・・リンゴのウサギカットを渡して『初めて見た』と喜んでくれた子でしょうか?」

「その子だ。ちょいちょい来て『おじさん来ないの?』と聞いてきてな。」

「へぇ、どうして私を待っているのでしょう?」

「なんでもあのウサギカットを教えて欲しいらしい。」

「構いませんよ、何時ごろ来ていますか?」

「そうだなぁ。あれから毎日、昼過ぎには来ているな。

 2日に一度くらいの間隔で聞いてくるぞ。」

「おや、ずいぶん待たせてしまっていますね。

 わかりました。明日の昼過ぎにでも来ます。」

「わかったよ。今日会ったら伝えておくよ。」

「では、私たちは行きますね。」

「おう、またおいで。」

・・

・・・酒屋にて。

「お、アリスお嬢様にキタミザト様。散策ですかな?

 と、レイラお嬢様!?」

「ええ。」

「こんにちは。」

武雄とアリスは挨拶するとまた陛下に呼ばれて行ってしまう。

「おじさんお久しぶり。」

「いや~また美人に磨きがかかって。」

「おじさんも相変わらず口が達者ね。」

「あちらの方々は?」

「私の旦那様にお義父さまよ。」

「おとう・・・え?」

「タケオさんには内緒なのよ。黙っていてね。」

「・・・わかりました。」


アズパール王とウィリアムは武雄を伴って片っ端から酒を見ている。

「アランさん、王都の方が品揃えは多いでしょう?」

「うむ、そうなのだがな。

 タケオ、地方だからこその酒というのもあるのだ。」

「そういう物なのですか?」

「ああ、数が少なくて王都まで運べない物とかな。」

「なるほど、希少品というやつですね。」

「ああ、数年に1回とかしか我も飲めない物が地方では普通に売られていたりするからな。

 見落としが無いようにしなくては。」

アズパール王は真剣に見始める。

邪魔しちゃ悪いなと思い回りを見るとウィリアムも何やら探している。

「ウィリアムさん、何を探しているのですか?」

「んー・・・笑いません?」

少しソワソワしながら言ってくる。

「内容に寄りますが、基本、笑いませんよ?」

「実は精力剤を・・・」

「え?私より若いでしょう?」

「ええ。しかし、頼りたくなる時もあってですね・・・

 王都にもあるのですが、レイラがいると買いづらくて・・・」

ウィリアムはため息交じりに言ってくる。

「なるほど・・・ならば・・お店のおじさんに聞くのが一番ですよ。」

タケオとウィリアムが店の奥にいるおじさんに近寄る。

ちなみにレイラとアリスは一緒にお酒を物色中。

「おじさん。」

「おや?キタミザト様、どうしました?ほほほ。」

「例の小瓶なのですが・・」

「あと5本ありますよ。」

おじさんは急に声を潜めて言ってくる。

「ウィリアムさん、あと4本です。」

「タケオさん、こちらの御主人は、あと5本と言われていましたよ?」

「1本は私が買います。だから残り4本です。」

「効きます?」

「かなり」

武雄は真面目な表情でウィリアムに答える。

「1回飲んだら2日空ける事をオススメします。」

おじさんも注意を促してくる。

「強力なのですね・・・わかりました。

 買います!ここぞという時に飲みます。」

3人は真剣な表情で頷き合うのだった。

と、

「タケオ様。」

男3人はビクッとする。

「なんですか?アリスお嬢様。」

武雄は振り向きながらにこやかに言って見せる。

「何を探されているのですか?私も探しましょうか?」

「いえ・・・それには及びま・・・」

武雄は少し悩むフリをしてから。

「アリスお嬢様、甘いお酒・・・ワインと言うのは知っていますか?」

「ロゼワインですか?」

「・・・そういう名前でしたか。ありがとうございます。」

「ロゼワインを探しているのですか?」

「ふふ、今日の夕食後のお菓子に合うのは何かな?と思ってですね。

 甘いお菓子に甘いワインと言うのはどうなのか?と思ったのですが・・・ワインの呼び名が出て来なかったのです。」

「そうなのですか?

 でもそれだと甘すぎますのでアッサリとした炭酸が良いかと思いますよ?」

「・・・なるほど・・・言われてみれば確かに・・・そちらが良さそうですね。

 おじさん、甘さ控えめの炭酸ワインはありますか?」

と武雄はおじさんに向き聞きながら、手の平を開いてから自分を指さし、指を4本立ててから自分とウィリアムを指さす。

と、おじさんも頷きながら。

「ありますが・・・色は何色が良いですか?」

「えーっと・・・アリスお嬢様。」

「白ですね、色が若干あるのでも良いですよ。」

「だそうです。」

「わかりました。お持ち帰りで?」

「いえ、申し訳ありませんが、料理長宛に持って行ってください。

 それと、私の書斎用に赤のワインで小瓶の酒を数本お願いします。

 価格は安くて構いませんが、そうですね・・・6,7本で。」

「わかりました。」

「タケオ様用ですか?」

「ええ。これから寒くなった時に寝る前に湯煎して飲んでも良いかな?と。」

「良いですね、私も飲みますよ!」

「はいはい。」

アリスは嬉しそうに言う。

その横でウィリアムは「上手く躱しましたね。」と感心するのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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