第152話 エルヴィス邸に帰宅。お客様と挨拶。
お昼を過ぎて武雄とアリスはエルヴィス邸に到着した。
玄関を入るとフレデリックが丁度いた。
「おかえりなさいませ、アリスお嬢様、タケオ様。」
「ただいま、フレデリック。」
「フレデリックさん、お疲れ様です。戻りました。」
「私が考えていたより少し早いお戻りでしたね。」
「はい、用事がトントン拍子で片付いてしまって。」
「ほぉ、そうですか。」
「仕立て屋にも寄ったので、その話は後ほどします。」
「はい、わかりました。」
「では、アリスお嬢様、厨房に行ってきますね。」
「はい、卵の確保をお願いします。」
「おや?昼食は外ですると仰っていましたが?」
「その予定だったのですが、用事が早く終わってしまって。
持ち歩いてしまいました。」
武雄はアリスから受け取っていた紙袋を持ち上げる。
「そうでしたか。今だと・・・厨房は昼食が終わっている時間ですね。」
「わかりました。
アリスお嬢様は、どこに居ますか?」
「客間で待っています。」
「わかりました。
では、行ってきます。」
と、武雄は二人から離れ厨房に向かう。
・・
・
「アリスお嬢様、楽しかったですか?」
「はい。タケオ様がまた新しい服を発案していました。」
「ほぉ、そうですか。」
「屋敷の皆に配るんだって言っていましたよ。」
「皆が喜びそうですね。」
「ええ。」
アリスは嬉しそうに話しながらフレデリックと客間に向かう。
客間の扉をフレデリックがノックする。
中から「どうぞ。」と許可が下りるのを確認し扉を開け入室する。
「主、アリスお嬢様とタケオ様が戻られました。」
アリスが入室する。
「お爺さま、戻り・・まし・・た?」
「アリス、おかえりなさい。」
「・・・レイ・・ラ・・・お姉様・・・」
アリスはその一言を絞り出すのが精一杯だった。
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客間の扉を武雄はノックする。
中から「どうぞ。」と許可が下りるのを確認し扉を開け入室する。
中にはエルヴィス爺さんとアリス、スミス、フレデリックと知らない人が3名いた。
「失礼します、エルヴィスさん、戻りました。」
「うむ、タケオおかえり。」
「お客様がお見えでしたか。
出直した方がよろしいですか?」
「いや、構わぬ。」
「貴方がタケオさん?私はレイラと言います。
アリスの姉です。」
「はい、タケオ・キタミザトと言います。
何とお呼びすれば?」
「そうですね・・・レイラで結構ですよ。」
「では、レイラさんと呼んで構いませんか?」
武雄の言葉にアリスはビクッとするが武雄は見えていない。
「はい、良いですよ。」
レイラは満面の笑みで答える。
「こっちが私の旦那のウィリアム、こっちがお義父さまのアランです。」
「タケオ・キタミザトと言います。」
「うむ、アランだ。」
「ウィリアムと言います。」
「何とお呼びすれば?」
「うむ、レイラと同じで構わぬ。」
「僕もそれで平気です。」
「わかりました。
アランさんにウィリアムさんですね。」
武雄の言葉にレイラ達3名以外がビクッとするが武雄は見えていない。
「うむ、良い。」
「はい、よろしくお願いしますね。」
アズパール王とウィリアムがこちらも満面の笑みで答える。
「と、私たちは何と呼べばいいですか?」
「あ、失礼しました。
タケオで構いません。」
「ふふ、わかりました。
私はタケオさんと呼びましょう。」
「我はタケオで良いか?」
「僕もタケオさんで良いですか?」
「構いません。よろしくお願いします。」
と武雄は軽く会釈をする。
「と、タケオさん、何を持っているのです?」
「これですか?」
武雄は料理が載った盆を持って挨拶をしていた。
「私とアリスお嬢様が昼食はまだでしたので、帰りに買ったサンドイッチと厨房に行ってタマゴサンドイッチを作りました。
で、エルヴィスさんやスミス坊ちゃん、フレデリックさんも居るだろうと思ってフレンチトーストを作ったのですが。
レイラさん方がいらっしゃるとは思っても居ませんでした。
場所を変えましょうか?」
「いいえ、構いませんよ。ね?」
レイラの言葉にアズパール王とウィリアムが頷く。
「それにしても私が知らない料理名がありましたね。
えーっと・・・タマゴサンドイッチとフレンチ・・・トーストですか?」
「はい。以前、エルヴィスさんを始め、この屋敷の皆に食べて貰って好評でしたので。
皆でつまみながらでも歓談しようかと。
・・・食べてみますか?」
「あら?良いのですか?」
「私は構いませんが・・・アリスお嬢様、構いませんか?」
「え!?・・・はい!平気です!」
アリスは、いきなり振られて動揺しながら言う。
武雄は「何をそんなに緊張を?」と不思議がるが今はお客様に食べて貰おうと準備する。
「えーっと・・・フレデリックさん、すみませんが。
小分けするので追加のお皿とか用意できますか?」
「はい、構いませんよ。」
と客間の一角からお皿やフォークを出してくる。
武雄はサンドイッチやフレンチトーストを小分けして皿に載せて、皆に配膳する。
「どうぞ。」
皆が食べ始める。
エルヴィス爺さんとアリス、スミスはゆっくりと食べ始めるが、口に持っていく速さがどんどん早くなっていく。
もちろん満面の笑顔で。
フレデリックは「ほぉほぉ」と頷きながら食べている。
レイラは一口食べると武雄を見て、目をこれでもかと見開き驚いている。
「レイラさん・・・アリスお嬢様と同じリアクションなんですね。
そんなに見開くと目が落ちますよ?」と武雄は思う。
アズパール王とウィリアムは満面の笑顔で一心不乱に食べている。
「お気に召しましたか?」
「「「「・・・」」」」
皆、無言でコクコクと頷くだけだった。
「皆さんのその顔を見れただけで満足です。」
と武雄は微笑む。
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